路上のおじさんに学ぶ。そして、地元愛知の教育系ベンチャーNPO就職へ。

前話: ガリ勉学生、路上のおじさんに出会う
途中で止めてしまいすみませんでした。
そこで、おじさんは「あんたみたいな人もいる。涙が出るよ、だから、もう一度人を信じようと思ってね、やってみようと思ったんだ」と言ってくれた。
私は目の覚める思いだった。その時の記憶はすごく明るく白く、まるで雪に光が反射しているような風景になっている。
おじさんと会う場所は小さな高架下で、本来なら暗く黒い場所のはず。記憶の美化が起こってしまうくらいに、私の嬉しさが脳に焼き付いているようだ。
おじさんはそれから、昔は銀座のクラブで踊っていたことや、親はまだ健在だが離れて暮らしてから連絡をしていないこと、働く場所は都外であることを話してくれた。はきはきと、快活。過去のことを話してくれたことも、こんなに元気にしているのもこの日が初めてだった。おじさんは次の週からいなくなっていた。新しい職場に行ったのだ。
大きなことをしたいしたいと本ばかりを読んでいた私に、おじさんは大切なことを教えてくれた。 目の前の人に何ができるか 頭でっかちにならず、体と心で動くということだ。
仕組みは大切だ。だが、仕組みだけが人を支えるのではない。人を支える基本は人。そのサポートとして、仕組みがある。おじさんは、就職する仕組みを知っていても、そうしようとは思わなかった。「そうしよう」の原動力は心や感情に基づくもののはずだ。感情を仕組みで作り出すことはきっと難しい。おじさんがもう一度働きたいと思ったのは、おじさんがそう決めたからだ。
このおじさんの凄さをどう伝えたらいいのだろう。一度止めて、諦めてしまったことをもう一度やろうと、そう言えること。おじさんがどうして路上に来たのか、私は知らない。働くこと、もしかしたら生きることすら止めてしまいたくなることがあったかもしれない。それでも、おじさんは「もう一度人を信じよう」と言ったのだった。
これは私の力だと言う話ではない。あくまで、おじさんの力だ。人を信じるおじさんの凄さだ。なぜなら、私は一介の大学生で、カウンセリングや心理学を勉強していた訳でもない。そんなしがないもっさりした小娘だ。でも、おじさんは私を信じると決めた。それは、おじさんの力だ。
おじさんには何度頭を下げても足りない。私に大切なことを教えてくれたからだ。これは、これからどんな場所でどんな仕事をしても絶対に忘れない経験だ。どんな本も資格も敵わない、と勝手に思っている。
それから色々考えた。大学3年生。色々なキャリアを考えた。また、4年生の卒論に向けて、手探りも開始した。卒論では、「子どもの貧困」を取り上げた。卒論での経験も私にとって忘れられないものだ。今の職場に出会ったのも人の縁。
卒論の関係で知り合ったNPO職員の人の主催イベントのゲストが地元・愛知出身の社長さん。愛知のNPOを勉強したいと思っていると話すと、NPOに詳しいお方をご紹介され、その人から「いい所知ってるよ、行く?」と愛知県・半田市へ。この時点で、3人のお方のご縁が繋がって来ている。大学卒業年の3月のことだった。

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