私はここにいる(書き換え)

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「また俺とヤレるか?」
「うん」
「俺、処女始めてなんだよな…なんか悪いことしたね」
「大丈夫よ」
平田はほまれの目にキスをした。

相変わらず平田からの電話はかかって来ない。

三週間ぶりにやっと平田から電話があった。
赤坂プリンスの同じ部屋で待っていると。

ほまれは慌てて外出の用意をした。

あの部屋のドアをノックする。
ドアが開くと平田の笑顔だった。

平田はほまれを抱きしめた。
「おまえの華奢な感触がたまらないんだ」

「今日は大丈夫かな?」
「うん、大丈夫だよ」

平田はほまれのブラウスのボタンを外しはじめた。
あっと言う間に丸裸にされてしまった。
熱いキスをし上から下へと平田の舌が降りて行く。
ほまれの秘密の部分を優しく愛撫する。

気持ちいいとほまれは思った。これが大人の女なんだ。みんなしてることなんだからと思いはするものの甘い眩暈に神経が集中出来ない。

「入れてもいい?」
「うん」

今度は普通に入った。痛くもなかった。
女を象徴するような分泌物が音を立てる。
「ほまれ、感じてるんだね」
「気持ちいいよ。おまえの身体。最高だよ…あっ、あっ!ダメだ」
平田はほまれの身体から抜き果ててしまった。


こんな日々が1年半過ぎた。
ほまれは喜びを知る女となった。それに加えて何か物足りなさも感じていた。


ほまれは高校を卒業した。

美術の専門学校に入学した。
クラスの20名ほどの生徒は個性を持っておりそしてみんな優しかった。

真壁は時々ほまれをからかうようになった。

「おい!子供!いいスニーカー履いてるじゃん?それ子供用もあるのか?どこで買った?」
「ふん!特別注文だよ!」
スニーカーは平田に買って貰ったものだった。
真壁がからかうのはほまれは色が白く童顔で華奢な身体つきだったからである。

昼休みにノートにほまれはイグアナのイラストを描いていた。明美が近づいて来てノートを覗き込む。
「ほまれ、何描いてんの?」
「イグアナ」
「上手く描けてるけど…どうかした?」
「カエルだって描けるよ」
明美の前でスラスラと生々しくカエルの絵を描いた。
それを見ていた明美は真子を呼んだ。
「ちょっと真子!来てよ!ほまれがおかしくなっちゃった!」
真子がどれどれと覗き込む。
「やっだぁ〜気持ち悪い〜」
仔猫のような声を張り上げる。

「いいじゃん。イグアナもカエルも精一杯生きてるんだから」

教室のドアのところでザワザワと声が聞こえる。
ドアの方を見ると別の学科の女子生徒たちがいた。
女子生徒たちは真壁を見つけるなり
「真壁さーん」
と黄色い声を発しながら手を振っている。
真壁は振り向き
「おお!」
と手を振り返す。

かっこいいからって天狗になるんじゃねーよ。ほまれはこの鼻につく男のところへ行きイグアナとカエルを描いたノートを破り
「はい。プレゼント」
と言って真壁に渡した。

真壁はその絵を見ながら
「可愛くねえな。おまえ変な奴」
ほまれは無言でまた机に座った。

平田からの連絡がない。
ほまれはほおずえをついてため息を吐いた。

こんなに好きなのに…
こんなにお兄ちゃんを求めてるのに…

数日後、平田から夜中に電話がかかって来た。どうやら酔っ払っているらしい。受話器の向こう側がザワザワとしている。

「明日、プリンスのロビーで待ってて」
電話はすぐに切れた。

でもなんでロビーなんだろう?いつもはテレビ局の壁だったり部屋だったりドライブしたり。

授業が終わり赤坂プリンスへ向かった。

平田がすぐ目に止まるように入口側に向かって腰を下ろした。
また3時間くらい待たされるのかな。もう待つことにもほまれは慣れていた。

平田は時間通りにやって来てほまれを見つけ座った。
いつもの笑顔ではなかった。
「学校どう?」
「楽しいよ。今度作品の試験があるの。B2板に三枚も絵を描かなくちゃだめなんだ。気が重い」
「そうか…」
平田は上の空だった。ほまれが目の前にいるのに視線がどこかに向いていた。
平田はほまれの前ではサングラスを外すようになっていた。
「ほまれ…」
いつもと違う口調だった。
「ん?」
「言いにくいんだけどさ、俺結婚することになった」
ほまれにはその言葉が理解出来なかった。
「け、結婚?」
「うん、ごめん」
「誰と?」

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