ユリちゃんの「京都大学、医学部医学科」合格体験記=最終章=

ユリちゃんの「京都大学医学部、医学科」合格体験記=最終章=


(場面1)

 ユリと高木先生が塾の教室で話をしている。

(ユリ)「先生、私、昨日母に会いに勤務先のスーパーに立ち寄ったんです」

(高木)「うん」

(ユリ)「そしたら、母がお客さんに怒鳴られていて・・・」

(高木)「そう・・」

(ユリ)「私、先生がうらやましい」

(高木)「え?どうして?」

(ユリ)「だって、先生の塾って怒鳴るような子が全然いないじゃないですか。私もそんな環境で働きたい」

(高木)「ユリちゃん、私もシングルファーザーだよ。それに怒鳴りつけてくる保護者もいる」

(ユリ)「でも、みんなここは別格だって」

(高木)「そうだね。別格。ユリちゃんみたいな子がいてくれるから(笑)」

(ユリ)「教えてください。どうやったの?私も人をイジメて喜ぶような人に近づきたくない。人を見下すような人はイヤだ!」

(高木)「・・・・・・」

(高木)「英検1級に合格したら良い子が数人来てくれてね。京大を7回受けて成績開示したら成績優秀な子が来てくれた。河合塾学園に勤務したことやアメリカにいたことをアメブロに書いたら躾の良い子ばかりになってきた。その経験を漫画化してアマゾンで出版したり、今はボイスドラマを作ってもらってる」

(ユリ)「一歩一歩か」

(高木)「そう。ユリちゃんもまずは京都大学の医学部医学科に合格。そして、立派なお医者様になる」

(ユリ)「そうしたら、人にいじわるをする人に会わなくて済むかな?」

(高木)「ゼロにはならない。でも、少なくはなる」

(ユリ)「そうだよね」


(場面2)

 塾の教室で生徒たちが高木先生に質問をしている。

(女子)「先生、この2021年の京大の英作文4番の(1)(2)ですけど」

(高木)「どうした?」

(女子)「パスタが不味かった理由を英語で書かせたいみたいなんです」

(高木)「それで?」

(男子)「駿台の解答は好きじゃなかった、腹が減っていなかったからって」(すんだい)

(男子)「河合のはシェフの腕に問題あり、シェフじゃない人が作ったって」

(男子)「東進はその風味に慣れていなかった、体調に問題あり」(とうしん)

(女子)「先生、どれが高得点になるんですか。ボクは河合のがいいと思います!」

(高木)「そうだね。だから、私は自分で7回受けてどのような解答が高得点になるか分析したんだよ」

(生徒全員)「それ、教えてください!!」

(高木)「うーん、キミたちは大丈夫かな・・」

 回想。

(生徒)「田舎の塾講師ごときが!!」

(母親)「これが添削ですか?赤ペンを入れるのが添削でしょ?」

(生徒)「私は学年10番までに入っているのに、こんな低い評価はありえない!!」


(場面3)

 ユリと高木先生が教室で質疑応答中。

(高木)「10年以上、京都大学の英作文と和訳の添削をしていて分かったのは『三単現、時制、冠詞、単数・複数でミスをしないと合格する』ということなんだ」

(ユリ)「それって中学校で習うことばかりですよ.。京大受験生でもそのレベルですか

(高木)「そうだね。その4点をミスしない子は京大受験生の1割もいない。ほとんどの子は難解な単語や構文を使うと高得点が得られると勘違いしているんだ」

(ユリ)「そういうことなんですか」

(高木)「うん、京大英語で8割を超える肝(キモ)はそこなんだ」

(ユリ)「でも、どうしてそんな話を私にしてくれるのですか?」

(高木)「誰にでも話しているわけじゃないんだよ」

(ユリ)「え?」

(高木)「ユリさんは、怒鳴る人が嫌いだと言ったでしょう?」

(ユリ)「はい、嫌いです」

(高木)「私もだよ。怒鳴らないと分からない人もいるけどね」

(高木)「私が本当のことを話すと激怒する人がいる。そんな当たり前で中学レベルの話を聞きたいんじゃない、って」

(ユリ)「そうなんですか?」

(高木)「うん。そういう人は難関大に合格できないから話してもムダなんだ。知っていることと実行できることは違うんだけどね」

(ユリ)「分かります」

(高木)「私が大事なことを話す相手は一部の子だけ。一子相伝(いっしそうでん)(笑)」

(ユリ)「ありがとうございます。期待に応えられるように頑張ります。武道の話に似ていますね」

(高木)「そうだね。強い子はさらに強くなり、ダメな子はいつまでも成長しない。大人になる頃にはどうにもならない差がついてしまう」


(場面4)

