スペック・ハイ(起)

 スペック・ハイ(起)


(場面1)
1944年、10月。神風特攻隊のパイロットたちが話をしている。

(男1)「オレのような優秀なパイロットを爆弾代わりにするような愚かな作戦しか立案できない上層部はバカだ」

(男2)「おい、上官の耳に入ったら軍法会議ものだぞ」(ぐんぽうかいぎ)

(男1)「どうせ、明日は死ぬ身だ。構うものか」

(男2)「そうだな。日本はこの戦争に負ける」

(男1)「うむ。新しい日本が始まる。新しい日本のリーダーは賢明であれ。オレたちは日本の未来のため立派に死んでいこう」

 ゼロ戦(戦闘機)のブロペラの爆音。アメリカの軍艦にぶつかり大爆発する音。


(場面2)

 アメリカ、ユタ州ローガン中学校の「社会」の時間に高木先生が日本の紹介をしている。

(高木)「以上だけど、何か質問があるかな?」

(男子)「はい」

(高木)「どうぞ」

(男子)「ミスタータカギ、日本人って広島に原爆が落ちた時に怒った?」

(高木)「え?」

(アメリカ人教師)「ミスタータカギは若いから変な質問で困らすんじゃない」

(男子)「でも、ミスタータカギの態度で何となく分かった」

(高木)『なんかいいなぁ。これこそが表現の自由だよね。日本にはあんな生徒いないもんな』


(場面3)

 名古屋の大規模塾に勤務している高木先生。

(塾長)「生徒情報だと高木先生は学校のテストを収集して解答をつけてるんだって?」

(高木)「はい。理科のテスト前日に英語の授業じゃ生徒が気の毒ですから」

(塾長)「どのくらい集めたの?」

(高木)「解答をつけて8000枚くらいかな」

(塾長)「エーッ?」

(塾長)「そこまでサービスしなくていいんじゃない?」

(高木)「でも、お陰で理科・社会も教えられるようになりました」


(非難の声)「高木先生、スタンドプレイはやめて下さい!そんなことされたら私たちも生徒から他の科目の指導を求められて迷惑なんです!!」


(長女)「お父さん、私たちもう大きいから再婚しても大丈夫だよ」(小学4年生)

(高木)「ありがとう。でも、お父さんモテないから(笑)」


(場面4)

 塾の教室でエリックと話している高木先生。

(高木)「エリック、ALT(エイエルティー、学校の英語補助教師)の仕事に慣れたかい?」

(エリ)「そうだね。最初は怖かったけど」

(高木)「分かる」

(エリ)「全員、黒髪、黒服、同じ靴で同じ髪型。刑務所に来たかと思った」

(高木)「ハハハハ。分かる」

(高木)「私が中学生の頃は全員坊主頭にさせられたよ」

(エリ)「そんなことしたら・・・」

(高木)「暴動だろう?私もアメリカの中学校で教えていたから分かるよ(笑)」

(エリ)「そうです。なんで日本では暴動、いや抗議する人がいないの?」

(高木)「絆、一致団結」(きずな、いっちだんけつ)

(エリ)「あ、その言葉よく聞く。どういう意味なの?」

(高木)「絆は tie 一致団結はsolidarity かな」(タイ、ソリダリティ)

(高木)「でも、本当は『みんな同じでないと許さない』ってことさ」

(エリ)「日本は独裁国家じゃないよね。学校の先生方は、その言葉をポジティブな感じで使ってたよ」

(高木)「そうだろうね。日本ではみんな一緒が良いことなんだ。アメリカはみんな違うのが良いことなんだけどね。真逆なんだ、価値観が」

(エリ)「ふーん、不思議な国だなぁ」

(高木)日本では頑張って何かやろうとすると、必ず「やめろ」という圧力がかかる。こんな同調圧力は日本だけ。だから、日本からグーグルやアマゾンは出てこれない」

「個性のある子は学校でその芽が潰される。先生方は自分が何をしているのか分かっていないんだ」


(長女)「お父さん、今日で大学を卒業だよ。授業料たいへんだったでしょう?」

(高木)「まぁ。でも、お前たちがいてくれたから頑張れたんだ。ありがとう」


(場面5)

 塾の教室で桜子ちゃんと話している高木先生。

(桜 )「私、絶対にこの町を出ていく。いや、日本から出ていく!」

(高木)「どうした?学年トップのキミが出ていったら日本の損失だよ」

(桜 )「だって、今朝生活指導の先生が『ブラは白しか許可されていない』だって。女子生徒の胸ばかり見ている。セクハラだよ。あいつら気持ち悪すぎる」

(高木)「うーん」

(桜 )「英語が話せない英語の教師。野球のルールも知らない野球部のコーチ。セクハラ教師。いったい、日本の学校はどうなっているの!くだらない校則を考える暇があったら勉強しろ!」

(高木)「なかなか手厳しいね」

(桜 )「だって、なんで教師に下着の色まで決められなければならないの?」

(高木)「わいせつ教師が増えすぎた問題は国会でも取り上げられてる。もうワイセツ教員に教員免許が交付されることはなくなりそうだよ」

(桜子)「そうなんですか?」

(高木)「わいせつ教師のブラックリストを作る法案が今国会で可決成立する」(かけつせいりつ)

(高木)「このブラックリストが漏洩したら大変だけどね」(ろうえい)

(桜子)「エロ教師になんかに人権は要らない。代わりにGPSを付けとけ」(ジーピーエス)

(高木)「なかなか手厳しい(笑)」


(場面6)

(桜子)「先生、うちの叔父さん東京で飲食店やってるんです。なんでコロナの協力金がこんなに遅れているの?」

(高木)「税金の納付は遅れたら延滞金なのに支払う時はどれだけ遅れても延滞金はない。飲食店が倒産したら協力金を支払わなくて済む。上司から支払いを遅らせるように言われているかもね。コロナより先に政治に殺されてしまう」

(桜 )「政治家も官僚も自分の給料は安泰だからね」

(高木)「だから、キミたちも学校に頼らないで自分の道は自分で考えた方がいいよ」

(桜 )「そうですよね。毎年、受験までに教科書が終わらないらしいし」

(高木)「残念だけど、中国、台湾、韓国などのリーダーの方がうまく対処している。日本は戦前も戦後もデモクラシーが存在していないんだよ。だから優秀な人材はみんな日本から脱出しつつある」

(桜 )「ありがと。今、先生は私をほめたでしょう?私に惚れた?(笑)」

(高木)「うーん、相変わらず鋭い(笑)。でも、私は女嫌いだからね」

(桜 )「私のような優秀な生徒を追い出すなんて教師も教育委員会もバカだよね(笑)」


 独創的な新製品をつくるヒントを得ようとしたら、市場調査の効力はゼロとなる。大衆の知恵は決して創意などはもっていないのである。大衆は作家ではなく、批評家なのである。

                                       =本田宗一郎=

               終わり

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