会えなかった、初恋の人。5

会えなかった、初恋の人。


Episode1 出会いはチャット
Episode2 会いたい
Episode3 会えなかった理由
Episode4 別れ
Episode5 彼が去った後
Episode6 15年後の今



Episode5【彼が去った後】
私がお金を貯め始めた最大の理由は、やはりKだった。

彼を探し出したい。やっぱり会いたい。

手がかりは少なかった。


彼の名前、生年月日、使っていたインターネットプロバイダ、イトコの名前、
旅行先で泊まったホテル・・・


たったこれだけの情報。
そして彼は、私と会うことを望まないかもしれない。
でも、どうしても、一度でいいから彼に会いたかった。

時給680円のコンビニアルバイト。
月に4~5万円ほどのお給料。
必死で働いて、卒業するまでに40万円が貯まった。



でも、それは遅すぎた。
彼が去ってから3年。
私を諦めさせるには、充分過ぎる時間が過ぎ去っていた。


私は彼が去ってからも、数年に渡り届くはずの無いメールを何度も送った。
いつか、もしかしたら、また彼に届く日が来るんじゃないかと祈りながら。
それは虚しい祈りで、やはり届くことはなかったのだけれど・・・


きっとこんな話は、誰にしても信じてもらえないだろう。
Kという人は存在せず、誰かが暇つぶしに私の相手をしていたんだとか、
海外に行くと言っていたことも、イトコと一緒に住んでいたことも、
他人から見れば全て疑わしいものだと思う。

だから私は、今日まで誰にもKの話をしなかった。


でも、私はそれでもいいと思っている。
私もその可能性は何度も考えたし、私が他人のこんな話を聞いたら
そう思うに違いない。

ただ、彼が去った後に残った真実は、

私がKという人に恋をして、Kと言う人が私を支えてくれたこと。
私は何も奪われていないし、傷つけられてもいない。
ただ温かい気持ちにさせてもらい、中学3年という激動の青春時代を彼と過ごした。

Kという人が実在しなくても、私はKという人と出会い、会話を重ね、惹かれていった。
それだけが紛れもない真実で、残った結果なのだ。

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