もう「がんばれ」はいらない
4月8,9,10日と友人の結婚式に出るため日本に帰っていた。
サークル内結婚ということもあり、ばか盛り上がりで最高の時間だった。
実質の自由時間は48時間もなかったけど、帰ってよかったって心から思った。
そんなつかの間の帰国だったけど、いろんな変化を感じた。
これが初めてみる震災後の日本だった。
数ある変化の中でとくに驚いたのがCM。
CMはどれも日本がんばれっていう
メッセージに変わっていた。
それはそれでとてもいいことだと思う。
でも、あまりに同じCMが流れるから、
ACに苦情がいったという話を聞いてびっくりした。
その話を聞いたとき、
大好きな人のあるエピソードを思い出した。
「大スランプにかかったことがあるんですよ。
何試合も連続でヒットが出なくて本当につらかった。
そんな時、周りの人やファンの人から、頑張って。って
声をたくさんもらいました。それがほんと嫌だったんです。
俺はもう十分がんばってるのに、これ以上がんばれっていうの?って
とても重い言葉に感じられたんですよね。
そんな時、アメリカのファンたちの言葉に救われたんです。
「Good Luck!」お前はもう十分頑張っている
あとは幸運を祈るよ、そんな言葉が自分を楽にしてくれました。」
こう語っていたのは新庄剛志選手です。
あの陽気で楽観主義にみえる新庄さんでさえ、
重荷に聞こえてしまった「がんばれ」という言葉。
震災の人たちは野球のスランプより
もっとつらい精神状態にあると思う。
実際に応援動画によせられたメッセージ。
↓
3年間の遠距離、付き合って6年。今年ようやく結婚式をあげる予 定だった彼はもう居ません。彼は一度上った屋上から、足の悪い患 者さんを助けに下の階に降り、津波に飲まれたそうです。本当は生 きて生きて生きて欲しかった。けれど、最後まで人を思いやり助け ようとした彼をわたしは誇りに思います。今、わたしの父は彼と同 じように闘っています。父は志願して原発に戻りました。父からの 最後のメールの一文です。『自分の携わってきた仕事だ。誰かがや らなければならない。夢のある子供や家族の為に諦められない。』
本当は辛くて苦しくてどうしようもないけれど、でも前を向きます 。こんな時に、どうかしているのかもしれないけど、youtub eの中にある多くのメッセージを見ると一人じゃないような気がす るから。伝えたい事は1秒後にはもう伝えられないかもしれない。 だから、たくさんの人に感謝して、今はもう居ない彼のように最期 の最後まで人を思える人間でありたいと思います。お腹の赤ちゃん の為に生きていきます。世界中のみなさんが幸せでありますように 。ありがとう。
【一度返信をし、その後に返ってきたメール】
温かい言葉を本当にありがとうございます。
本当はどうしていいかわからず、ずっと不安で孤独でこわくて仕方がないです。どこにぶつけていいのかわからない悔しさや怒りや悲しみがふと込み上げてきて、急に目の前が真っ暗になってしまう。
彼や父はヒーローでもなんでもなくて、本当に普通の彼でお父さんでした。毎日が幸せで、ずっとそんな日々が続くと思っていました。世界で悲しい出来事が起こり胸を痛めても、わたしには遠い世界の出来事のように感じていました。
わたしや彼の命が終わる時は、温かなベットの上で子供や孫に囲まれて息をひきとるのだと思っていました。
4.21に仮埋葬された彼が火葬される事になりました。最期に彼に伝える言葉なんて全く見当たらないけど、でもお腹の赤ちゃんときちんと見届けてきます。次に天国で会えた時に馬鹿にされないよう、しっかりしなきゃだめですね。彼以上に人を想って、彼以上に人に感謝して、わたしなんかに出来ないかもしれないけど、なんとか進んでいくつもりでいます。
本当は誰とも話しなんてしたくなくて、前なんて向けなくて本当に死んでしまいたかった。けど、PCの前にはたくさんの優しさが広がっていました。
不思議なもので、誰にも言えないんです。被災者はみんなそれぞれ誰か大切な人を失ってる。一緒に泣けたらいいのに、みんながみんな辛いから、泣けないんです。泣く時間も与えられない。多くの山積みの問題がどんどん迫ってくる。
だから、この動画を見て自然に泣けた時、少し楽になれた気がしました。
一つだけお願いがあります。この動画に訳をつけてもらえないですか?被災地には多くの子供と多くのお年寄りがいます。そんな人がすぐにわかるように日本語で訳をつけてもらえないでしょうか?
海外の友人は国からの命令で母国へ帰ってしまった事を知りました。国内の人でもより西へ行ってしまった人も多くいました。でも、わたし達は逃げ場がない。長期間滞在できる場所がありません。多くの人は、人の優しさを知る術がありません。どうか、被災地と世界を繋げて下さい。わたしも頑張るので、力を貸して下さい。
被災地の人を助けたい、
そう強く思う自分がいる。
一方で
被災地の人のつらさは自分にはわからないのではないか、
そう思う自分もいる。
百万回の言葉よりも一回の行動を。
同じつらさを感じられない自分がやるべきことは、
同情することでも優しい言葉をかけることでもない。
何か行動にうつすこと、そう思う。
別に大それたことでなくても、
被災者を思いながら起こした行動か、
日本の未来を見据えた行動であれば、
何でもいいのかもしれない。
先日、自分の友人が被災地のところまで、直接ビデオを届けにいってくれた。
本当にすごいと思った。
人にはそれぞれ役割がある。
離れた僕にできることは、
もう前を向いて突っ走る事。
新しい日本創りに貢献できる男になること。
そう思うし、そう覚悟を決めた。
今年のテーマは、
「資金作り」と「日本史」を学ぶ事。
世界へ出るまでの大事な一年にしよう。
著者のDra gonさんに人生相談を申込む
著者のDra gonさんにメッセージを送る
メッセージを送る
著者の方だけが読めます