終わりを終わりにしなかったらハッピー"エンド"を迎えた話
誰にも相談しなかったし、親にすら相談せずに決断したことだった。
そして、部室にその想いを忘れないため、マジックで壁に文字を書いた。
これは、今でも部室に残っている。
冬の選手権まで
そうは決断したものの、お情けでメンバー入りした程度の選手だったから、
監督からは、
監督
お前、残んの?
と言われ、驚かれる有様だし、
親にも相談せず何食わぬ顔で部活に行きつづけてたから、
親
アンタ、引退したんじゃないの!?
とバレた時には問題になった。
中心選手だったら残るのも納得だけど、Bチームの選手が引退せずに残るのは
たぶん他の誰がみても意味の分からない行為だったけど、それでもよかった。
何度も怒られながらサッカーをして、時にAにあがってはまた落ちたりして。
部活後はキャプテン(同じく普通科だった)と一緒に勉強会をガストが閉店するまで続ける生活をして。
少しずつ監督からも評価されるようにもなってきて。
監督
お前は、天才だ。
と、これはウチのサッカー部の選手が誰しも一度は言われるコトバに一喜一憂してまた調子悪くして。
とにかく、恩返しをすることだけを考えて、冬まで練習をした。
冬の選手権ー迎えた本当の終わり
冬の選手権予選でもまたもや全国は手が届かなかった。
結果が出せなかったことは、もちろん悔しいことだったけれど、
最後の試合が終わったときは、終わったな...と清々しい気持ちでもあった。
なぜなら、引退を告げる試合終了のホイッスルが鳴り響いた瞬間は、
キャプテンと一緒に、緑の人工芝のフィールドの中で迎えたから。
それまでにこなした選手権予選の数試合も先発出場でフル出場。
引退試合は、先発ではなかったものの、途中交代で出場。
全試合、出ることができた。もちろん怒鳴られまくったけどね。
それに、最後にピッチの上で終われたことは、自分にとっても報われたと思う幸せな瞬間だったと思うし、何より恩返しをするために一緒にプレーできた。
こんなハッピーエンドは、"悔しいけれど"、無いと思う。
引退式
サッカー部では、3年生を送る会という名のもとで引退式が行われたけれど、
僕は3年生の中で一番泣いていたという確固たる自負がある。カッコわるいけど。
スピーチでは、
僕
僕はこの3年間を振り返ってみて、本当に運がいいと思います。僕はチームにとって絶対的な選手ではなかったけれど、チームメイトからたくさん助けられてなんとかやってこれたし、夏で引退せずに残って少しは恩を返せたのかなと思います。相談せずにサッカーを続けると決めた僕をサポートしてくれた親には本当に感謝してるし、これから自立した大人になって、また恩返しできるよう頑張りたいと思います。
というようなことを言ったことを覚えている。
それと同時に、キャプテンは、
キャプテン
お前が残ってくれてほんと助かった
と言ってくれたし、少しは恩を返せたらしい。
あのインターハイで迎えるはずだった終わりを、
どうしても恩を返したいからって理由だけで無視して、
選手権まで終わりを引き延ばしたことは、どうやらハッピーエンドを
手にするにあたって最重要レベルの必須要素だったらしい。
僕らは人間で、自分ではできないことが沢山ある。
でも必ず助けてくれる人は身近に絶対にいるし、
大切なのは、そういった人がいてくれることに気づくこと。
そして、感謝の気持ちをもって自分がその人、
そしてもっと多くの人に何ができるかを考えるて真っ直ぐにぶつかること。
そのためなら、多少、不器用だって、無茶したって全然構わないんじゃないかな。
結果が出ようが出まいが、確実にその気持ちに気づいてくれる人はいると思う。
お金とか、そういう物理的なモノじゃなくて、
眼に見えないけれどとても大事なアナタなりの何かを見つけることができると思う。
今でもサッカー部のメンツとは地元に帰れば絶対に合うし、
時には東京まで遊びにきてくれたりもする。
僕の場合は、最高の仲間を見つけた。
僕は、本当に運がいいと思う。
そして。
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