タッチャンの悲劇=成績を上げる本当の方法=(3)

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タッチャンの悲劇=成績を上げる本当の方法=(3)

 

 エジプトの砂漠を友人二人とともに歩いていることを想像して下さい。砂丘を超えたところにピラミッドが見えてきた。すると、隣のAくんは

「あれはナイル川の氾濫のたびに石が偶然積みあがったんだよ」

 と言い、Bくんは

「あれは4千年も前に古代人が設計して作ったんだ」

 と言ったら、あなたならどちらの説を信じますか?

 

 私たちは小学生の頃にドッジボールが大好きだった。しかし、その投げたボールが実は二次関数のカーブを描いて飛んでいくことは知らなかった。その後、高校で物理・化学・生物を習うと様々な現象が定理や法則どおりに作られていることを知る。

 すると、この世の背後に何らかの設計図があると信じざるをえなくなる。だから、人によってはこの世界はバーチャルではないかと思い始める。余りに何もかもが理路整然と語れるからだ。それを科学と呼ぶ。

 

 私の教えていたアメリカ、ユタ州、ローガンにある中学校の生徒の多くは「人間は神様が作りたもうた」と信じているクリスチャンだった。もちろん、ダーウィンの進化論も教えるのだが

「偶然起こった遺伝子の突然変異の結果、進化が起こった」

 と考えるのか

「すべては神様が設計された御心のまま世界は作られた」

 と考えるのか。どちらが説得力があるのだろう。

タッチャンは医者の子だったので、お金に困っていなかった。私立大学の莫大な授業料も払えただろう。しかし、親はどうしても権威付けのために国公立の医学部に合格して欲しかったようだ。

 タッチャンは、ある日勉強中に全身痙攣に襲われて倒れてしまった。担ぎ込まれた病院で出た診断は、ノイローゼだった。国立大医学部合格が人生の全てだったタッチャンは、悩んだのだろう。成績がそこまで追いついていかなかったからだ。

  睡眠学習機をご存知だろうか。寝ている間に年号や化学式を音声で聞かせるものだ。そのまま眠れば寝ている間に全て頭に入るというインチキな代物だ。タッチャンは、精神を病んだだけでなく体調も崩してしまった。

 

 私は塾講師として30年間受験指導を行わせてもらった。そして、今は学力上位の子が多い自分の塾を経営している。もう8年連続で京都大学の合格者を出し、その中には医学部医学科に合格した子も3名含まれている。そして、分かったことがある。それは、トップクラスの子たちは「神のごときもの」を信じているらしいことだ。

 キリスト教、イスラム教、仏教のことではない。宗教は関係なく、この世の背後に見え隠れする法則のようなものを信じている。アインシュタインは「神はサイコロをふらない」と言ったが、同じようにこの世はカオスではないと感じている。

  その偉大な存在を感じている子は、目の前の受験など小さなことに感じる。その壮大な論理の世界の前では、どんな定理や法則も小さなことに見える。たとえ、自分がクラスでトップであろうが学年でトップであろうが大したことはない。

 12cm飛ぶカエルと14cm飛ぶカエルのどちらがエライか。そんなことを考えること自体バカバカしい。そういうスタンスに立てる子の学力は伸びる。

 逆に、どの参考書が良いとか悪いとか。どの予備校が良いとか悪いとか。朝型が良いとか悪いとか。A先生が良いとか悪いとか。そんなことばかり考えている子の学力は伸びない。視野が狭い。志が低すぎる。裏技ばかりに目が行ってしまう子のことだ。そういう子の決まり文句も分かっている。

「すべての問題が解ける方法を教えてください」

 です。キミは神にでもなりたいのだろうか。

 

 結局、タッチャンがどうなったのか。私は結末を知っている。

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