④独学で仲間達と宇多田ヒカルのバックダンサーなった物語(全6話)

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チーム内部分裂?裏切りのオーディション

ダンスチームは順調に活動を広めていき、チーム単位での仕事も入るようになってきた。

メインで活動するイベントは2つあり、
その1つのイベントオーガナイザー(以下、Mさん)からこんな話がきたのだ。

「宇多田ヒカルのバックダンサーオーディションがあるんだけど」

当時の宇多田ヒカルと言えばJ-popに新しいジャンルを開拓した女性アーティストであった。

僕らは当時は彼女の歌を聴いて、

「こんなアーティストのダンサーやりたいねぇ」

ぐらいにしか思っていなかったし、まさかそのチャンスが目の前に落ちてくるとは・・・。
しかもこのMさん、よくボケてくるのでこの話も冗談だか本気なんだか分からないのだ。

そこで、ちゃんと内容を聞きだしたところマジぽい。
MさんのイベントMCをしているPさんからの話だった。
(MやらPやら…わかりにくい)

「これ、マジだわ・・・。」

このMCのPさんは宇多田ヒカルの父親と親交があり、初ライブのダンサーを探しているという事だった。
現在なら物凄い競争率になっていたはずだし、まさに人とのつながりで舞い込んだビッグチャンス。

しかも、そのライブは宇多田ヒカルの「初ライブ」でもあり場所は…

武道館!

ご存知のライブ聖地である。

爽健美茶「ナチュラルブリーズコンサート」という抽選無料招待ライブだった。

この時点で自分たちはバックダンスという仕事はまだ未経験。
もしこれが実現した場合、

初大物ライブ
初バックダンサー
初武道館


初の3連単!
ということになる。


しかもそのライブには、有名海外アーティスト

「TLC」「MONICA」

も出演するとの事。
ダンサーじゃなくても知っているレベルの大物じゃないか。

「いきなり外タレもかい!
これはヤバい!!!」


後日判明したのだが、この宇多田ヒカルオーディションは詐欺オーディションが行われるなど、外では怪しい動きがあったらしい。

実際には、公式オーディションはこの1つだけ。
奇跡過ぎる。

これは前回にも書いたが「人の繋がり」「活動の方向性」の重視性を実感した瞬間である。

そしてオーディションに呼ばれたのは、なんと!自分たち含め数組だけ!
とてつもないクローズド(限られた)案件だった。

他の参加チームが気になるので名前を確認すると、ダンス界では名の通ったメンツである。
その中では自分たちが1番若手の状況。

しかし!ここで一番問題になった事があった。
それは…チームとしての参加人数。

「当時チーム全員の7人ではなく、指名の4人で受けて欲しい」

という事だった。
その指名メンバーは自分含めた4人。
これを聞いた時に頭によぎったであろう。

「これは気まずい・・・。」

だが、この話はもちろん受けずにはいられない。
芸人でいうと相方だけゴールデン番組のMCの話がきた状況か…。
(違うか・・・)

申し訳ないと思いつつ外れたメンバーに相談したが、みんな快く受け入れてくれた。
こういう時にトラブルにならない仲間というのも大きい。
理解し合えるのもメンバーとして大事なポイントだ。
(本心はどうだったか・・・)

とはいえチーム価値には貢献するのでプラス材料には間違いない。


注目のダンスオーディション内容とは

オーディションにはテーマがあった。

宇多田ヒカルの楽曲でオリジナルの振付を踊る

これが審査内容。
選曲・コンセプトは自由。
ここは自分たちのセンスと感覚が試される瞬間。

すぐ皆で1つ使用曲を決めた。
楽曲にはシングルではなく、あえてアルバムの曲を使用。

他のチームが有名なシングル曲を使ってくると思い、あえて外し印象付ける賭けをした。

イメージ・コンセプトを話し合い、割とすぐに固まり振りを作り込んでいく。
そして、オーディションに向け練習の日々を送り、刻々とその日が近づいてくる…。

自分達のダンスは通じるのか?その結果は...

そしてオーディション当日。
場所は都内の某スタジオ。
当日はオーガナイザーMさんと待ち合わせして一緒にスタジオへ向かった。

中に入るとすでに他の先輩チームも来ていた。

もちろん先輩なので顔は知っていたが、そんな親しい仲でもなかったので軽く挨拶をしただけ。

そして自分たちはひっそり振りの確認を始める。

今日に限っては振付は戦略と同じだ。
戦略を知られるのはまずい!
そんな注意を払っていた。


しばらくして集合の声がかかる。
部屋に向かい待っていると、誰かかが入ってきた。

宇多田ヒカルの父親

宇多田 照實氏だった。

照實さんは淡々とオーディションの説明を始めた。
残念ながら本日は宇多田ヒカル本人は来ていないらしい。

リハーサル初日に顔合わせする流れのようだ。
「うーん残念」
そんなミーハー心を持ちつつも説明に耳を傾ける。

どんな振り付けで勝負したのか?

正直、振り自体は難しくはない。
そもそもダンサーとしてもまだ若手であり、大したスキルもなかった。
ただ、自分たちの魅せたいイメージと照實さんのイメージがマッチングすればイケると思っていた。

「それでダメならしょうがないわな」

そんなことをみんなで話していた。
そして前のチームが終わり、ついに自分たちのターン。

スタジオに入る・・・

広さはそんな広くもなく、6人チームが踊れるぐらいのスペース。
前には横長のテーブルがあり、そこには照實さんと他関係者2人が座っていた。
もはや緊張というより、

やり残さない!

この意識が勝っていただろう。
挨拶も紹介もほどほどに、
「では、宜しくお願いします」
という流れであっさり始まった。

シングル曲ではなくあえてのアルバム曲
どう伝わるか・・・







踊り終わりオーディションは無事終了。
そしてMさんと共にスタジオを後にする・・・。
以外にあっけない。

しかもいつ結果が出るかも知らされていない。
待つしかない状態で僕らは何もなかったかのように、いつもの生活を送っていき時間は過ぎていった…。


その日は突然訪れた。


いつものように野外レッスンをしており、完全にオーディションの事も忘れていた。

そこで電話が鳴った。
Mさんだ。


「あのオーディションだけど・・・」
あ、そいやオーディションしたわ(笑)
忘れてた。


「どうでした?」


「・・・・・・・。」


ミリオネアかよ!w
みのさん状態が続く。

こういう状況でもジョークを飛ばしてくるMさん。
初動の言葉は軽く流すつもりだった。

そしてヘラヘラ声でつぶやく。

「・・・おめでとう」


はいはい
初動、初動。

「ホントは何ですか?」
1発目は完全に流してみた。

「ホントだって!」

ヘラヘラしたMさんは信用できない、なんか嘘くさい。

「マジでなんすか?」

さらに勘ぐる。
もうここらへんで良いだろう….。

「いや、ホントに決まったから!」

これはマジだ。

「えっ、えっ、え!?」
「マジで、マジで、アジで!?」

自分は普段そんな感情を出さないタイプだが、

「よっしゃー!」

この時だけは叫んでしまった。
よくあるドラマか映画のような喜び方だ。
….その叫びは街に響いた。

そこで練習していたダンサー、街を行き交う人々の顔が奇声に反応しこちらを向く。

この連絡は他のメンバーにもきっと届いているだろう。
ダンスで初めての親孝行になったかもしれない。
そんな興奮冷めやらぬ状態で、すぐ親に連絡を入れたのだった。

続く。

▪️運営ブログ : ダンサーズクエスチョン 


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