空の彼方へ 零戦を造った少女たち
1 海の中の墓標
人生には多くの出会いと別れがあり、時には予期せぬ再会がある。そして胸の奥底に長年秘めていた想いの扉が開くような再会、ひとはそれを奇跡と呼ぶ。
これはひとりの女性と友だちたの物語である。
『ダイバーたちは回収された残骸を十字架に見立てて海の墓標と呼んでいたそうです』
店の奥の液晶テレビから流れてくるニュース番組を見ながら藍沢鮎子はガラスケースの中の徽章を取りだそうとする手を止めた。指先には真鍮製のバッジ、それは旧日本軍の海軍少尉の襟章だった。
こんな
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