ボルヘスへのオマージュ

試し書きなので、誰も読まないと思うが、最も好きな小説家のボルヘスの作品への走り書きを貼っておこう。

「トレーンの哲学者たちは真理を、いや真理らしきものをさえ探求しない。彼らが求めるのは驚異である。哲学は幻想的な文学の一部門である、と彼らは考える。」

J.Lボルヘス 伝奇集 トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス より

構造の中に美を感じる意識が自分の中にある。
いま法律を扱う仕事だが法体系にも同質の美を感じることがある。

ボルヘスの中期までの幻想文学は、概念や知の構造を美しく見せる美意識に基づいて書かれていることが明らかである。

ほぼ全集を読み尽くししたが、最初はただ面白かったのだが、作者の意図した構造が微に入り細にわたっていることに気づくようになった。

ボルヘスの作品においては、博学な知識が比較対象の中で文化や時代を超えて並置される。その一つ一つにかなり緻密な意図がある。

ボルヘス本人が、恐らく最も多くの書物を読んだ人間のひとりなのだと思う。
彼は晩年、愛してやまなかった書籍が、最も多く集積された、図書館の館長になる。(アルゼンチン国立図書館の館長に晩年に就任)

しかし、その少し前に完全に失明した。

彼の美意識で最も美しいとモチーフとして描写される「巨大な図書館」で「無限の本を読む」ことは一切できなくなったそうである。

盲目の館長として、書物に触って佇んでいた彼のことが、多くの記録に残っている。

ボルヘスの生き方全てに、ボルヘスの作品に通底する矛盾と構造の美意識が流れている。そして常にそこには、そこはかとない哀しみがある。

自身の美意識がそのままに、ライフスタイルと人生全体に象徴化され、実現されているような人生はすばらしい。


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