俺だけチケットがない!ヒッチハイクで出会った七人のドライバー【高速にのろう編】

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前話: 俺だけ帰りのチケットがない!ヒッチハイクで出会った七人のドライバー【ヒッチハイクはじめました編】

「いやあ、なんか面白いことをやってるなと思ってさ」

手塚部長が僕を乗っけてくれた理由は、なんともかっこよかった。

なんか面白いことをやっている奴を、なんか面白いなと感じて協力してくれる人。
世界はこんな感じで回っているんだろうなと思ったし、
やっぱりテニプリの手塚部長だなと思った。
それから次のサービスエリアまで、車内で手塚ゾーンとか天衣無縫の極みなどについての話をした。

ヒッチハイクを通じて車内での少しの時間をシェアする。
ヒッチハイクの醍醐味はここにあるんだろうなと思う。

車内での楽しい時間を過ごし、僕は手塚部長が降りる前のサービスエリアでおろしてもらった。

そしてサービスエリアでまた、魔法の画用紙を掲げ次の車をすぐにつかまえることができた。

二人目 ビーチフラッグのうまそうな青年実業家

二人目のお兄さんもイケメンで、
筋肉番付ならビーチフラッグがうまそうだなと思った。
二人目のお兄さんにも、お兄さんが降りる前のサービスエリアでおろしてもらった。

ヒッチハイクで乗せてくれる人は皆気さくないい人で、
やっぱりこの人はビーチフラッグがうまそうだなと思った。
高速道路に一回乗ってしまえば、ヒッチハイクはもう問題ないように思えた。

そうすると余裕が出てくる。
いつの時代だってそうだ。
余裕がでてくると人は遊びを求める。
だから僕はふざけてスケッチブックにこう書いた。
「LAまで」

これがヒッチハイクの神様を激度させた。
※今で言う激おこプンプン丸である
「なにあれ〜超面白いんだけお〜〜〜」
「え〜〜ウケル〜〜」
「LAまで」と掲げているアメリカンヒッピーもビックリの僕の前に、
女性が二人現れた。
僕は舐め回すように二人をみた。
さりげなく髪型をちょっとクシャッと無造作にしたのを覚えている。
聞かれてもいないのに「ヒッチハイクやってるんです」と
ちょっと福山雅治を意識した低い声でしゃべる。
福山ボイスが効果抜群だったのか、
「うちらの車にのってく?」といわれた
僕は興奮した。
興奮してちょっと勃起したかもしれない。
車内でなにかあるかもしれないぞ
ホクホクと闘牛のように歩き出す
とにかく僕はうれしかった
ヒッチハイクの神様が激怒しているともしらず。
※カム着火インフェルノとかもあるみたいですね

天女達に促されるままに僕は彼女達の車に着いた。

ベンツがあった。
ブルースウィルスみたいな頭をした男がいた。

男は天女達を「姉さん!!」と呼んだ。
「なんです、その男は?」運転手の男は怪訝そうな顔をした。

「ヒッチハイクしてるみたいだから乗っけてって」
もう、お姉さんは乗っけてってくれる気満々である。
「ああん?!ヒッチハイク?」
ヒッチハイクの意味が分からないなら説明しますから、
臓器だけはとらないでくださいとは言えずに「ええ、まあ」とだけこたえた。
僕は車に押し込まれた。

三人目 たぶんあちらの世界の方々


よれたにジーパンの男がベンツに連れ込まれる。

逃げられないような形で真ん中に座らされ、車は走り出す。

傍から見たら

なにかしでかした男が拉致された
そんな風にしか見えなかっただろう。
そして前述の通り僕は何か言われるたびに「はい」しか言わなかった。

だから車が高速をおり始めたときの必死の抵抗「あ、、」を言ったときには、
何もかもが遅かった。

「じゃあ、俺らは店いくから兄ちゃんはここでいいよね??」
「ええ、はい」

自己主張ができないまま
夜の九時に僕は名古屋の一般道でおろされた。

高速道路上を乗り継いでいくという必勝法は崩壊し、
ここから真の地獄がスタートした。
PS 
運転手のお兄さんはカメラを向けると満点の笑みを浮かべる、
とても気さくな良い人でした。

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