秘密の扉20

神の秘密

図書館から凉子は自宅に戻り、23時になったので、自分の身体に「今日一日ありがとう」とつぶやいて床に入った。

 凉子はすぐに睡眠に入るタイプで、夢の中で白い空間の中で青年が「やあ」と言いながら現れ「何が聴きたい」と青年が言うので

「神と人間について聴きたいわ」

「あなたが理解できる範囲でしゃべることにするよ、言葉というのはすべての情報を伝えきれる媒体ではないからね」

「お願いします」と凉子は言った

「始めに空間も、時間も存在せず、あるのは神の意識、つまりエネルギーそのものであった。神の意識は突然、自我に目覚め、自身が何者なのかを考察をし始めたが、どうしても自分を理解できなかった。だって当然だろう、比較がなければ理解できないんじゃあないか」

「それはどういうこと」

「そうだな、自分が何者かを知るには、自分でないものを知らなければならない」

「わからないよ」と困惑顔で凉子は言った

「物質界は比較することによって、初めてそれを理解できる。愛を知るには、愛でないものと対峙しなければならないし、もっとわかりやすく言えば、自分の体型、身長を知るにはメジャー、体重計という道具が必要だし、他人と比べて自分がどうなんだと言うこともわかるね」

続けて、青年は語った「そして神はいみじくも考えた、そしてご自身の意識を無数に分けること思い立ち、それが物理学で言うビックバン理論なんだ、神の意識はあれであるもの、これであるものとご自身を無数に分割し、それが一人、一人の魂の原型となった」

凉子は壮大な話にうっとりし、自分自身について心をはせていた。

青年は「つまり、私達は神の意識から分かれた神の子そのものであると言っても、過激な発言ではない、あなたがそんなことを考えたとしても、神に対しての不遜になるはずもなく、まして神罰を与えることもあり得ない話だ」


人生の秘密


青年は続けていった「人生の秘密だが、あなたがどのような人生を歩もうとも、神は神罰を与えずただ観察しているだけだ」

「どうして」

「神罰なんて、人間が作り上げた幻想に過ぎないのさ、物質界では様々な状況に直面するが、起きるには起きるだけの原因が隠れ、その結果として表れているに過ぎず。その結果がさらなる原因となり、結果を引き起こす。原因と結果がループしているんだよ」

「そうなんだ」

「良い原因を作れば、良い結果が得られるし、悪い原因を作れば悪い原因になる事は自明の理だ。イエス・キリストの教えの中にも、釈迦の教えの中にも、原因と結果を教えているが、かなり歪められた形で伝わってしまい、教祖は嘆いているよ

原因と結果の教えは真理であるが、道徳でもあると言うことだね、宗教を信じている者も、信じていない者も等しく適応される法則だよ。

 今ひとつ言えば、あなたの中に神があり、あなたも神の子で在ると知れば、誰もあなたを精神的に支配できなくなる。しかし、反面厳しい教えには違いない、自分の中に原因があるなら状況を批判したり、他人を批判したりできなくなる。

今回の話は、以上だ」

凉子は青年に「すごく感動したわ、ありがとう」と言った

そしてその時、凉子は目覚めた

目覚めたとき、気分は高揚し 自分自身が大きく感じられた。

凉子はこんな気持ち初めてだわとつぶやき、続いて自分の身体に「おはよう、今日もよろしく」と言って起き上がった。


親友との会話


 大学の午前の授業が終わり、食堂で食事が終わり、お茶の時に親友の斉藤由香は「凉子、一眼レフのカメラをお父さんに買ってもらったんだけど、あなたはよく撮っているみたいだから、教えてくれる」

「いいわよ、何でもそうなんだけど、上達には知識と実践のくり返しが必要なんだけど、知識はネット動画を探せば写真講座がわんさかあるわ、それで学習して、それにもまして美しい写真を撮るためには、自分の心の中に美を意識しなければならないわね」

「どういうこと」

「つまり、あなたの目に映る物は、あなたの心の反映に過ぎないの、たとえて言えば、あなたの感情が穏やかなときは、穏やかな状況を引き寄せ、あなたの心がイライラしているときは、美しい物は目に入らない物よ。 あなたの心が穏やかで、周りの風景を意識しているとき、これとないシャッターチャンスがおとずれるときがあるわ」

「そうなんだ」

 凉子は写真アルバムを由香に見せ「この二枚の写真、一枚は湊川神社の結婚式のオプションなんだけど、たまたま、そのバス停前で降りて、偶然に出会ったのよ。

 次の写真は今咲いているツツジとクマンバチね、これも偶然に出くわした物よ、ほんの一瞬の瞬間だから、普段から写真を撮りなれていないといい写真は撮れないわね、何事も始めに言ったように知識と実践に尽きるわね」

「すごい」と由香は驚いた表情になった。

「私は写真撮影のポイントは絞りを上手く使えるかによって写真が生きてくるのか、平凡な写真になるのか決まってくると思うわ」

「そうなんだ」

「由香、今度一緒に撮影にどこかに行きましょう。そこでいろいろと教えてあげますよ」

「ありがとう、近いうちに行こうよ」

「はい」



秘密の扉21に続く

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