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【フランスの森の中⑦】上裸でドレッドな妻子持ちヒッピーと、廃バスの中で成立した英国人カップルたちと、テントの中で「人間失格」を読みふける僕(19)と、時々犬連れてるおっさん。

Image by Olia Gozha

On va porter des morceaux de paille.

2日目の朝、テントの寝心地もよくないし、何時に何が始まるのかよくわからないので、とりあえず8時くらいに起きた。誰も起きていなかった。トイレに行く。もちろん水栓などなく、小さな小屋の中に和式のような木でできたトイレ。バケツにたまる。たまったら外の畑にぶちまける。うん、凄い。さすがにトイレットペーパーはある。多分、この時点で受け付けない人もいるだろうなあ、と。

9時頃だろうか。ジペが起きてきて、よく眠れた?と笑顔で聞いてくれる。フランスの朝の挨拶の基本。あんまりよく眠れてないけど、テンプレで「よく眠れた!」と返答。「ビアン(いいね)」とジペ。朝ごはん作るから~と、小麦粉をこねはじめた。え、そこから?と突っ込みを入れたくなる。小麦粉と水だけできれいにピザのような形づくりを始める。器用だ。手は洗っているのだろうか…。もちろん上裸だ。

キッチンのかまどの横にピザ窯のようなものがあり、ジペは器用にピザより少しうすいくらいに伸ばした生地をピザ窯に入れていく。朝から本格的なんだなあ、と。でも火の粉とか飛び散って痛くないのかな…。もちろん上裸だ。

僕はぼんやりとそんなことを考えながら、外に置いてあるダイニングテーブルとソファーのところに腰掛けていた。そうこうしているうちに10時が過ぎる。ジペと僕以外に誰も起きてこない。みんな遅いな。焼きあがるナンみたいなもの。はい。と第1弾を渡される。見た限りで材料は小麦粉と水だけ。でも半端なく美味い!なんでだろう…。さらにイチゴジャムかけると美味しいよ、と渡される。本当だ!さらに美味い!!ジペの作る朝ごはんはほぼ毎日これだったが、最後まで飽きることなく毎日幸せだった。ジペは本当に良い人で頼りがいのある人なんだ。ただ、長髪ドレッドで上裸だ。

10時半過ぎにぞろぞろとみんな起きてきてジペの朝ごはんとコーヒーにありつく。もう午前中ほぼ終わるじゃん…。と思った。なあんだ、身構えてたけど、あんまりハードワークじゃないんだな、と。これは半分正解、半分間違いだった。

11時過ぎた頃だろうか。そろそろやるか、とおもむろに作業が始まった。最初の作業。それは体の半分くらいの大きさの藁のブロックの運び入れだった。外の端っこの方に軽く200個くらいコンテナみたいに置いてある藁のブロックをトラクターの荷台に運び入れ、建築中の家の中に降ろす。ただそれだけの作業…なのだが、藁が痛くて刺さる!雨水吸って重い!ジペはなぜ痛くないのか不明。ジョンの兄貴も見習ってなぜか上裸。お腹真っ赤で刺さっとるやないか。おっさんとメアリーは力強そうだからまあまあ余裕そう。自分も負けじと食らいつく!40分くらい経ったか、休憩タイム。めちゃくちゃ辛い作業なのだが、このメンバーやる気があんまりないのですぐ休憩する(笑)タバコ吸ってコーヒー飲み始める。こういう具合でのんびり、でも作業はハード。お昼の時間も全然日本と違う。14時ちかくになってようやくランチだなあ、となる。こっちは12時くらいからそわそわしてるっての!

この間、何かと会話があるのだが、自分はわからないのでついていけない。ジョンもあんまりフランス語上手じゃないので、意外とついていけてないっぽい。色んな意味でジョンの兄貴は先輩なのだ。しかし、語学勉強しに来たのに、ほぼ会話聞き取れず、たまに質問されてもわからず、ジョンやメアリに英語で通訳してもらう…。泣きそうになってしまう。疲れと悔しさで頭真っ白になりながら2日目を終えていくのだった…。

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