SCEでPS1互換エミュレータを開発した(4)

前編: SCEでPS1互換エミュレータを開発した(3)
後編: SCEでPS1互換エミュレータを開発した(5)
1999年3月2日未明、僕は東京国際フォーラムの舞台袖にいた。その日は次世代PlayStation(PS2)の発表の日だった。僕の担当は現行PlayStation(PS1)との互換性があることを発表する時に実機で動くPS1ゲームを実演して見せることだった。

前の晩からスタンバっていたのには理由があった。初めてリッジレーサーが動いてから数ヶ月、GPUエミュレータは格段に進歩していた。たくさんのPS1ゲームが動くようになり、その中でも一番良く動くクラッシュ・バンディクー3をデモ用のゲームとすることになった。しかし、たまに止まるのだ。
デモ中に止まったら大変なことだ。結局当日までそのバグはとれなかった。だが、ずっと動かし続けていれば止まらないということがわかっていた。そこで夜を徹してクラッシュ・バンディクー3を実機で動かし続ける…ということになったのだ。

後輩と2人で夜を徹してクラッシュ・バンディクー3をやり続けた。手元にあるモニターの画像をスイッチひとつでホールの大スクリーンに映すこともできた。もちろん遊ばせてもらった。
無事夜を乗り越え実機は動作したまま当日を迎えた。さあ、いよいよ本番だ。

当日はソニー本社の出井さんも応援にかけつけるという盛大なイベントとなった。PS2の心臓部であるEEやGSのパワーを魅せつけたデモが進んだ。その度に舞台袖からはよく見えないが歓声やどよめきが聞こえる。イベントは順調に進行しているようだった。そしていよいよPS1との互換性発表の時が来た。

実はその時の様子はあまり覚えていない。奥スクロールゲームの主人公クラッシュ・バンディクーが障害物を次々と飛び越え、奥へ奥へと進んでいく…ハズだった。しかし、僕が操作するクラッシュはとある障害物を飛び越えられず、苦戦していた。結局飛び越えられたんだか、飛び越えられなんだか…今となっては全く記憶がない。

しかし、互換性の発表は拍手をもって迎えられた。デモも、操作はへたくそだったが動いた。イベントは大成功だった。

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SCEでPS1互換エミュレータを開発した(5)

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