平凡な会社員が、“脳出血で倒れて働き方を考え直した”話【第一回】
突然、”その日”がやってきた。
2009年11月。とある企業の関西事業所で技術職の主任として勤める僕は、入社後3年目に結婚し、子供はいないながらも平和で平凡な暮らしを送り、勤続15年目の年の瀬を迎えていた。
元来、僕は不器用で周りから期待される事に応える事だけが信条だったので、目の前の自分に与えられた仕事に一生懸命取り組むことだけが取り柄だった。
そして、その月。いつもに増して目の前の仕事が立て込んできていたのである。
日常業務をこなしながら、新規業務の管理を行い、2週間連続で朝から夕方まで客先に張り付いてヒアリングをこなし、月末には会社の新事業に必要な資格を取得するため4泊で東京での資格取得講座に出席した。
12月に入っても休まる事はなく、少し風邪気味ではあったが社員旅行にも参加し、その翌週には、客先でトラブルを起こした同僚のフォローのため、接待で深夜までお酒の付き合い…
最初に体調に異変があったのは、その接待の翌日の金曜日の事だった。その日は、客先で打ち合わせがあったが終始気分が悪く、打ち合わせ後にトイレで吐いてしまった。こんな事は初めてだったが、その時は二日酔いだとばっかり思っていた。
しかし、会社に戻る途中、今までに感じたことのない寒気に襲われ、入社以来初めて早退することにした。今までも体力的にキツイ事もあったが、「これは、早く帰らないとまずいぞ。」と危機感を感じたのは、この時が初めてだった。そして結局、週末は寝て過ごす羽目になってしまった。
その翌週の月曜日、少し体調を持ち直し職場で仕事をしていたが、夜になってふと何気に横目で左手にあったホワイトボードを見たとき、身体に異変が起こっていた。
その時は、「やはりまだ疲れが取れていないのだ。」と思いその日は退社することにした。
帰宅後、風呂に入ると第二の異変に気付いた。
その時もまだ、「たまにこういう事もあるよな。」とあまり気にせず。風呂から上がりその日は就寝した。
しかし翌朝、目が覚めると事態は一変していた。
世の中全てのものが、二重に見えたのである…
<つづく>
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