やつあたり

認知症のおじいちゃん

一人でいるとウロウロしだしてしまう



女性部屋に入ったり

転びそうになってしまったりするので

結構な頻度でナースステーションで過ごしている



昼間は家族の方とホールでご飯を食べ、

その他はナースステーションで看護師たちに見守られながらご飯を食べている



そのおじいちゃんは、入院生活のストレスの限界に達してしまい

「家に帰るんだ!!」

と、ある日を境に訴え続けるようになってしまった



毎朝主治医は、ナースステーションにくると

「おはようございます」

と、真っ先にそのおじいちゃんと会話をしていて


おじいちゃんもいつもは

「おかげさまで。。。」

とか言っていたのだが、その日から


「早く家に帰してくれ!!」

と、連呼するようになってしまった



最初は主治医が丁寧に現状を説明すると納得していたのだが、

そのうち主治医に怒鳴るようになってしまった


またまたとある日に、朝から主治医に「帰せ」コールを連発していたのだが

逆に主治医にこってりと怒られてしまった


その言い合いは、傍から見ると子供のけんかのような光景であった



そして主治医がいなくなると、おじいちゃんはムスッとしてだまりこんでしまい、

朝食もまったく手をつけなくなってしまった



看護師が

「もう食べないんですか?」

と聞いたところ、しばらくムスッと無言でいたのだが



「・・・・・。」



「・・・・・。」




びちゃっ!!




スタッフ 「あっ!!!」




なんと素手でおかずをつかんで看護師に投げつけたのだった


あまりの光景に一同唖然

投げつけられた看護師も唖然

そして一言


「私にやつあたりかい・・・。」



あとでそれを聞いた主治医が看護師に謝っていましたが

肝心の本人は、その後もムスッとしたままで

おじいちゃんの食事中は、必ず距離をとるようにしたスタッフなのでした

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