麻布十番で乗って来た大人の男女に、ちょっとしたドラマを見た話。

麻布十番で男女が乗って来た。
50代ほどの男性に40代の女性が寄りかかっている。

男「おまえ、寄りかかってくんなよー」

女「ええやん、別にー」

ちょっと関西なまりの男性と関西弁の女性。
酔っぱらった男女が乗ってくるのは日常茶飯事
ただ、この感じはちょっとメンドクサイかもしれない。
そう思いながらも、目的地を聞く。

男「運転手さん、三軒茶屋までお願いします」

私「かしこまりました」

男「いや、ほんまにお前なんで来んねん」

女「ええやん」

男「いや、急やんか」

女「せやけど、なんも悪いことではないやろ」

男「悪いことはないけど、今日の今日やん」

女「だって、連絡しても忙しい言うて会おうとせぇへんもん」

話の内容から
会いたくても会えない二人が会ったのか?
会うと危険な二人が会っているのか?
と、勝手な憶測をしている。

男「そら、ホンマに忙しいねんからしゃあないやん」

女「せやけど」

男「お前もう45やろ、急に来るとかないで。
ねぇ、運転手さん、今日ね妹が連絡なしに急に来てんですわ」

私「あーっ、そうなんですね」

見事に裏切られた、兄妹だったらしい。

女「またそうやって、急に来たって悪く言おうとする」

男「別に悪いとは言うてないて、運転手さん、
こんな歳になって兄妹で仲良うことも変ですよね」

私「あっ、そうですかね、僕はお答えしかねますが」

私の倍ほどの年齢の方に
私の立場の答えがあっているようには思えない。。。

女「変て言うてるけど、もう何年も会うてないやん」

男「こっちもこっちで忙しいし、向こうに行くことで
気ぃ遣うこともあるからや」

女「でも連絡もないから」

男「それは、、」

何か事情があって、地元に帰ることがない。
そんな兄に妹が会いに来た。
ということなのか。。

男「お前も、分かってるやろ、もうこっちは帰るつもりはないて」

女「それは分かるけど、そこの間に入ろうとしてんねん」

男「それはありがたいよ、ありがたいけど、
俺らが向こうに戻った時、居づらいようなことになってん」

女「そうやけど、それは、姉さんが」

男「そうやけどな、けど俺は有紀子の味方やで。
絶対にこっちが悪いということだけじゃなくて
『あなたは私の家族と認めない』って言われたようなもんやんか」

女「・・・。」

男「別にお前のことを責める気持ちはないよ、
ないけど、有紀子はもうあっちに行くのが苦しい状況だから
俺も帰らないというだけで」

どうやら、嫁姑の問題で男性の家族はもう地元には帰らないということになっているよう。

女「そうは言うても連絡は取れるやろ」

男「・・・そうやな」

女「おかん倒れたのに私一人でいろいろ動いてるし」

男「それは、ホンマにスマンて」

女「私がどれだけ今回苦しかったか分かる?」

男「ごめんて」

妹が鼻水をすすり出した。

女「おかんもどうなるか分からんし、お兄に連絡しても繋がらへんし」

男「いや、まぁ・・・」

女「そのために、私だけ動いてて、」

男「・・・」

女「頼りたい時にお兄に連絡できないし」

男「・・・」

女「おかん倒れてもうたら、お兄しかいないんやで」

男「スマンて」

女「寂しかったんやで」

男「・・・・」

女「・・・・。」

妹は泣きながらお兄の服に顔をうずめている。

男「お前いい歳してグズグズなくなやー」

女「ええやん」

男「お、、おい、お前俺の服に鼻水ふくなや」

女「(笑)」

これが関西人の性なのか
ちょっと真面目な話の中にもオフザケが入る。

女「まぁ今回はええよ、おかんも無事だし」

男「よかったよ、それは」

女「せやけど、連絡くらいは頂戴」

男「せやな」

女「ほんまに、それだけでもいいから」

男「分かったけど、、、お前いつまで俺の服に涙拭いてんねん」

女「(笑)」

話の中身は、大人になれば出てくる問題の一つ
しかし、その合間に見えるのは

“おにい”と“いもうと”
どれだけ歳を重ねても兄妹であるということだった。

男「運転手さん、あの先の信号を左曲がったら止めてもらっていい?」

私「かしこまりました」

女「裕太に久しぶりに会うよな」

男「もう寝てるやろ」

女「姉さん、私来たら嫌かな~」

男「それは大丈夫や運転手さん、ここで」

支払いを済ませ降りる二人。

男「てか、お前離婚して何年やねん!はよ男つくれや」

女「うるさいわ!」

二人はよろけながら肩を寄せ合い帰っていった。


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