23人生の岐路 / 『こおり鬼』の評価

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私達の作品が旅立つ前日、私は眠れなかった。
撮影前日と同じ気持ちだった。
心臓がバクバクする…。
ちなみに撮影では緊張のあまり、2日間で体重が4キロ減った。

合評(いわゆる講評会)では三年生はもちろん、先輩も観るし後輩も観る。
上映する順番は当日に発表されるため、緊張はずっと続くこととなる。
上映だけでなく、その後に監督から感想をいう。
いわゆるプレゼンだ。
私は人前で話すのが苦手。上映以上に、そのプレゼンに緊張していたかもしれない。

上映はすぐにやって来る。
自分の作品が流れ始めても、画面を真っ直ぐ見つめることはできなかった。
何度も見直をしたのはパソコンのディスプレイだった。
大きな画面だとまた違ってくる。
全体的に画が暗く、編集で明度をあげていたため、質感がざらざらする。
パソコン上でも汚く見えてしまったので大画面でどう出るのか不安だった。
エンドロールが終わるまでは気が抜けなかったのだ。

上映、そしてプレゼンが終わった。

先生方からのコメント。
画の質やカット、カメラの技術はあまり突っ込まれなかった。
企画がよかったとむしろ褒められたのだ
自分でも意外だった。
膝は震えっぱなし。
先生のおかげだと心から思った。

昼の休憩の時に、一人一人の先生からコメントをいただいた。
カメラの技術や画の質を除けば、評価はよかった。
全体的に、と言われたら、まずまずの結果となるだろう。

この作品を通して、人と人との関わりを身を持って学んだ。
作品自体、対人関係を描いたものだった。
子供の世界における人間関係。
大人社会での人間関係。
誰でもなんらかの理由でひとりぼっちになってしまうときがある。
その時に、
手を差しのべてくれる者がいれば、見向きもせず通り過ぎる者もいる。
その背景がこおり鬼と似ていることに気づいた。
こおり鬼とは、子供の遊びである。
鬼が1人で、残りの人は逃げるもの。鬼にタッチをされると、その場で固まってしまう。ただ、仲間にタッチをされることで、氷(かたまり)は溶け、走ることができる。仲間にタッチされない者はずっとその場で動くことができない。
企画書に、人生とはこおり鬼と同じである。と記すとその一文が先生の心に響き、絶賛され、ゼミ作品となったのだ。

脚本も、演出も、撮影も、編集も、初心者だった。
キャストやスタッフに迷惑ばかりをかけた。
だからこそ、誰よりも働かなくちゃと思い、機材をすべて一人で公園まで運ぶこともあった。
その様子を見た先生が、なんで誰も手伝わないのか、と怒っていた。
監督だからと言って、人にお願いすることが苦手だった。
自分が全然できていないんだもん。
お願いするなら自分でやったほうがマシだ、てね。
自分がこおり鬼から抜け出せなくなっていたのだ。
でも、私には手を差しのべてくれる仲間がいた。
声をかけてくれる仲間がいたのだ。
指摘をしてくれる仲間がいたのだ。
そのことに気づいてから、大変な日々だったけど、幸せを感じるようになった。
みんなで作品を作っているんだ、と実感し、仕事をお願いするようになった。
大きな壁をみんなで手を繋いで乗り越えることができたのだ。
本当に感謝しきれないです。
作品の達成感も味わえたけど、それ以上に、自分達の人間模様を作品におさめられたのでは、と強く思っています。
みんなが一丸となり、作品に向かう。
一人一人の力は小さいけど、その力がかけ算となり、大きな力を発揮する。
『こおり鬼』を監督して、本当に良かった。
私にとって初となる作品。
一生の宝物です。
最後に、私にとって恩師となる先生は、『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』の監督をされている東陽一さんです。
最後の最後まで怒られた。
でも、東さんのゼミに入って心から良かった、そして感謝の気持ちでいっぱいです。
ゼミを最後にお会いしていない。
連絡を入れてみます。お会いする機会を作ってもらおう。

ゼミ作品が終わると、次に待ち受けていたのは、就職活動と卒業制作です。
こちらは一筋縄では行きません。
三年間のことを書いてきたが、三年間をあわせても四年生の内容は度が超えています。
と盛るのもあれなので、
次から書いて行きます。

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24人生の岐路 / 自分はなにがしたいの?

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