アウトローの役得

前話: アウトローの様々な仕事2
次話: アウトローの役得2
 クラブにおけるバウンサーの仕事は多岐にわたる。お立ち台(呼称は各クラブや時代によって変わる)という目立ちたがりの女の子にとっての聖地がある。普通のダンスフロアーより少し高くなっていて店内でも、もっとも目立つところだ。女性のそこでの占有権についてもバウンサーの指導には従わなければならない。
 どんなに常連のお客でもバウンサーが彼女の前に立ちはだかって「降りろ」という仕草をすれば従わなければならない。場合によっては50人からのミニスカギャルを指一本で引き摺り下ろすこともある。(しかし、そのときの眺めは今思い出しても壮観だったね。こんな眺めはフロリダ州デイトナのビーチで間違ってビキニコンテストの待合場所に紛れ込んでしまったとき以来だったね。)
 そもそもお立ち台というものはそのクラブの顔のようなものであるから、誰でも自由に踊れるわけではない。あまりそぐわないお客様は丁重にお断りするし、逆に盛り上がっていなければ見栄えのいい女性客をエスコート差し上げることもある。
 また、そのころ、僕は店内でいろいろな人物の写真を撮ることを趣味にしていた。その当時、来店する人々は本当に多種多様で後の県知事Tや中東の大金持ちからハリウッドスターまで早々たる顔ぶれが集まってきていた。
 もちろん、普通の、でも少し変わった人たちの写真も撮影していた。ある日、僕は一人の女性に声をかけた。
「すいません、ちょっと写真を撮ってもいいですか?」
「えー嫌だなあ、なんに使うんですか?」
 いままで撮影を断られたことなんかなかった僕は少し驚いた。そのころの僕は女性は向こうから話しかけてくるものだと思っていたし、こちらのちょっとしたお願いを断る女性なんていないものだと思っていた
 僕はここであきらめるのもつまらないなと思い、彼女にもう一度お願いすることにした。「僕はこういうものです」そういって名詞を差し出した。
 しかし、この出会いが、僕にとっての、その後のクラブライフを大きく変えていくことになろうとはそのときには知る由もなかった。

続きのストーリーはこちら!

アウトローの役得2

著者の栗原 康行さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。