生涯、彼からの返事は私の耳には届かない。

1 / 2 ページ

何を言っても、返事はない。

おはようって言っても、返事はない。
ただいまって言っても、これまた返事はない。


今年の夏で、彼と出会い一緒に暮らし始めて11年が経つ。

11年前。

夏の暑い日に、彼と初対面。       無言だった。

それから毎日のこと。

「おはよう。学校行ってくるからね。待っててね。」

「ただいま~!今日さ、超楽しかった事あったんだよ!」

「ねぇ、聞いてよ。ちゃんと私の話聞いてる?」

「ただいま。」

「おやすみ。」

私が何を話しかけようが、彼は返事をしなかった。

ただ私を見てるだけ。じっと。ただ見てるだけ。


たまに首をかしげたりするけどね。


彼は、何にも喋ってくれないけど、

私がしょんぼりしてたら、寄り添いに来てくれるし、
「こっちに来てよ」って言ったらすぐに駆けつけてくれた。

私は嬉しかったし、私の気持ちは彼に伝わってるはずって信じてたから、返事はなくとも構わず毎日話しかけた。


もう11年も一緒にいるのに。

彼は未だに言葉を発さない。


最初からわかってた。出会った時からわかってた。

生涯、彼からの返事は私の耳には届かない。

私がどんなに泣きわめいても、どんなに返事が欲しくても彼は言葉を発しない。
何も言ってくれない。一生。そう、絶対に。



そんな私の最愛の彼の名前は







ソラン


彼は犬だ。    人間じゃない。 

言葉なんか話さない。



話せない。

みんなの読んで良かった!