メッセージ 〜 祖母との別れ 〜 1/2
taichijungleです。
「転職大魔王伝」をご覧いただきありがとうございます。
ですが今回は、去る12月3日に亡くなったオレの祖母のお話しです。
オレは熊本県阿蘇郡にある小村の出身です。オレは中学生までこの村で過ごし、両親は今もここにに住んでいます。父は貸別荘を経営し、母は高齢であった自分の母親(オレの祖母)の世話をしていました。
祖母は享年92歳。
巷では大往生と言われるのでしょうが、オレたちにとってはとても悲しい悲しいお別れでした。
尚、このエントリーはオレの個人ブログからの転載です。
オレらが大好きだったおばあちゃんの素晴らしさを多くの人に知ってもらいたいという思いで、STORY'S.JPをお借りすることにしました。
お読みいただいて何かを感じていただけたら、どうぞ天国に向かって手を合わせてやってください。
メッセージ 〜 祖母との別れ 〜
※以下、転載(一部修正)
12月3日、祖母が亡くなりました。
9年前に長年連れ添った祖父を亡くし、自身も加齢から身体が弱ってきていた祖母。
その時からオレの母親が同居し、身の回りの世話をしていました。
「タイチくん、わたしは幸せよ。あなたのお母さんが何でもしてやらす。
ほんといつも感謝しとります。」
祖母は会う度にそう口にしていました。
いつも「肥後朝顔」をはじめとした色んな花の栽培や野菜作り、夜はちょっと晩酌をしながら楽しくやっているようでした。
母も「私は今が人生で一番幸せ。女二人でほんとに楽しか。」とニコニコしていました。
ですが今年の夏、農作業中に熱中症になってしまい、そこから一気に体調が悪化していってしまいました。
それは祖母からまず笑顔を奪い、身体に痛みを課し、人としての機能を少しずつ削っていきました。
11月1日、バンドの熊本ツアーの合間に祖母に会いに行きました。
その頃はもう寝たきりで身体がいうことを利かず、一段と小さくなってしまい、目にも力が無くなってきていました。
最初、名前を言ってもオレのことがわかってもらえなかった時は正直堪えました。
祖母は身体が痛いとしきりに言っていました。
なので、オレは横になっている祖母の左肩から右手の先までをずっとさすりました。
「気持ちよか。ありがたか。」
「ありがたか。」
「ありがたか。」
祖母は目をつむって、何度もそう言いました。
オレは勇気を振り絞って、今迄ちゃんと言えなかった思いを伝えました。
「ばあちゃん、オレはばあちゃんが大好きよ。
オレはばあちゃんが大好き。」
泣きそうになるのを必死に我慢し、ばあちゃんをさすりながら耳元で何度もそう伝えました。
すると、ばあちゃんは目を開け、
「大好きなタイチさん。」
「大好きなタイチさん。」
弱く、だけど何度もオレの目を見てそう言ってくれました。
オレはもっと、もっと必死に泣くのを我慢しばあちゃんをさすり続けました。
そして、それが祖母とオレの最期の会話になりました。
でも、その時が最期になることはわかっていたんだと思います。
祖母もオレも。
いつだったか母に聞いた話しです。
祖母のリクエストで、祖母と母は同じベッドに寝ていたのですが、初めてそうした夜に祖母が母の手を繋いできたと。
聞くと、祖父と祖母はずっとそうやって寝ていたのだそうです。
そう、何十年も。
だから、その時から母は祖母の手を繋いで寝ていたそうです。
きっと母は、祖母が母のことを認識できなくなってしまってからも、ずっとそうしていたんだと思います。
亡くなるその日まで。
「タイチくん、あたしゃもうじいちゃんに会いたかとよ。
ばってん、あなたのお母さんがしっかり栄養ば取らせらすけん、なかなか死なせてもらえんですばい。」
まだ元気だった頃の祖母はそう言って笑っていました。
熊本に向かうまでの間に、オレは曲を書き上げました。
曲は出発前にギターでオケを作り、詞は飛行機の中で書き上げました。
祖母への正直な気持ちを、そのまま歌詞にしました。
正直に言います。
オレは祖母を早く楽にさせてあげたいと思ってました。
早く祖父に会わせたかった。
だから、訃報が届いた時も、熊本に向かう飛行機の中でも、祖母の亡骸と対面した時も落ち着いていられました。
「だってやっとばあちゃんはじいちゃんに会える。
やっと。」
そう思うと、哀しみに安堵感のようなものが打ち勝ちました。
そんな曲なんだけど、とてもじゃないけど共感は得られる自信がありませんでした。
だから、そっと胸の奥にしまい込むつもりでした。
葬儀は比較的明るい雰囲気でした。
もちろんすごく哀しかったけど、兄弟や親戚や従兄弟と本当に久しぶりの再会があったり、
恐ろしく運転が荒かった祖父の思い出話で盛り上がったりと、参列していただいた方に悟られないよう笑いを押し殺すのに苦労することもありました。
しかし、みんな不意に堰を切ったように哀しみに襲われてました。
明るい感じで進む葬儀の中で、それぞれがそれぞれのタイミングで突然崩れてました。
オレもそうでした。
「ばあちゃんの身体はここにあるけど、もうばあちゃんはここには居ない。
今頃はじいちゃんと再会を楽しんでるか、そこに向かってるかだ。
だから、ばあちゃんは幸せなはずだ。」
そう思っていても、最後に棺の蓋を閉じる時はもう無理でした。
もうアサ子ばあちゃんに会えないなんて。
だけど、ばあちゃんの身体は灰になってしまった。
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