第5回 日本の会社辞めて中国上海で働くまでの経緯。

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LLのキャリーバックを引きずるように持ちながら上海のKTVで個室に案内される。

20人ぐらいの小姐が個室に入ってきた。
それぞれの服には番号が付いている。
ジョー(大学時代の先輩)が言った。
「日本語話せる人は手を上げて」
ここは日本人を相手にしているKTV。
とはいえ彼女たちの中でも日本語を話せない子、自信のない子もいる。
中国語が話せるなら逆にそういう子を選ぶ日本人もいるだろう。
とはいえ僕はほとんど中国語は話せなかった。

。。。というか20人の女性に思いっきり見られている状況。
率直に恥ずかしい。
小姐たちもやる気を目でアピールしてくる。
この状況はなかなか体験してみないと言い表せない空間だ。
僕が少し戸惑っていると
ジョー「いない」
それを合図に小姐たちは部屋を出て行く。

また別の小姐たちが部屋に入ってきた。
そう、入り口で100人ぐらいいた小姐たちが順番に入ってくるシステムである。
きりがないので、僕は次に入ってきた小姐から直感で一人を選んだ。

夜の女の子と言っても日本の事情とは少し違う。
上海のKTVで働いている小姐の中には基本的に上海人はいない。
他の地方から来ている女の子たちだ。
そしてその女の子たちは普通に街中で働いた場合では稼げない収入を得ている。
さらにそのお金で、親のために実家を建てたりも、親に仕送りしてあげたり。
KTVで稼いでいることを伝えているかいないかは別として親からしても、自慢の娘だ。
どこか心に闇があってとかそういうんじゃない。
日本以上に弱肉強食の世界。
その中で勝ち抜いていく。
悲観的な見方が正しいとは言い切れない世界。
中国の社会構造の中で、単純明快に成り上がれる場所。
でもいわゆる美人であること、社交性などが求めらる。
少なくとも日本以上にハングリー精神あふれる場所であることを僕は頭と感覚両方で感じていた。
僕が選んだ小姐の名前は多多といった。
僕は本を見て覚えてきた中国語を試してみたり、
上海の情報収集してみたり。
多多はすごく明るくパワーのある子で、
上海に来て3時間ぐらいしかたってないのに、
多多のおかげでなんだか勢いがついたような気分だった。
やはりLLのキャリーバックをもってKTVにきたことにはびっくりされた。
というか単純に笑われた。
僕は状況を説明した。
日本の会社にはもう辞めると伝えて、上海に面接に来たこと。
上海で働くという目標をクリアするために、給料にも待遇にもこだわってないということ。
ただ自分の成長機会となる場所を探しているという事。
今回は1週間ぐらいの滞在であること。
必ず内定を取って、7月ぐらいから上海で働くつもりだということ。


多多「なんぱんよー」
僕「?」
多多「なんぱんよー」
多多「この言葉知ってマスカ」
僕「知らない」
多多「男朋友と書く、これでなんぱんよーと発音」
多多「つまり、彼氏という意味」
多多「你是我的男朋友」
多多「あなたは私の彼氏ははははは」
確かに嬉しいけど、上海に来て3時間ぐらいで彼女ができた。
大丈夫か。だまされてないか。お金取られるんじゃないか。

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