身代わり猫のミシャ

これは正子という1人の女性と、その正子に愛し愛された動物達のおはなしです。

正子は生まれながらして天真爛漫元気活発な子供だった。
女の子なのにやんちゃなガキ大将のような子。
おもちゃは大工のおじいちゃんが使うノコギリ、工具。
今の親がみたら悲鳴を上げるだろう。
それを駆使してできあがった基地にターザンロープ。
そんな環境には沢山の動物も居た。
犬、猫、ハムスター、鶏…。
生まれながらにして動物に囲まれ生活した正子。
動物好きにならないわけがなかった。
大人になって初めて飼ったのは犬のイースだった。
ドッグランで里親募集をしていて、その中の一頭。
しかし、この子が死ぬ時なにができるだろうとも考えた。
絶対ペットロスになる。そう思った正子は
アニマルコミュニケーション、ペットマッサージ、行動心理学を学んだ。

しかしこのイース、単にドッグランで里親募集されているだけではなかった。
前世で正子を庇って切られ死んだ元猫の犬だったのだ。

まさか。

そう思う人は大勢いると思う。
しかしイースは冬になればこたつに入り、猫とは友達になり、猫じゃらしで遊んだ。
完全に性格が猫だったのだ。
そして相当の甘えん坊。
あまりにもおかしな行動に、正子は専門家にイースをみてもらった。
占いは当たるも八卦、当たらぬも八卦。
そう思いながらも見てもらった。すると。
イースは正子を前世で庇い殺され、正子にもう一度出会って今度は甘えるために生まれてきた。
そう答えられた。

イースは正子から離れない。
常に一緒。
膝枕が大好きで、正子が座ると常に膝にはイースが居る。
占い師の言葉が本当かどうかは不明だが、イースが正子を愛し、正子がイースを愛している事には間違いがない。
そして、イースの家族になったのが猫のミシャだった。
ミシャとの出会いは簡単な物ではなかった。とある知人から、動物愛護団体を立ち上げないか?
そう言われて二つ返事でOKした。
しかし、今考えると何故そんなことに騙されたのかと思いはするが、いざ箱を開けてみると、団体の本拠地となる場所を獲得するには実印証明が要ると言われて手渡してしまった正子。その証明書で車を購入され、行き場をなくした10頭の犬猫がこれまた他人名義で借りられた場所に集まっていた。その他人も賃料を支払わず、かと言って10頭の犬猫を住まわせてくれる場所も簡単には見つからず、結局福祉の手を借りて姫路に越した。
流石の正子も10頭の犬猫を育てるほど余裕はなかった。そこで里親募集を始めた。
一頭、また一頭と別れを惜しみながら幸せになってくれる事を祈りさよならした。
10頭のうち唯一の猫だったミシャ。
正子が大好きなブルーアイの猫だった。
正子だけではなく他の人に見せても物怖じせず愛らしい振る舞いをするミシャはあらゆる所でファンを作った。
ミシャの日課は窓から外を眺める事。
長い尻尾がいつも部屋の中に。
外が大好きなミシャは見るだけではなく散歩にも行く。犬三頭と猫一匹の散歩をしているとよく『お散歩大変ですねぇ』と声をかけられた。『猫もいますよ』と答えると皆んなびっくりしていた。
ミシャはイベントにも参加できるほど肝が座っていた。
ある日、ミシャを連れて正子がイベントに行くと、いつも通りミシャを可愛がる人の群れ。
ブルーアイが綺麗で人懐こく可愛らしいミシャはどこへ行っても人気者。
しかしその日はさすがのミシャも構いがられ過ぎて疲れたのか自らバッグの中へ入ってきた。
そういう日もある。
でも外が好きなミシャはハンターにもなって、ムカデやGキブリやバッタを正子の娘にプレゼント。
ありがとうミシャ!
なんて事はない。
ギャーーー!
正子の娘の悲鳴が轟いた。
本当は褒めて欲しいのに何故か人間にはこのお土産が気に入ってもらえない。
ミシャは疑問に思っただろう。
猫と人間相容れぬポイント。
動物愛護団体は結局作れず、他に2犬の犬を残して後は引き取り広島に戻った。
しかし、詐欺にあったこと、7頭の犬の里親募集に奔走する中で正子は過労とストレスで痩せ細った。
そこで、胸にしこりを感じた。
それでも犬猫のため、奔走した。自分の体は後回し。しかし当時付き合っていた彼氏に検査を勧められ渋々病院へ向かった。
結果は乳がんステージ4リンパと骨への転移有り。絶望的な状況だった。
そこから癌治療が始まった。抗がん剤に放射線治療。
楽なものではなかったが、同時にミシャが弱り始めた。今まで簡単に登っていたテレビの上に乗れない。
食欲もない。
いよいよおかしいと思った正子はミシャを動物病院に連れて行った。
余命1か月。
あんなに元気だったミシャが。
癌の私より先に死ぬ?
正子は戸惑った。
それでも正子はミシャを愛し続けた。
それにミシャも応えた。

とうとうその日はやってきた。
ミシャが死んだ。
ミシャは正子に看取られながら逝った。
享年3歳
同時に、正子の体は回復していった。
抗がん剤治療に放射線治療。
辛い治療ではあったが、奇跡的に治っていった。
癌家系の正子からすれば覚悟はしていたのに、代わりにミシャが死んでしまった。
ペットロスになるかと思ったが、ミシャが自分の悪いところを吸い取って逝ってくれたんだと思うと、死んだ時と火葬の時しか涙は出なかった。今では遺骨を部屋に置いてそばに居る。

当時の正子家の唯一の猫だったミシャ。
しばらくしてやっぱり猫も欲しいと思って迎えたのがたむたむ、エイトだった。
たむたむは山口県で酔っ払いに投げつけられた所を保護された猫、エイトは明日殺処分になるというところを間一髪正子が見つけて救った猫。
どちらも波乱万丈な猫だったが正子に出会い今は幸せに暮らしている。
皆んな甘えん坊なイース、もう一頭の犬フィーユ、たむたむ、エイト。そんな中で今は幸せに暮らしている。
ミシャ、早く生まれ変わってまた私のところに来てくれないかな。
そんな風に今では思っている。
大好きだよミシャ。

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