バンドをやっていた時のこと、音楽遍歴、あれこれ・その5

前編: バンドをやっていた時のこと、音楽遍歴、あれこれ・その4
後編: バンドをやっていた時のこと、音楽遍歴、あれこれ・その6
 元々、音楽をやろうと思ったきっかけが中学時代に聞いたビートルズであったから、高校生の頃の私は、ともかく、音楽とはバンド演奏であるという頭しか無かった。
 それゆえ、同級生らが嬉々としてバンドを作り、彼らもたまには自主ライブなどを行い、一方、何もできず、彼らがライブで華々しく演奏する姿を見ることしかできなかった私は、バンド演奏ができる彼らが羨ましくして仕方がなかった。
 しかし、今現在の自分が思うのは、バンド演奏だけが音楽では無いということである。当然のことである。高校生当時の私は、ギターは持っていたのであるから、バンドでの演奏はできなくても、弾き語りというスタイルも取れたであろう。ギター一本だけでもそれなりに聞かせることは十分可能である。
 今の自分が当時の自分にアドバイスできるのであれば、そういうアドバイスもするであろうが、前述のとおり、当時の私は音楽とはバンド演奏であるという頭しか無く、バンドができないなら、できないなりに別のできることをやろう、という発想が出てこなかった。
 ところが、高一の終わり頃、自分の音楽遍歴の中では意外な流れが生じた。当時、私の家にはなぜかエコーマシンがあった。といっても、音響用のものではなく、アマチュア無線用のものである。当時、父がアマチュア無線に凝っており、アマチュア無線用にどこからか入手してきたもののようだ。なぜアマチュア無線にエコーマシンを使うのか、はっきりとした理由は不明であるが、自分の声にエコーをかけることで、多少でも無線の相手に対して印象付けるのが目的であったのであろう。
 このエコーマシンは8トラックのテープを使ったもので、内部ノイズも大きく、音響的にはよくなかったが、当時は、現代のように廉価で高機能の機材が無く、これはこれで非常に貴重なものであった。
 このエコーマシンが重要な役目を果たすこととなる。というのは、私の友人がこのエコーマシンに多大な興味をもったからだ。この友人は、小学校からの同級生で、彼は子供の頃から音楽が好きで、レコードもたくさん持っていた。さらに、いわゆるプログレ等の先鋭的な音楽が好きで、その中でも特にピンク・フロイドが好きであったようだ。ピンク・フロイドといえば、エコーを効果的に使っているので有名であり、彼も、エコーによる音響効果には興味を持っていたようである。
 そんな彼が、たまたま私の家に遊びに来て、私の家にあったエコーマシンを見て、このマシンを使い、何か作品を作ってみたくなったようである。私も彼から誘われ、エコーを使った音響作品制作を手伝うこととなった。
 高一の終わり頃、ちょうど高校の入試のため、一週間近く学校が休みとなり、この休みを利用して彼と共同で音響作品の制作に取りかかった。といっても、周囲にある楽器やそれ以外のものを即興的に片っ端に鳴らし、エコーをかけて録音するだけである。
 とはいえ、当時10代半ばの若造のやることである。できあがった作品はとてもじゃないが人に聞かせられるような代物ではなかなったが、アヴァンギャルドの作品として聞けば、これはこれでなかなかおもしろい作品ができあがった。
 できればビートルズのようなバンド演奏を目指していた私であったが、結果的にこの特殊音響作品の制作が最初の本格的な音楽活動の手始めとなり、このことが後々、私の音楽遍歴にそれなりに影響を及ぼすこととなる。

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バンドをやっていた時のこと、音楽遍歴、あれこれ・その6

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