アウトローのトラブルバスター

次話: F事件の真相
「F事件の真相」
写真週刊誌の「F」というのがある。全国紙でみなさんご存知のあの雑誌だ。おそらくこれを全然読んだことがないと言うひとは日本人ではいないだろう。
 週末のある日、店はいつものように盛況だ。僕がクラブの前に行列を作る客の様子を見て回っていると、一台のタクシーが滑り込んできた。一人の小太りの中年男が降りてきて、なにやら携帯電話でしゃべりながら大きな一眼レフカメラで写真を撮り始めた。バシバシッとフラッシュを炊くので
「ほかのお客様に迷惑ですので取材は広報部経由で許可を取ってからお願いします。」
 というと、男はそれを無視して写真を撮り続ける。僕が近づいていくと、彼は「なにやら男が近づいてきます。私を脅迫するつもりでしょうか。」などと訳の分からぬことを電話の相手に呟きながら写真を撮り続けている。なんて失礼な奴だろう。僕は「無許可の撮影はお断りします」
といいながら男を敷地外の方へ誘導した。店に入ろうと並んでいる肌の露出も多く、きらびやかな服装の女性客は汚いものでも見るようにその男を睨んでいる。
 後でわかったことだが、クラブとその雑誌社とは取材許可を巡ってひと悶着あったらしい。そのことについての腹いせの行動だったのだ。しかし、彼等の謀略はこの程度では済まなかった。それどころか大きな社会現象にまで発展してしまうのである。
  連日、クラブは大盛況だった。男は広告代理店のDやらHやらを筆頭に高そうなスーツでやってくるものが多いし、全体におしゃれで、給料もかなり稼いでいそうなのが多い。女性は肌もあらわにハイヒール、ミニスカートなどでやってくる。彼女たちは普段はまじめなOLなども多く、着替えを持参でやってくる人も多い。そして、VIP客は本当に羽振りがよく、数万円単位のチップを当然のようにに振る舞うものが多い。
 今日もクラブのお立ち台の上では、100人以上の女性が競うように踊り狂っている。中にはきわどい水着で踊っているのもいる。音楽がヒートアップしてきて、店の空気と人々の発する熱気が渦のように巻いていき、店内の盛り上がりが佳境に入ったとき、お立ち台の上の女性の一人がいきなり服を脱ぎ始め、なんと全裸になったのだ。そして、その瞬間、待ってましたとばかり、カメラをもった男がその様子を何回もフラッシュで撮影した。突然の出来事に周りの客が驚いて見ている。
 全裸女性とカメラマンの二人は、スタッフの制止を振り切って店の外に走り出していった。外には車が用意されていて、二人はその車に乗り込むと急発進していった。
 僕らはその様子を呆然と見ていたが、翌週の写真週刊誌Fにはその模様が大きな記事として掲載されていたのである。いわゆるねつ造記事だ。そして、その反響は社会のあらゆるところに波及していったのだった。 

続きのストーリーはこちら!

F事件の真相

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。