vol.2 マレーシア到着【一緒に世界へバーチャル冒険】

世界一周1カ国目はマレーシア。羽田から出ていた一番安い航空券がAirAsiaのクアラルンプール行きだったからだ。24時発の便がAirAsia安定の40分遅れ。出発前はギリギリまで準備に追われたことで、7時間のフライトは狭い機内でもぐっすり眠れた。

初の入国はすんなり通過。入国審査官の女性達がヒジャブで髪を覆っている姿を見て、異国に来た実感が湧いてきた。スパイスの香りがするわけではないのに、空気さえも日本とは違うということだけは感じられた。

ターンテーブルでパツパツのバックパックと再会し、空港を後にした。空港からクアラルンプールの市内までは車で1時間くらい離れている。バックパッカーらしくバスで...と言いたいところだが、初心者による初移動はタクシーに委ねられた。Grabはまだこの世に生まれていなかった。


安心のタクシー...


のはずが、130キロでぶっ飛ばす運転手にいきなりアジアの洗礼を受け、二人とも無言でシートベルトに手を伸ばした。


市内に到着し、早速初の宿探し。アジアは安宿が集中する通りさえ見つけてしまえば、あとは実際に見てまわって直接交渉するだけだ。特にチャイナタウンは安宿のメッカだった。「これぞバックパッカー旅!」夢見た現実に胸が高鳴った。

プタリン通りで目に入った真っ赤な宿に早速入ってみると、英語がめっきり苦手な彼はいつの間にかわたしの後ろにまわっていた。

「Do you have any rooms available?」
(空室はありますか?)

「Yes, two persons? How many nights?」(あるよ。二人か?何泊するんだ)

「Yes, we are two. only one night. Can I see the room?」
(二人です。一泊だけです。部屋を見せてもらえますか?)

これが初の宿交渉。いかにも日本人らしい英語と中国人らしい英語でも会話が成立するのに少し感動を覚えた。

部屋に通されると、窓がなく薄暗かったが、一泊だけの場所と考えれば少しの薄汚れ感も気にならなかった。ダブルルームで60リンギット(当時約1800円)、エアコンあり、Wi-Fiあり、シャワートイレは共同だった。

とは言え、一発で決めて良いものかともったいぶる気持ちも湧いて、宿のおじさんには「また戻ってくる」と告げていくつか見てまわることにした。

一度降ろしてしまうとバックパックが余計にずっしりと肩に食い込む。

「ねぇ、ここで荷物見てるのと、宿探すのと分担しない?」

20キロのバックパックを背負い、5キロのリュックを前に持って歩き回るのはあっという間に体力を奪う。"役割分担"という二人で旅する利点を活かす手はないのだ。

さっきの宿で「あのくらいの会話なら...。」と少し自信づいた彼が宿探しを買って出た。


しばらくして、3件程内覧した彼が戻ってくると、結局は1軒目の宿が"ちょうど良い"ということだった。

おじさんのところに戻ると「わかってたよ。」と言わんばかりに、内覧した部屋の鍵がデスクに出されたままだった。やっぱり泊まることを告げ、部屋に入ると「本当に旅が始まったんだ!」という実感がジワジワと高まってきて、ベッドに大の字でダイブした。


すると、安心したのか急に空腹が襲ってきた。宿の周りには食堂というよりいくつもの屋台が連なったところがあり、賑わっている店を探して気ままに入ってみることにした。

マレーシア料理は、白いご飯が盛られたお皿に、目の前に並んでいる色んなおかずをバイキングみたいに盛ってお好みのプレートを作る。チキンカレー、角煮みたいなもの、野菜の塩煮など、わたし達はこれを通称"もりもりご飯"と呼んで気に入っていた。

適当におかずを取っているのに、料金はどうやって計算するのかと店の女の子に聞いてみると、スープ類はいくらごはんにかけてもタダ、おかずは何品あるかで計算しているらしかった。どおりでチキンカレーのルーだけご飯にかけるお客が多いわけだ。
昼間は気温も30度近く上がるのに、おかずは全て常温で置かれていても、不思議とおなかを壊すことはなかった。


初の食事を終えて満足すると、一度宿に戻ってランニングの格好に着替えた。そして、ある程度の地図を頭に入れてまた外に出た。地図を頭に入れると言っても、地図が読めない女のわたしは彼の地図に付いていく。

わたし達はこの旅で「ラン観光」をすると決めていた。街に着いたら、とりあえず荷物を置いて走ってみる。歩くよりも半分の時間で倍の範囲を見て周れる。街の様子が直に感じられるひとつの企画で、地球の走り方さんが応援してくれていた。

目指すは超高層ビルのペトロナスツインタワー。宿からは丁度片道3キロくらいだった。ストレッチをして軽く走り出すと、街の中は意外と都会でマレーシアの六本木を走っているような感覚だった。歩道は細く、タワーに着くまで他のランナーとすれ違うこともなかった。こんなところを走るもの好きなわたし達を、地元の人たちが物珍しそうに何度も振り返って見ていた。


ツインタワーとして世界第一の高さと言われるペトロナスツインタワーを下から見上げると、そのビルからも誇らしさが感じられた。

このタワー1は日本の会社が造ったらしい。海を越えて活躍する日本人を想像すると、そのビルが余計に誇らしく見えた。

帰りも片道3キロのランを終えてハイタッチ。旅の1日目は何もかも順調だった。

ひとつ初心者の教訓をあげるとすれば、宿のシャワーは水だった。それからは、ホットシャワーか、実際にお湯が出るかも宿交渉の一つに加えられた。

→vol.3 マレーシアで老後移住という選択

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