ユリちゃんの「京都大学、医学部医学科」合格体験記=外伝=

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ユリちゃんの「京都大学、医学部医学科」合格体験記=外伝=

(場面1)

 日曜日の朝。高先生は教会にいる。高校生くらいの女性会員が高木先生に近寄り話しかける。

「それでイエス様は十字架の上で何と言われたのですか」

父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのか知らないのです。ルカ23章、34節だね」

「自分を殺そうとしている相手に向かってですか?」

「そうだね」

「本当かな。後で作ったお話だったりして」

「そうだね。私にも出来そうにない」

「うん、高木兄弟は少林寺拳法の黒帯でしょう?ボコボコに殴りそう(笑)」

「そうかもね(笑)」

(場面2)

 高木先生は塾の駐車場に車を止めて、入口にチェーンをかけようとしている。

「あれ?おかしいな。チェーンがとどかない・・・」

 修理のために業者を呼ぶ。業者の人が修理をしながら高木先生に話しかける。

「先生、ヤバイっすよ、これ」

「どういうこと?」

「こんなぶっといチェーンは特殊な工具がないと切断できませんよ」

「つまり?」

「ここ、昼間は人通りが多い。たぶん、誰かが夜中に工具を持って来て、コノヤロみたいにギーコ、ギーコ」

「こわいね」

「そうですよ。警察に被害届を出した方がいいですよ」

 

(場面3)

 塾で授業が終わった。一人の少年が高木先生に近づき言う。

「先生、ボク、今日で塾をやめます」

「え?そうなの?」

 その少年が教室から出ていくと、別の少女が近寄ってきて言う。

「先生、あの子スパイだよ」

「え?なに言ってるの?」

「あの子のお母さん、塾をやっているの」

「最近、先生の塾の評判がいいから教え方とか教材とか・・」

「それ、考えすぎじゃない?」

「先生は本当にお人好しだよね。ま、そこが先生の良いところだけど」

「ありがと。でも、ナマイキ(笑)」

「そだね(笑)」

 

(場面4)

 クレームをつけにやってきた父親と面接している高木先生。

「だから、悪いことやったのはオレの息子だけじゃないんだよ!」

「でも、他の生徒をたきつけて女子生徒のスカートをめくったのは事実だし」

「証拠はあるんかい?録画でもしたか?」

「だからって、3回も4回もクレームに来るって変でしょう」

「なにぃ!!こんなチンケな塾つぶすの簡単なんだぞぉ!!」

「・・・・・・・」

「やってみろよ・・・・」

「え?」

 激怒する高木先生。

「やってみろって言ってんだよ!オイ、お前!!中学3年生にもなって父親に泣きついたか!!最低だな!おまえ!!」

 勢いあまって拳で机を叩く。ガン。机の上に拳型のへこみが出来る。二人は真っ青になる。

「わ、悪かった。怒らすつもりじゃないんだ・・・」

「今すぐ出ていけ!!二度とオレの前に顔を見せるんじゃねぇ!!」

 二人は慌ててドアから出ていく。

「父ちゃん、ま、待って!」

「アホ!!あいつはヤバイやないか!」

「おまえ、チビッとるゾ」

「あー!」

(場面5)

 そこへ、ユリちゃんが入ってくる。

「どうかされたんですか?」

「あれ?この机、へこんでる」

「いや、何でもないんだ。さっき、ここに天使が降りてきたんだよ」

「なんですか?それ。ところで、京都大学のボーダーってどれくらいですか?」

「年度によるけど公表されているデータでは65%くらいかな。ただし、医学部医学科は80%くらいの正解率が必要だよ」

「え?先生の成績開示を見たら英語は80%超えているけど、先生と同じレベルの英語が必要なんですか?」

「いや、それはあくまで目標。たぶん、8割というと全受験生のトップクラスだからね。ボーダーはもう少し低い」

「やっぱり厳しいなぁ。8割を超える秘訣とかないですか?」

「あるよ」

「え?是非、教えて下さい」

「ユリちゃんは、何だと思う?」

「やっぱり、語彙と文法力かな」

「いや、違うね」

「え?」

「思いやりだよ」

「和訳にせよ英作文にせよ、執筆した人が本当に言いたいことは何かを思いやる。そして、解答を作る時は採点官に分かりやすいように書く思いやり。これがないと京都大学には合格できない」

「私は問題研究のためセンター試験を10回受け、京大二次試験を7回受けたんだけどね、そこで出会った受験生たちは全然違う子たちだった」

「たとえば、京大ではドアを開けて通る時は必ず次に来る人のためにドアを支えていた。センター試験の会場ではそんな経験したことはなかった」

「名古屋の河合塾で『京大オープン』を受けた時、私に近寄ってきた高校生がいたんだ。彼はこう言った。『失礼ですけど、その歳で京都大学を受けるんですか?ボク、そういう方を尊敬します』って。彼は私の心の中を思いやる心があったんだ」

「受験だけじゃなくてビジネスの世界でも大切なことなんだ」

(場面6)

 事務所で仕事をしている高木先生。午前中。携帯電話が鳴る。

「もしもし、高木先生ですか」

「はい」

「あの、塾生の母親ですけど」

「はい(うわ、クレームか?)」

「さっき、別の塾の方がみえて『高木塾はもうすぐ閉鎖になるから塾を移るといい』って言われたんですけど、塾を閉鎖される予定ですか?」

「え?塾なんていつ潰れるか分かりませんけど、私は今後も頑張るつもりです。閉鎖の予定はないですね」

「やっぱり。安心しました。では、これで」

 高木先生は一人でつぶやく。

「こんなことでビビるとでも思っているヤツがいるのかな。私が体育会系って知らないんだ。ま、放っておくか。ハハハハハ」

 

(場面7)

 喫茶店で友人と話している高木先生。

「おい、タカギ、お前名古屋の大規模塾で勤務してたよな」

「うん」

「じゃ、闇の営業部隊って聞いたことあるか?」

「名前くらいは」

「オレの友人が桑名で塾をやっていてな」

「うん」

「近所に大規模塾ができてから変な嫌がらせが始まったって」

「へー」

「塀が壊されたり、その塾講師は変態だって噂を流されたり・・」

「チョー低レベルな話だな」

「なに自分は関係ないって顔してんだよ」

「だって、そんな汚い手を使う塾はそのうち潰れる」

「それは正論だろ。相変わらず世間知らずだなぁ」

「世間知らずで結構(笑)」

(場面8)

 ユリちゃんが自分の部屋で勉強していると、ラジオからカオリンの声が流れてくる。

「いつも『いなべFM』をお聞き下さりありがとうございます。今日は、リスナーのラジオネーム『キョウダイセブン』さんからビッグニュースです」

「あ、高木先生だ」

「へー、漫画にカオリンを登場させたんだ。私が出たかったな(笑)」

「それにしても、この空間図形の体積は積分で出すのだろうけど」

「そっだ、高木先生にチャットワークで聞いてみよう」

 ラジオからクリスマスソングが聞こえてくる。

                       終わり

 

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