空手家の死

私には19歳の若さで死んだ、高校の同級生がいる。 空手の有段者で、腕っ節が強かったが、とても素直な性格で、好きな相手にも嫌いな相手にも今で言う完璧な「アサーティブ」な態度で接していた。 また、空手家らしく、強きをくじき弱きを助ける精神の持ち主だった。 高校入学当初、私は同じ中学生の友達がいないことや、とっくに中学生でやることやっちゃっていたので、同級生の会話は面白くなかった。 ま、一人浮いていたわけだ。 ... すると、なぜか後ろの席の方から消しゴムが飛んでくる。 後頭部に当たることも。 ま、何回か観察していてアタリがついた。 いまさら言うことでもないが、私は気が短い。 一発当たった。 その瞬間に犯人めがけて左パンチを入れたが・・・ なぜか10人くらいに抑えられ蹴りも入ってくる。 おぉ、敵はかなりの数に上るってか。 その瞬間に、一喝!! 「お前らやめろ!!」 例の友人だ。 さすがに空手の有段者に逆らう奴はいなかった。 そしてオレは助けられた。 ま、その後、私は恐ろしい復讐劇を達成させ、登校時に「おはようございます」の挨拶まで出るようになったが・・・。 2年後くらいか。 友人が血液の病気で入院したと、担任からお告げが。 もう、瞬時にわかったね「免疫関係の病気」だと。 とすれば「白血球関係」が一番濃い。 一時退院時にクラスに来てくれたときはすごく嬉しかった。 でも、あれだけ筋肉モリモリだった身体は、老人のようだ。 相変わらずウケを狙って、ニット帽を自分でとる。 ツルツルだ。 その後私は卒業して東京に行くが、1年後に共通の友人から報告が入る。 逝ったと。 親御さんに私がいじめられた時に助けてもらった、と話した。 ま、泣き止む訳はないわな。 病院でも相変わらずのやんちゃっぷりだったらしく、看護師が手を焼くことが何度もあったとのこと。 最後は帰宅許可期間か何かで、友人の車の助手席に乗り、街路樹にぶつかり木の枝が身体に刺さり、致命傷になったとか・・・。 いずれにしろ、少しの怪我でも免疫力が落ちていれば危険だったろう。 でも、病院のベットで何本もの点滴と酸素マスク、ビニールカーテンの中で死ぬよりは、よっぽどアイツらしい逝きかただ。 あれから2回くらい仏壇と墓参りに行ったかな。 これだけははっきり言えることだが、アイツはオレよりも生きる価値のある人間だった。 週末墓参りに行くわ。 聞いてるか?

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