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14/1/21

お父さんは白血病、私は出張先で痔瘻になって死にかけたけど今はふたりとも元気です〜手術・入院編〜

Image by Olia Gozha

前回までのあらすじ

会社と家庭の都合により、痔瘻ステージ4(死の直前)にもかかわらず完治を拒み応急処置で家に帰ろうとしました


さてこれから応急処置の手術です。ということで医者から説明を受けます(瀕死です)

医者「どちらにせよ、今体内にある膿を取り出さないといけないので、切開はします」

村上「どんと来いです。いつ帰れますか?」

医者「明日には…でも切開してますからね、しかもその部分を塞いてしまうとまた体内に膿がたまって即DEAD OUTですからあけっぱなしにします。」

村上「どんと来いです…今なんて?」

医者「開けっ放しです。切開した部分にストロー状の物を差し込んでそこから常時膿が排出されるようにします」

村上「Wow…」

医者「応急処置ですからね」

なんということでしょう、仕事と家庭を優先した為に女性として、というか人としての何かを失うことになりました。


後から判るのですがこの先生ドSです。写真のようなイケメンならまだ許せますが長い人生肛門一筋で歩んできた経緯がお顔からにじみ出るようなご尊顔でした。


手術台で臨死体験

痛み止めの注射、抗生物質の点滴、そして腰に麻酔をするという。

なんと恐ろしいことを言うんだ。しかし抗えるはずもなく、手術用の左右に引っ張ると一瞬で全裸になれる一発芸でよく見るあの服に着替え、手術台の上に乗せられて、腰骨と腰骨の間に麻酔注射を打たれました。


痛い。これ半端無く痛いそして長い。


そして全身麻酔じゃないのね、部分麻酔だからもう全ての音が臭いが駄々漏れ。不安に思っていた臭いは日頃の行いが良いせいかほぼしませんでした。本当です。


肛門周り3箇所切開をして膿を取り出します。膿がどの程度広がっているかは開いてみないとわからないのでとりあえず3箇所らしいです。



医者「あー、ひどいな」


ひどいのか…(麻酔で声がでない)


医者「よくもったなこれ」

ありがとうございます(麻酔で声がでない)


なにか小粋なジョークでも言ったほうがいいのかと迷ったあたりで、ぐらりと気持ちが悪くなり


とたん、血圧計が「ピーッッピーッッ」と鳴り始めて、ものすごい吐き気とめまいが襲ってくる



看護師「先生!血圧が!!」


うわこれドラマで見たことある。救命病棟24時みたいなやつ。でもココ肛門科…なんだろうこのがっかり感


手術台の上で死ぬかもしれないってこういう事なのか、しかし痔瘻で死ぬわけにはいかない。私は枕元にいた麻酔士さんの手を掴み、声にならない声で


「手を握ってて下さい!」


とお願いした。それがなかったら身体から何かが引き剥がされる気がしたから。これが臨死体験ってやつか。痔瘻で臨死体験…


その後、なんとか血圧も持ち直し応急処置手術終了、一晩様子見で入院して明日退院の運びとなった。


しかしお忘れではないだろうか、この応急処置はストロー手術なのだ。



たしかにある。

もうね、本当に私が悪かったですよ。仕事とか生活とかよりも健康優先ですよね、わかります。わかりますけれども日常生活に支障でまくりのこのストローどうにかなりませんか。なりませんね。


そしてここから1ヶ月半に渡るストロー生活が始まったのでした…ちなみにフツーに仕事して、フツーに原付きで通勤してましたからね。ストローのくせに。


わかったのは人間の身体というのはどんな状態になったとしても適応できるということです。尻に内蔵直通の穴が空き、3箇所ストローが刺さっていたとしても抗生物質だけで何とか生き延びられるんですよ。人間すごい。人間つよい。


そして2ヶ月後に3週間の入院

発症したのは6月、入院したのは8月…ストローがんばった。いよいよ本手術入院が始まりました。

また腰に麻酔注射です。もうイヤだ。痛い長い痛い。これも応急処置で逃げようとした自分が全て悪いのだ、因果応報、こんなところにも因果応報


とりあえず膿を抜くだけの応急処置と違って、膿が回った範囲をすべて焼き消毒して肉を剥がさないといけないのが本手術…えげつない、えげつないよ主治医!


大手術でした。全身麻酔なら楽だったのに、部分麻酔だったのでもう内臓と骨を直接ゴリゴリやられるあの気持ち悪さは二度と味わいたくありません。あと施術の2時間位ずっと暇でした。


結果、29年蓄えた大切なお尻の肉の2/3を持っていかれる結果となりました。お尻2/3って大半ですよ。お尻なので自分では見えませんが、ドS主治医が


医者「えげつないくらいおしりの肉はありません」


といって、自称私の尻という内蔵なのかなにかよくわからない写真を見せてくれました。しかしそこで「きゃー」とか言ったらこのドSに負ける。

私は凛として「これ、データ頂けますか。記念に」と言ってやりましたね。欲しくもないのに。(結局データはもらえませんでした)


そこから尻の肉が人並みになるまでの3週間、激痛と戦いました。


痛み止めなんてすぐ切れるのです。一番ひどい時はモルヒネ打ってもらいました。モルヒネとか椎名林檎の歌詞でしか聞いたことありません。


そして食べたら出るよね、ちなみに直腸は無傷ですのでちゃんと排泄はできます。しかしその周りはダイレクトに内蔵。汚れるから生理食塩水で洗う…この痛み、お分かりいただけるだろうか。


痔瘻なんてなるもんじゃありません。食生活は大事です。


思い出したかのように父の入院

そういえば父も入院していました。

暇だったのか、父は入院中の3週間「オレ入院中ずっとヒゲを伸ばしちゃうトライアル」を行っていたそうです。相当暇だったんですね。

病気が病気だから完全滅菌なので、基本的に母しか面会にいけない。

バイキンだらけの子どもたちなんてもっての外


なので、ストローを気にしている間に父の入院は終わってしまっていました。気がついたら退院してなんだかこざっぱりして帰ってきていました。


ヘアリーセル白血病は従来の白血病と異なり、薬が効きやすいらしく、父においても効果てきめんで、父はドンドン回復していったそうです。

今では年に1回の精密検査の受診だけで良く、その数値も極めて良好。


何もなくてとりあえず良かった、そう胸を撫で下ろす家族に父が若干がっかりして一枚の写真を見せてくれました。


そこには、パジャマ姿のアルカイダの元リーダーであり、当時最重要指名手配犯のウサマ・ビンラディンの姿がありました。



村上「? どうしたのこれ。」

「3週間ヒゲのばしちゃうトライアル結果…」


今まで自分はスペイン系(体型だけ日本人)ハンサムだと思っていた父、ヒゲを伸ばしてショーン・コネリー(スコットランド出身だけど)な自分を予想していたのに出来上がったのが中東系世界的犯罪者であったことは、父の心に大きな傷を残す結果となりました。


病気は突然やってくる

日頃の食べ物がいかに大切か、日々の身体を作るのは食べ物。あとウォシュレット。お腹が緩い方はウォシュレット必須です。いつ自分の身にストロー生活が振りかかるかわかりませんよ。

野菜・果物・魚・肉・豆腐、まんべんなく食べて下さいね。30前と60前でガクーっとくるようです(我が家比)


皆様も健やかな日々を!

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