【投稿テスト】シミ。

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煙草を吸う間の数分。


の、つもりが

結局それから30分くらい車の中で話は続いた。


その時純くんは自分の事を色々話してくれた。


ホームセンターに勤めている事。

10年くらいスノーボードをやっている事。

それから

長く付き合った彼女と年明けに別れたという事。


私も自分の事を色々話した。


…正直

普段あまり交友関係を広げる事をしない自分が

こんなに心を許して会話しているという事実に

自分自身が一番驚いていた。



深夜1時をまわった頃

いい加減帰らないと、という話になり

ようやく私は車から降りた。


自分の車に乗ろうとした瞬間、純くんが突然助手席の窓を開けて言った。


『ねぇ!俺いつでも暇だからさ

暇な時いつでも誘ってね。俺も誘うから。

…おやすみ!』


私は大きく頷いてエンジンをかけた。


独りになった帰路で私は

久しぶりの不思議な感覚に動揺していた。



すごく

すごく

楽しかった。


まだ話したいと思っている自分がいる。


これって


もしかして。


………いや


いや……でも。


と、ひとり百面相になる。


私自身、長く付き合った元彼と別れてだいぶ経つ。

恋愛始めの感覚なんて


正直思い出せない。


だから


これが何なのか

よくわからない。



………はず、だ。






その後は一回ずつメールをやり取りして眠りにつき

翌日。



仕事から帰ると

家には誰もいなかった。


よくある事だし、子供の頃から慣れている。


でも、なんとなくその日は落ち着かなかった。


昨日が楽しかっただけに、余計寂しさを感じてしまう。


しばらくテレビを見ながらぼーっとしていると

携帯が鳴った。


【メール受信:ナンパ】


…あ…名前登録変更するの忘れてた……


と、込み上げる笑いを抑えながらメールを開くと


【今閉店しました。もう少しで帰れる…。】


…という何事でもない内容だったので


私は【お疲れ!】と返信した。


すると、その10分後。

今度は着信があった。


【着信:ナンパ】





『おー。終わったー。

……まあ用事なんか無いんだけど……。

何してたの?』


電話を取るといきなり勢いよく話し始めた純くん。

私の寂しさは一気に吹き飛んでしまった。


『んー。

ぼーっとしてた』


『嘘!?予定無し?』


『……まあ』

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