変わっていく話

久しくとどまりたるためしなし

こんばんは
少し前に梅雨入りしていたようだ。6月もそろそろ終盤に入ろうかという時期だが、それ程降られたという印象もない。けれど、雨よりもこの湿度。ねっとりとした空気が体にまとわりついて、全身から汗を絞り取ろうとしてくる。僕が小さい頃は、梅雨を象徴するものと言えば雨だったけれど、最近はこの不快な湿度がそれに取って代わっているようだ。
この時期、もう少し涼しければ良いのだけれど、夏本番かと思う程の容赦の無い暑さに加えて、灰色の空と、むうっとする外気のお陰で相当参っている。
さーっという音を聞きながらしとしと降り続く細い雨の筋を窓から何となく眺める。ちょっとだけ開けると心地良い風がそっと吹き込んできて、少し温度の高い部屋の空気と混ざり合っていく。それを感じながらぼんやりしていると、雨粒が振り込んで床が濡れているのに気付き、慌てて窓を閉める。
そんな子供の頃の情景をふと思い出すと、何だか、世の中はあまり面白い方向には向かっていないような気がしてくる。
『ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。』季節の風物だけではなく、僕も含めて万物は変わっていく。時間という概念も、事象がうつろいゆく様を表す単位に過ぎず、この世の全ては変化というものに支配されている。
もちろん、人の気持ちや考え方のようなものも例外ではない。何かをそのままにしておこうとしてもそれは許されず、心に焼き付けておくことが精いっぱいだ。しかもその記憶ですら、ヒトの細胞の変性によって薄れたり美化されたりしてしまう。けれど、そういうことだよ。移り変わっていくことに良し悪しなど無く、ただ、それを受け入れるしかないのだ。

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