彼氏と彼氏の彼氏と旅行に行った時の話。ーNZに移住までしたのに8年間付き合った同性のフィリピン人の彼氏に浮気されましたー
やった相手の写真も見せられた。
でも、気持ちはない。好きなのはお前だけだ。
その気持ちを信じた。だから、僕はまたすがるように聞いた。
こないだキスした相手とは、本当にここで会ったんじゃないんだよね。
違うよ。会社関連のイベントであったんだよ。
本気で何にもない。
わかった、というしかなかった。
彼がアプリをやめるとかやめないとか、そのことには触れられなかった。
それを言ったら別れようと言われそうで言えなかった。
ふと、その日の夜、8月に彼氏と久しぶりにキスをした時のことを思い出した。
久しぶりのキスもいいね。と言ったら、
彼はこう言った。ほら、俺ってうまいから。
そのことを思い出して吐いた。誰かに言われたのかな。
誰かとあの時もう陰でキスしてたんだな、なんて悲しくなってまた傷ついた。
数日後、それでも何かにすがりたくて、考えて考えて、彼に伝えた。
オープンリレーションシップにしよう?半年様子見て決めよう?
僕は、彼が他の男とセックスすることを容認するオープンリレーションシップにしてまで、彼と一緒に居たかったのだ。
彼は前向きに賛成した。
いくつか条件をつけた。
家ではやらないこと。
友人とはやらないこと。
賛成してくれた。
これでまだ一緒にいられると思った。
僕もアプリをいれて、近所の人と節句巣をした。
その夜、車を運転しながら泣いた。
欲しいのはセックスなんかじゃない。
愛されたい、車の中で泣いた。
泣きじゃくった。
それから、彼氏が旅行の1週間前くらいに尋ねてきた。
やっぱりインドネシアにその人と旅行に行ってもいい?
僕は答えた。いいよ。
友達とはやらないって約束したんだから、いいよ。行ってきても。信じてるから。
彼は、本当に何もないから。と念押しした。
それから付け加えるようにこう行った。でも、結局インドネシアに行くなら、無理やり買わされたシドニー行きのチケット無駄になっちゃったね、と少し責めるように僕に言った。
あのチケット、僕が無理やり買わせたんだな。
そうかもしれないな。
2週間泣きたくなるような日々を毎日過ごし、
そして、僕の旅行も始まった。
旅行は楽しくなかった。
彼氏とその相手が二人でいることを見ると涙が出てきた。
二人はいつも一緒だった。楽しそうだった。二人の間に割って入るのが申し訳なくて。バスも飛行機も全て隣同士。
フィリピンから日本に来ると、ニュージーランドから他の友人たちも合流した。その人たちと彼氏と彼氏の彼氏も含めて、うちの実家にも招待した。うちの親は車も出してくれて、成田や羽田まで友人達を迎えに行ってくれた。夜ご飯や宿泊場所、横浜に観光も連れて行ってくれた。
辛かった。
他の友人たちに元気がないね、なんて思われるのが嫌で明るく明るく振る舞った。
それからまた旅行は続き、その彼氏の相手は他の人より早くニュージーランドに戻った。
彼氏は空港まで見送りに行った。
その晩、一緒に旅行しているニュージーランドから来ている友人の一人が酔っ払ってぽろっといった。
去年の6月からの真実を教えてくれた。
二人がセフレであること、そして気持ちがあること、僕と別れたら付き合うつもりなこと。彼氏の相手は別れたら付き合うといってること。彼氏はまだ気持ちに決着がつかないこと。
そして、旅行にきてる人たちの何人かは知ってるよ。って。
君がかわいそうに思えたから教えてあげる。
裏切られた、と思った。
みんなに裏切られた、と思った。
知ってた人たちは、笑いものにしてたんだ、と思った。
あいつも馬鹿だなー気づかないでニコニコやって親にまで金出させてるよ。って。
深夜だったけど彼氏を起こして、問いただした。
全部教えてほしい。
彼氏はこういった。
否定も肯定もしない。何も言わない。
彼は本当に何も言ってくれなかった。
30分、何も一言も答えてくれなかった。
僕が泣き崩れても何も答えてくれなかった。
ハグだけしてくれた。ずるいと思った。僕らの8年間はこんなものだったのか、と思って泣いた。
ハグされてまた感情がぐらついて泣いた。
ただ、それが答えなんだと思った。
選択肢をくれた、半年様子まだみるか、旅行を続けるか、続けないか(いま、別れるか別れないか)
僕が決めていいよ。そう言われた。
ただ、一言、もう君が思ってる以上のことは別れてもいいように準備してるよ。
半年様子みたい。そう答えた。
彼氏も了承した。
それから旅を続けながら、別れるカウントダウンをしているみたいだな、なんて毎日思っていた。音楽アプリで中島みゆきの化粧を毎日聞いていた。
馬鹿だね、馬鹿だね、馬鹿だね。
馬鹿のくせに、愛してもらうつもりでいたなんて。
自分が愛されると思っていたなんて、本当に馬鹿だったんだな、その時は毎日思っていた。
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