田舎者の自叙伝(上京 前編)

次話: 田舎者の自叙伝(上京 後編)
高校三年の春のこと。
「じゃ、そこでいーよ」と、担任との面談でそう答えた。
正直、東京ならどこでも良かった。
高校へ届いていた東京の求人は2件。
とりあえず給料が多い方を選んだんだけど、別の生徒と被ったらしく成績の良い方が優先された。もちろん相手の方だったけど。
という事で、余った方の求人に応募することに。

それからは履歴書の書き方から模擬面接まで学校にいる先生みんなが就職する生徒をサポートしてくれた。
俺はと言うと、勉強はしないし、言うこともきかないし、遅刻ばっかするし良い生徒ではなかったはずだけど、先生たちも真剣だった。

履歴書も清書を終え、ある日の模擬面接終了後、担当した先生に書いてもらうチェックシートがあったんだけど、そのシートを提出した辺りから先生が固まった。


泣き始めた。

「立派になったな・・・」と一言。
その先生は高1の時の担任の先生。

先生は担任を受け持つのが初めてだったんだけど、まぁやかましいクラスで大変だっただろうなーとは今になっても思う。
迷惑掛けた。

そのクラスでもまぁうるさい方の俺が制服をビシっと着て、背筋を伸ばして自分の質問にマニュアル通り(笑)に答える姿を見て我慢出来んかったんやろうな。

友達の時も泣いてたって言ってたけど、良い先生。


そんなこんなで面接当日。
朝早く起きて、母ちゃんから弁当を受け取る。
電車で3時間程かけて宮崎まで行った。面接はとあるホテルだった。
電車の中では、それまでの自分では考えられないぐらい色んなことを考えた。
不採用だったらどうだったとか、東京ってどんなところだろうとか、会社ってなんだろうとか。
でもやっぱり、18年過ごした地元を離れることにどうしようもなく不安を覚えていた。
宮崎駅について弁当を食べることにした。
「荷物にならないように」と、使い捨てのパックにお昼ご飯が詰められていた。
いつもみたいに食べれなくなるかもしれない母ちゃんの弁当を駅前のベンチに座って食べ、会場であるホテルに向かった。
面接の待ち時間、熊本から来てた同い年の子と少し話し、しばらくすると面接が始まり、マニュアル通りの回答をした。
なんの知識もない自分にとっては、それ以外出来ることはなかった。

面接は終わり、次の日からいつも通りの日常が始まり、一ヵ月が過ぎようとしていた。
大半の人は面接後、1,2週間で内定の連絡が来ていて、内定が決まる度に担任が発表し、クラスみんなで祝った。

俺はというと一ヵ月近く経っているのに、何の連絡も来ないもんだからすごく焦ってた。
「落ちてたらどうしよう。」ということしか考えてなかった。
でもその時はその時で”地元を離れる”という不安要素が解消するだけで特に気にも留めなかった。


ある日のこと、いつも通りふざけていると担任に叱られ、罰として担任が忘れたプリントを職員室まで取りに行くことになった。

教室に戻ると全員が立ち上がっていた。

担任にプリントを渡して席に戻ろうとすると、
「待て待て、お前はここじゃ」と言って教壇に立たされた。

何かと思う間もなく、
「おめでとう!」と担任から手が差し伸べられた。
俺に内定が出たらしい。
みんなが拍手してた。
ただただ嬉しかった。


そして俺は高校を卒業したら東京で働くことになった。

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田舎者の自叙伝(上京 後編)

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