私はここにいる(書き換え)

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「バレたか」
ほまれは何事もなかったように微笑み返す。
「ねぇ…」
と言いかけた時
「今日は早く行かなきゃ。ガソリンスタンドのバイト忙しいんだよね」
明美はさっさと行ってしまった。
真子を見てみる。顔を歪めている。
ほまれはすぐに思った。真子は生理なんだ。真子の生理痛は半端じゃない。一回、教室で倒れて救急車で運ばれたのだった。

「ほまれ〜帰るよ〜」美樹がほまれに言った。

美樹は…?遊べる?
美樹は謎の少女だった。ロングの髪にいつも変わった格好をしていた。
女子たちで街をウロウロしてた時にある雑貨屋に入った。みんなバラバラで商品を見ている。
「もう出よう」
と美樹が言い出した。みんなもそれに従った。
店を出ると
「ほら!見て!」
美樹の首元をみんなで見る。
玉で綴られているブルーのネックレスを付けている。
「あれ?」
みんなが口を揃えて言った。
「やったの」
悪びれた様子もなく笑顔で言っている。
「美樹ったら〜」
誰も咎める女子はいなかった。
ほまれは美樹は常習犯だと思った。

「美樹、暇?」
「ん〜ちょっと用事があってさ」
それ以上ほまれは何も言わなかった。

ほまれは誰もいなくなった教室にポツリと座っていた。
教室の窓に目をやるとオレンジ色の光が差していた。ほまれは立ち上がりカーテンを開く。
空の向こうに大きなオレンジ色に輝く太陽がほまれの顔を染めた。

綺麗だな…

誰もいなくなったビルの2階。ほまれは自動販売機のところへ行き缶コーヒーを買った。そこは学生たちのために休憩場所にされている。
ほまれは椅子に座り缶コーヒーを一口飲んだ。

するといきなりガチャリと鍵を開けてデッサンに使う教室から真壁が出て来た。

ほまれはただビックリした。
真壁の後から出て来た女性は事務員だった。事務員はほまれを見て慌ててビルを出て行った。

真壁が近づいて来る。
ほまれは黙ったまま、また缶コーヒーに口をつける。

「おい、子供、どうした?」
ほまれは無視する。
真壁はほまれの隣に座った。
しばらく二人は黙っていた。
真壁が煙草に火をつけた。
「一本頂戴」
「子供のくせに煙草なんて吸うなよ」
と言いながら煙草を一本差し出しほまれが煙草を加えた時、真壁はライターでほまれの煙草に火をつけた。

吹かすだけだった。
「何人、女を作ったら気が済むの?何人、女をその気にさせたら気が済むの?事務員まで手を出すんじゃねーよ」
ほまれは口に入れた煙を真壁の顔に吹きかけた。
「そんなんじゃねーよ」
「私、あんたみたいな男嫌い」
「俺もおまえのこと嫌いだよ」
真壁は静かに言った。
「女ったらし」
ほまれは真壁の存在を全否定したくてたまらなかった。
「鍵かけて事務員とセックスしてたの?どこでも出来るんだね」
真壁は黙ったままだった。
しばらく静寂になった。

「ほまれ、目を見せてくれないか?」
いきなり真壁が言い出す。
平田と同じだ。

ほまれは怒りが込み上げて来て真壁の前に立ち真壁の頬を引っ叩いた。
真壁は何も言わなかった。

「帰る!」
ほまれはかばんを掴み帰ろうとした。
「俺も帰る。一緒に駅まで行こう」
真壁は後から着いて来た。
あの大きなオレンジ色の太陽が沈みかけていた。

駅に着くと電車が行ったばかりでホームには誰もいなかった。

ほまれはホームの椅子に座った。真壁も隣に座った。

「昨日、助けられなくてごめん」
真壁がホームの向かい側を見て言った。ほまれは真壁の横顔を見つめる。
「他に聞きたいことは?」
ほまれが投げやりに言う。
「別に」
真壁は前を向いたままだった。
真壁は女をたぶらかす男だ。平田と同じだ。
ほまれはふとかばんの中を覗いた。
昨日、パニックになっていたので忘れていた。
封がついた札束があった。

「真壁君、バイトなにやってるの?」
「ホストだよ」
「あんたに合ってる仕事だね」
「言っとくけど俺は女ったらしじゃない。アマチュアバンドもやってるしファンがいてくれてるだけだよ。昨日の女も店の客だ」

「何で目を見せてって言ったの?」
「おまえの目綺麗だ。いつかデッサンさせてくれないか?上手く描けるかどうかわからないけど」

みんな私の目が好きなんだ。じゃ、心は?

ほまれはふと思いついた。かばんの中の札束を見ながら。
「ホストのバイト代っていくら?」
「安いよ。時給850円だ。朝の5時まで働くんだぜ。まぁ、他のバイトよりは時給は上だけど」
「月の給料どれくらい?」
「どんなに頑張っても5万くらいかな」

ほまれはおもむろにかばんから札束を出し真壁に渡した。
「えっ?」
「数えて」
真壁はほまれに言われた通り数え出した。
「100万あるよ。どうしたのこの大金」
「今日、土曜日でしょ?今日と明日、真壁君を買う」

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