 北勢線「星川駅」。日本で3本しかないナローゲージのトロッコ電車なので音は古めのガタン、ゴトン。高木先生が乗り込んでくるとユリちゃんがいる。

(ユリ)「あれ?高木先生じゃないですか」

(高木)「やぁ、ユリさん。学校の帰りかい」

(ユリ)「先生は星川に何か用事があったのですか?」(ほしかわ)

(高木)「うん。車が車検でね。でも、どうしても必要な本があって。ここの本屋さん大きいから」

(ユリ)「先生は京大医学部に合格した生徒を3人指導したことがあるんですよね」

(高木)「正確に言うと20年くらい前に名古屋の大規模塾で勤務していた時に一人京大医学部に合格した女子がいた」

(ユリ)「どんな子でしたか?興味があるなぁ」

(高木)「思い出深い子だよ」

(高木)「その子がある時『便意をもよおしました。トイレに行っていいですか?』って言ったんだよ」

(ユリ)「え?」

(高木)「ビックリだろ?」

(高木)「だから、私は彼女に尋ねたんだ。女子高生がそんなこと言うのおかしいよね、って」

(ユリ)「で?」

(高木)「学校ではトイレに行く時は長くなりそうなら小か大か言わされるので習慣で言ってしまったって」

(ユリ)「今ならセクハラですよね」

(高木)「いや、当時でも変だったよ。たぶん、その教師だけの指導じゃないのかなぁ」

(ユリ)「今でも男子と女子が同じ教室で着替えをさせる学校があるそうですね」

(高木)「ポニーテールは男子を興奮させるから禁止とか(笑)」

(ユリ)「先生の教えていたアメリカの学校はどうでした?」

(高木)「まるで、逆だよ。日本は周囲に合わせてみんなが同じでなければならない同調圧力」

(高木)「アメリカは、逆で『他の人と違うことにチャレンジするんだ!』って圧力がすごい」

(ユリ)「へぇー」

(高木)「結局、彼女は卒業に必要な出席日数を確認して登校拒否になった」

(高木)「医学部は面接があるからね。面接官が異常に少ない出席日数を尋ねてこないか心配したよ」

(ユリ)「で、結果は?」

(高木)「みごと合格。今は関東で遺伝子組み換えの研究をしているそうだよ」

(ユリ)「そうなんだ」

(高木)「ユリちゃんも、日本の学校で個性をつぶされないようにね。京大は個性的な生徒が欲しいんだから」

(ユリ)「そうですね、京大に「特色化選抜」の制度ができたのもその表れですよね」

(高木)「そう。日本からグーグルやアマゾンが出てこないのは画一化した学校のせいかもしれない。アメリカの中学生に日本の修学旅行の写真を見せたら『これは囚人か?』と尋ねられた。同じ服、同じクツ、同じカバン、同じ髪型。そんな強制を受けるのはアメリカでは囚人くらいかな」

(ユリ)林璃菜子(はやしりなこ)さんという高校生が京都大学医学部医学科に飛び級で入学しましたよね。国際化学オリンピック日本代表としてメダルを獲得するなど、数々の大会で優秀な成績を収めて、飛び級合格したって」

(高木)「そうだね。ユリちゃんも負けてられないよ(笑)。なんせ名古屋の南山高校の子だから地元だよ。私は名古屋大学の学生の時は南山高校の近くに下宿していた」


(場面5)

 ユリと高木先生が塾の教室で話をしている。

(高木)「ユリさん、合格おめでとう」

(ユリ)「ありがとうございます。先生のお蔭です」

(高木)「それでね、今日は一つお願いがあるのだけど」

(ユリ)「何ですか?」

(高木)「ユリさんのことを全国の受験生に知らせたいんです」

(ユリ)「え?どういうことですか?」

(高木)「京大医学部医学科に合格した生徒が何をやったのか知りたい受験生は全国にたくさんいると思うんだ」

(ユリ)「私なんか参考になるかな?」

(高木)「多くの受験生に勇気を与えることが出来ると思うよ」

(ユリ)「名前は出さないで下さいね。それから、数年後なら。今だと誰のことか特定されちゃうかもしれない」

(高木)「分かった。そうする」

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