不足の事態 義足ギャグ

前話: 続新不足の事態
       背が高く、運動神経の優れた人はバスケットボールやバレーボールの選手に向いている。脚が長くスタイルの良い人ならファッションモデルに、ルックスが良ければ俳優、声なら歌手と言った具合に、特徴を特長にすれば良いわけだ。
       同じように、義足者が特長と出来る物はないだろうか?あるとすればどんな物だろう?と考えるようになった。性格がら、奇妙な、面白い、馬鹿馬鹿しいものがいい。周囲の者が笑い転げるような物がいい。
       義足は基本、歩くための物であって、機能が一杯あるわけではない。先ずは、簡単なものから。
         そうだ!ギャグだ!義足ギャグだ!義足ギャグからスタートだ!
       発想は悪くはない、が、そう容易ではない。それでも苦心して二つばかり考えついた。評判も上上である。あと幾つか考え付いて、まとめ発表したいとおもっていたのだが、悩みがひとつ生じてしまった。
       それは義足ではなく、切断してみじかくなった脚を使ったギャグだが、これは苦心して編み出したギャグではなく、自然な感じで生まれた物なので、私のお気に入りで、自信作だ。だが、このギャグを見て、大笑いする人と、「え〜」と引いてしまう人に別れてしまう。そして、ただ引くだけにとどまらず、「だめ、だめ、それはだめ」と駄目出しがでる。
       一体どんなギャグやねん?と思ってられますか?      こんなギャグです。
      「  外車遊び」と言います。左脚を前にうんと伸ばし、両手でハンドルを握ったふりをし、「ブーブー」と言いながら運転遊びをします。そして時折、右手をハンドルから離し、膝立てをしている右脚の先を手の平でおさえて、チェンジギアにみたてて、ギギギーと縦横に脚を揺するのです。もちろんこの時、気分はポルシェです。
          こう文章にすると痛くも痒くもありませんね。「想像してください」と申し上げて、出来る人は、きっと笑える人。笑わない人はそんな光景を目にするのも嫌だと言うことでしょう。
          可哀想、気の毒、哀れだ、の裏に、作られた感情を感じてしまうのは、私の性格の悪さに由来している。まったく、裏側ばかり考える、おもてなしの人間だ。        

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