秘密の扉 21

猫の独り言Ⅱ


そのの夜、自分の部屋で高橋凉子は、彼の自宅のトラ猫についての独り言について甲と思い、筆と原稿用紙を準備し、

書き始めは「猫の独り言Ⅱ」

続けて

私は野良猫だったのよ

猫の中でも割とフレンドリーと言われている

トラ猫なのよ

まだ生まれていない一月しかたっていなかった私だった

そして、私はとても疲れていて衰弱していたの

でも、あの人は絶対に

私に気づいてくれると信じていたのよ

だから、あの人のお家の近くで

待っていればいいんだと、ちょっぴり心細かったけど

私はその瞬間を、心臓が破裂するかと思うほどに

ワクワク、どきどきしながら、待つことが出来たの

そして、とうとうその時がやってきたのよ


あの家の高校生の伸一くんが、まず私を見つけてくれたの

伸一は家の中にいる、母さんに知らせてくれたの

(やっと私はあの人に会えるんだ… もうすぐあの人が来るわ)

その時の私の気持ちはね、三回回ってワンと言いたぐらいだったのよ、そしてあの人はお家から出てきたの


あの人は何の迷いもなく、私を抱え上げ、お家の中に私を連れて行ってくれたの

その日の夜は、あの人つまり伸一君のお母さんが私をずっと側においてくれたのよ、だからお母さんのお腹の上で一晩過ごしたって訳なの、飲みだらけの私をよ、私が小さかったものだから、一人に出来なかったんだって。                                   その時の私の気持ちは三回まわってワンと言いたかったわ

そしてお母さんと伸一君と暮らし始めることになったの



やがて近所の子供たちが、私の存在に気づいたの

そして子供たちは「なぜ、猫がいるの」と母親に聞いたのよ

そしたら、嬉しそうな顔で、一言「私が産んだのよ」だって

子供は、目を輝かせて「じゃあ私のママにも産んでもらうわ」スキップしながら、ママの所に帰って行ったのよ。

これで本当にお母さんの子供になったような気がしたわ

そして出来るものなら三回まわってワンと言いたかったわ


お母さんと暮らし始めて、ちょっぴり辛かったのは

とにかく衰弱が激しかったこともあるけれども

食事が出来なかったものだから、スポイドでミルクを飲まされたことなの

あれは思い出しただけで泣きたくなるわ

それと、病院で注射をされたことも辛い思い出だわ

でも、それもお母さんの愛だとわかっているから


そうそう、私の名前はね、お母さんがつけてくれたのよ

なんでも、私がお空から ポッと舞い降りてきたみたいだって

それで、ポーという名前にしたんだって、私はこの名前がとても気に入っているのよ


それでしばらくしてから

私はすっかり元気を取り戻せたの

病院にも、行かなくていいようになった頃

今度は美容院につれていかれたのよ

きれいにシャンプーして美しくしてくれるのは

建前で本音は飲み退治なのよ

私としてはお母さんに洗って欲しかったけど

水を怖れて暴れるのがわかってらしくて

結局、お母さんは美容院に託したのよ

まあ、仕方がないところね

そこの美容院ではトラ猫を手がけたのは初めてだったらしく


私を見て戸惑い、笑っていたのよ

それでも丁寧にしてくれたわ、そしてカットとやらね

仕上がりにの最後は、赤いリボンもつけてくれたわ

結構似合っていたと思うけど、どうなのかしら

でも私にとって二度と行きたいところと言えないわね

特に爪を切られるのは勘弁して欲しかったわ

それでも、なんだかんだと言ってみたところで四回から五回ほど行ったわ


お父さんも結構私をかわいがってくれるんだけど

ちょっと手荒くて、私にとってはまだ苦手なの

でも、私を受け入れてくれて感謝しているわ


実は私は毎日お祈りをしているのよ

すべての人が幸せでありますように

人々と自然が、仲良く出来ますように・・・・


私がこの家に来たことで、この家族に大きな変化があったのは確かなこと、みんなの顔が優しくなったわ、そしてねぇ自分以外のものに対して、自然と愛情をかけられるように変わったのよ

私はこれと言って、形でお返しなど出来ないけど

その無償の愛情を、家族に示すことで、安らぎを家族の人たちが得ることが出来たのは

私にはわかるの、形にならない、幸せと言ったらいいのかしら

これが私の仕事なんだけど、上手く出来たみたいで

とてもハッピーなのよ    完

書き終えて、凉子は布団に飛び込んだ。


秘密の扉 22に続く


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