秘密の扉 23
数日後喫茶店にて
涼子「お待たせ」
伸一「やあ、元気だった」
涼子「もちろん」
伸一「自信たっぷりな言い方だねぇ」
涼子「そりゃあそうよ病気なんて言う言葉は、私の心の中では存在しないもの」
伸一「すごいな、それ」
涼子「あなたが教えてくれたんじゃあない」
伸一「そう・・・・・・・・」
涼子「あなたが病気は、気持ちの持ち方が八割を占め、自分の身体の働きを信頼しているとき、身体はそれに応え健康を保とうとするし、不安で、自分の身体を疑い、干渉すれば、身体の本来の働きを阻害し病気を引き起こすと、あなたが教えてくれたんじゃなかった」
伸一「そうだったっけ、そんなことも言ったような・・・・・・・・」
涼子「そうよ、自分の言ったことを忘れるなんて、無責任だわ」
伸一「悪かったよ、僕はねぇ、自分の発した言葉は単に提案に過ぎないと考えているんだ。」
涼子「どうして」
伸一「自分の持っている価値観や意見を人に押しつけたくないという気持ちが働いているんだと思う」
涼子「それで」
伸一「相手に自分の価値観や意見を押しつけても、相手は自分の価値観で物事を捉えているから、受け入れられるか、拒絶しているかは分からないし、人は誰でも自らの価値観に合わせれば、自ら間違ってはいない。 それを非難したり、無視したりすれば、相手に対しての自由意志の侵害だと思うからだよ」
涼子「そうなの」
伸一「そうだよ」
涼子「あなたは以前言っていたわねぇ、死後の世界は天国も、地獄もなく、自分の思っていることが、周りの風景になっていると言うようなことを」
伸一「そうだよ それが」
涼子「だとすれば、私の思考が変われば、その風景は変わるの?」
伸一「もちろんそうだよ、あなたが嫌だと思った瞬間、別の風景になっているよ」
涼子「それはすごい」
伸一「しかし、それは死後の世界に限定された出来事ではないんだ」
涼子「どういうこと?」
伸一「この物質界もその法則が働いているよ」
涼子「そうなの」
伸一「あなたが見ている周りの風景は、五感を通して経験しているだろう、つまり、あなたに入ってくる情報や風景は、あなたの価値観に翻訳され、見ていると言うことになるんじゃない」
涼子「どういうこと」
伸一「人は誰でも、自分中心で物事を見ているのさ、客観的に見ると言うことは現実的に不可能だと思うよ。でも客観的な目で見ようと努力は出来ると思うよ」
涼子「言われてみるとそうだわ」
伸一「この世界は因果律(原因と結果)という法則が働いているから、あなたの思考・行為・言葉によって原因を作り、結果として今をあるわけだ。つまり、あなたが今の状況を創造していると言うことだよね」
涼子「それなら、わかるわ」
伸一「まあ、人は自分が興味がある事しか、入ってこないんだ、例えれば、あなたがもしブランドバックなどに興味を持てば、それを目にする機会は多くなるねぇ。私の経験から言えば最近、外車に興味を持ったから、街でよく見るようになったよ」
涼子「そうなんだぁ、だが悩みも不運や病気を引き寄せるよね」
伸一「そうだね、悩みというのは様々にあって共通する事は、将来に対して見えていないと言うことなんだ」
涼子「それはどういうこと」
伸一「人は弱いと思っているから、将来に対してコントロール出来ないと思っている。」
涼子「そうよねぇ」
伸一「さらに悪いのは、嫌なことに出会ったりすれば、状況の責任にしたり、誰かの責任にしてみたり、運命の責任にしてみたりする。しかし、 自分がその原因だとなかなか認めないものさ、だがね、それを意識して、認めれば解決の糸口が見えてくると思うよ」
涼子「それは言えるかも」
伸一「問題を解決するには、ひとつの提案だが、紙に書き出すことだよ。私が考えた用紙があるから渡すね」
涼子「ありがとう、読んでみる」
問題( 悩み 心配事)を感情と分離して、問題解決法
1 問題は何か
○事実のみ記入
2 どうしてそれを問題だと思うのか
○深刻に捉えすぎている?
○本当にあなたにとって重要?
○時間の経過と共に消え去る?
3 問題の原因は何か
○外的要因( 事実のみ記入)
○内的要因
何があなたの気持ちを乱れさせるのか?
「感情」を記入
○外的要因も、内的要因も、あなたの視点・ 感じ方が作り上げているドラマでしかない
○多々、問題の原因の中に答えが含まれていることがある。
4 どのような解決策が考えられるか
○解決する方法は複数あると考える。
5 最善と思う解決策を実行する。
6 結果 自己分析
○なぜうまくいったと思うか
○なぜうまくいかなかったと思うか
7 自己評価 一から十までの評価
8 うまくいかなかった場合
4に戻り、別の解決策を実行。
涼子「なかなかうまくまとめられているんじゃあない」
伸一「工場の中で使われている、問題解決の手法と感情レベルを加えて考えてみたんだよ」
涼子「どうして感情を加えたの?」
伸一「それはさ、記憶は感情とともに刻まれ、自分にとっていい出来事だと嬉しくなるし、自分にとって不快な出来事だったら、嫌な気分に陥りやすいからだよ」
涼子「わからないよ」
伸一「話がそれてしまった、問題というの自分にとって不快な出来事だから、感情的も不安定になりがちだろう、それだと客観的に問題を判断できない、それで感情を加えて考えたんだ」。
涼子「そうなんだぁ」
伸一「自己責任という言葉も考えないと、相手が困っている状況になっていても、自己責任だと言って、その人に対して無関心になるからね」
涼子「そこまで考えなかったわ、相手に対する思いやりが失われ、親切心が麻痺するようだわ」
伸一「私は自己責任七割、周りの責任にすることが三割であっていいと思っているんだ。」
涼子「そうよねぇ、この世の中は自分の思い通りに行かないものだし、自分を責めすぎるのも考えものだわ」
伸一「だから、問題に対して自分を客観的に見られる方法を考えたんだ」
涼子「それはすごい、友人にもこの提案を見せ、あまり自分を責めすぎないように言うわ」
伸一「今日の話はそんなところかな
涼子「あなたとの会話はいつも、ワクワクしているんだけど、あなたはどうも理論的なところがあって、ついて行けないことがある」
伸一「そうか、冷めた目で今の状況を、客観的に見るところがどこかにあるかも、そういった雰囲気があなたに伝わっているのかも知れないな、それは仕方ないね」
涼子「そうなの」
伸一「雑談は苦手で、ある程度話題を決めておき、それを組み立てて話す方が、私は得意なんだけどねぇ」
涼子「話は変わるけど、この前に行った花鳥園は楽しかったよねぇ」
伸一「楽しかったね、あ こんな時間、ぼつぼつでようか」
涼子「そうねぇ じゃあまたねぇ」
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