私はここにいる

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「またぁ〜彼女いるくせにぃ〜」


真子はピカイチぶりっ子なのである。

でも真子も性格は悪くない。


「彼女なんていないよ。欲しいなぁ」


真壁は真子に気があるようだ。


ふん!女ったらし…


ほまれは小さく呟いた。


専門学校のあるビルを出た。

ほまれはあるテレビ局の駐車場に来た。

中には入れないのでテレビ局のビルの壁にもたれた。


空を見上げてみる。

晴れてるのに空は灰がかかったように電柱もビルも歩いている人さえ灰色に見えた。


大きくため息をつく。


ため息をつくと幸せが逃げるんだって。


そう誰かが言っていたのを思い出した。


幸せ?

幸せってなんだろ。

雨露しのげる家があることか?

ご飯が食べれることなのか?

親が出してくれた学費で学校に通えることか?


そんなこと全部感謝してるよ…


ほまれは独り言が多い。


約束の時間は午後3時

ほまれの時計は1時間も待ちくたびれていた。


「おい、ほまれ。わりぃな。収録が延びてよ、ほんとわりぃわりぃ」


ほまれの腕時計は午後6時半だった。


3時間半も待つ女…私バカだな…心の中で呟く。


平田健一26歳

お笑い芸人絶頂期の男である。

平田はサングラスにキャップをかぶり目立たないようにしている。


「車出してくるからちょっと待ってて」


ほまれは車のことはわからないが平田の車は左ハンドルだ。


平田との出会いは一年前。

ほまれの母親が駅の階段を踏み外して両足を骨折してしまい外科に入院となった。

それと同時に平田も車の追突事故でむち打ちになり同じ病院に入院していた。


ほまれが母親のお見舞いに行くたびに平田と顔を合わせるようになった。


ほまれはテレビが嫌いなので一切観ない。だから平田のことも知らなかった。


声をかけてきたのは平田のほうだった。


「毎日大変だね」

「あ、いえ、別に…」

ほまれは慌てて顔を背けた。


「ジュースでも飲まない?おごるよ」


男性から声をかけられたのは始めてだった。


首にギブスをはめパジャマ姿だった。


平田が病院の自動販売機に近づき

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