タッチャンの悲劇=成績を上げる本当の方法=(1)

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タッチャンの悲劇=成績を上げる本当の方法=(1)

   私が小学生の頃、昭和40年代のことだ。少年サンデーとか少年マガジンに怪しげな通信販売の広告をよく見かけた。その中に「忍者セット」のようなものがあった。「これを使えば、忍者のように2mジャンプも夢じゃない」といううたい文句は魅力的だった。しかし、父や母は「通信販売はインチキだから手を出してはいけない」と言っていた。

 

 しかし、テレビに出てくる忍者のように2mもジャンプができる秘密兵器とは?その魅力に負けて手を出したのが近所のお金持ちの息子の「タッチャン」だった。送られてきたものを見せてもらったら、麻の種らしかった。「この種を植えて成長に合わせて跳び越えれば2mは楽々ジャンプ可能」と書いてあった。

 

 植物など毎日2mmほどしか成長しないだろう。昨日より2mm高く跳ぶのは簡単だ。だから、麻が2mまで成長する頃に自分も2mのジャンプができる」。小学生には魔法のような魅力的な言葉だった。絶対に出来ると信じていた。しかし、タッチャンが2mのジャンプが出来る日は永久に来なかった。

60cmくらいが限界だった。

  まさにインチキ。父と母は正しかったのだ。あれから半世紀。21世紀になった。私は小学生から予備校講師になっている。そして、驚いているのだ。なぜなら、この「忍者セット」が今も通用しているからだ。「このプリントは昨日のプリントより1mmだけ難しい。だから、簡単に出来るだろう?」。このプリントは中学校の数学の内容を100段階に分けてあるから100枚目で中学校の3年生レベルまで到達できるよ」。こんな商法がまかり通っている。ビックリ。

  もちろん、科学の時代だから忍者のような怪しい売り方はしない。心理学者のスキナーも提唱しているといった権威を持ち出す。しかし、現実を見ればインチキだと分かる。もし、その理論が正しければ100段階まで誰でも行ける。誰でも東大でも京大でも合格できる。しかし、現実には東大や京大に合格できるのは同年代の0.6%くらいだ。いつの時代も同じなのだ。

  すると、必ず「いや、私はKをやって小学生の時に高校の数学を終わらせた」という人が現れる。「Eで習って英検3級に合格した」という人が現れる。私の塾にも、数年毎にそういう人がやってくる。しかし、そういう子のほとんどは本物の高校の問題をやってもらうと解けない。高校入試問題をやってもらうと苦戦する。

  うわべだけをなぞって「うわぁ、すごい!高校レベルの問題が解けた!」と塾講師にヨイショされただけのことが多い。すぐに何もやっていない子に追いつかれる。

  もちろん、私はそういう塾の存在を肯定している。どんなレベルであれ喜んで勉強してくれるのなら親は嬉しい。人類全体の底上げに貢献している尊い仕事だ。ただ、「これをやりきれば高校レベル」とか「この100段階をやれば東大や京大に合格できる」といった営業方法、集客方法はインチキだと言っているにすぎない。

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