「警視庁通信指令本部最高通信司令官」

 神泉からほど近い、地中海創作料理点「開花屋」で知り合った。 階級は「警視」... 美味しいことで有名なお店で、いつも混んでいる。 テーブルの相席がその夫婦だった。 仲睦まじく、もうすぐ定年を迎えるとのこと。 しかし、ICPOの案件が入ってきて、定年を延長するかなんかして、ベトナムにしばらく滞在する予定らしい。 私の人生は、どちらかというとダーティなものだったが、ま、いろんな出会いがあるもんだ。 意気投合した老夫婦と若者一人は名刺交換を。 普段このクラスの人が、やすやすと名刺は渡さない。 おまけに携帯電話番号も店員から借りたボールペンで書き込み。 まぁ、その日は今度「警視庁」内部を見せてあげるから。 みたいな、社交辞令的なお別れ。 ところが・・・ ある日突然電話がかかってきて、警視庁を案内するとのこと。 当然「観光客」が行くようなルートだろうと想像して、会社の同僚二人を誘った。 まぁ、お世辞にも似合う場所ではない「霞ヶ関」に男三人。 朝9時に警視庁桜田門に集合。 もちろん警備警官が何人もいて、高い鉄格子の門に近づいただけで、すぐに質問攻め。 「どこから来たの?」「なんの用事?」「名前は?」・・・ すると鉄格子の向こうから、奥さん登場。 その瞬間・・・ 警備警官は20代の若造3人に全員敬礼(笑)。 奥さんに案内されて、警視と面会。 同僚二人はあらためて挨拶。 殉職した警官の名前が刻まれた石を見学して・・・ どこに行くのかと思ったら・・・ 通信指令本部。 間違ってはいけない。 観光客は通信指令本部の1階上の防音ガラス張りの回廊からしか見学できない。 しかし私たちがやけにセキュリティチェックの回数が多いと思ったフロアは、通信指令本部そのものだった。 極論、私がマイクに向かって何か話せば、管轄の署の捜査本部及び警ら中の警官、パトカーに全配信される。 イメージは巨大な半円形で階段状になったコールセンター。 そのモニターがすごい。 今はもっと進化してるかもしれないが、何インチか想像するのがアホらしいほど、デカイ。 軽く映画館の10倍以上はある。 で、事件が起きた。 奇しくも私が飲んでいた神泉でひったくり。 スクリーンに映される東京全土の地図が、みるみる神泉駅周辺にフォーカスされていく。 現場に急行するパトカーの番号と位置がリアルタイムで映し出されパトカーから降りて被疑者を確保した様子まで、ライブだ。 「被疑者確保!!」 この合図でまた、東京全土のモニターに戻る。 警視の人は、ここで一番格上なんだそう。 まぁ、そうじゃなきゃ、非番の日に若造3人を立ち入り禁止区域に連れてこれたりしないよな。 しかし、コールセンターはひっきりなしで、案件が刑事事件の場合はボタンを押して電話の上の赤灯が回る仕組みなんだが、何個回ってたか・・・。 この人たちのおかげもあって、日本の治安は維持されているんだなぁ・・・。

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