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13/6/11

【第1話】10年間で4回半同棲に失敗したので自戒をこめて振り返る【ゴミ屋敷男との同棲】

Image by Olia Gozha


10年間で4回半の同棲、すべて失敗。

この一文だけでいかに私がダメな女かがお分かり頂けると思う。そのダメっぷりをこれから詳しく振り返ってみたいと思う。「ビッチ乙」だの「ダメ男製造機」だの「人を見る目が無い」だの「なんなの馬鹿なの学ばないの?」だの、なんとでも罵ってもらって一向に構わないが、私は大変打たれ弱い性質なので、その言葉はネットの海の向こう側、あなたの心のなかに留めておいていただけると大変有難い。


1回目の同棲「ゴミ屋敷男」

当時のスペック

  • 自分:フリーター17歳〜18歳くらい

  • ゴミ屋敷男:専門学校生19歳〜20歳くらい


高校を中退した。超絶過保護な母親が嫌になり、岡山の実家から大阪へ逃げた。

地元で数ヶ月フリーターをして30万円ほど貯め、ネットで知り合った2つ年上の専門学校生が暮らすワンルームマンションへ転がり込んだ。1年半ほど6畳の部屋で暮らした。嫌になったので夜逃げした。


なんという三文携帯小説。ほんとうにひどい話だ。


事の始まり 〜インターネットでの出会い〜

すべての事の始まりは中学2年生の時に父親に与えられたwindows95だった。私専有で、自室で好きに使えるようになった。父の教えは「10時以降のテレホタイムに使え」だったので、そこから私の夜型ネット生活が始まった。


あとはなにもかもご想像の通りだ。中学生に専有でパソコンを与え、夜に使えと指示したらどうなるかは火を見るより明らかだ。猫にマタタビ、中学生にパソコン。ダメに決まってる。


初めて触れる広い外の世界の知識と情報が、好奇心と可能性に溢れる若者の未来を明るいものにする、なんていうのはまあジョブスとかそのレベルの特殊な成功例だ。たいていの若者はネットを学びの場にするでも、世界の人と交流するでも、ITで世界を変えるでも、財を成すでもなく、欲望の世界に引きずり込まれ、未来に暗い影を落としていく。


私の場合もその例に漏れず、中高生の集まるチャット広場に夜な夜な顔を出し、しょーもない話を何時間も繰り広げた。当然朝起きれなくなり、学校がダルくなった。ブラインドタッチのスキルを得た代わりに、いろんなものを失った。部活の朝練とか無視した。


そのチャット広場で知り合ったのが最初の同棲相手=ゴミ屋敷男である。

思い込みの激しい中学生と夜中のテンションとの魔合成により、会ったこともないどこかの誰かと恋に落ち、そこからの4年間ほど、遠距離恋愛を経て同棲まで至った。やっぱりほんとうにひどい話だ。


【ゴミ屋敷伝説】ゴミ屋敷男との生活が始まる

その昔、V6の「学校へ行こう」という番組内で「ゴミ屋敷に突撃して片付けをする」というコーナーがあったことを覚えておられるだろうか。ネットで知り合った人のワンルームマンションに転がり込んだその日から、テレビカメラも無い中、V6のメンバーでもなんでも無い私がその面白コーナーを担当する羽目になってしまった。人が住める家になるまでに1週間かかった。


ゴミ屋敷伝説その1:部屋全体がゴミ箱

ゴミ屋敷男(以下めんどくさいのでゴミ男)には「ゴミ箱」という概念が無かった。

  • 鼻をかむ→ティッシュのゴミが生まれる→そこらへんへ適当に投げる

  • カップラーメンを食べる→パッケージ&使った割り箸&少し食べ残した汁や小さな具入りのカップのゴミが生まれる→床に置く

  • ポテトチップスを食べる→食べきらずに残る→テーブルの上に半永久的に置いておく

この自堕落な男の1人暮らしが1年も続くと、ゴミ達は地層となり謎の化石が生まれていくらしい。有機物の神秘を目の当たりにして私は呆然とした。


「ゴミはゴミ箱へ。」

ゴミ男は一般的な初等教育を受けて来なかったらしい。


ゴミ屋敷伝説その2:ユニットバスが白くない

トイレとシャワーが一つになっている、学生がよく住むタイプの部屋のユニットバスを想像して頂きたい。全体的なその空間の色は何色か。白であるはずだ。もしくはクリーム色であるべきだ。一般的には。そうでなければ非常に困る。


そのゴミ屋敷のユニットバスは、赤茶色だった。汚れている、というレベルでなく、腐敗しているかような赤茶色であった。あまりにその空間が全体的に赤茶色なので、元々こういう色だったのかもしれない、と自分を騙そうとしたくらいだ。しかし当のゴミ男を問いただしたところ「え?最初は白かったよ?」などとしれっと言いやがった。即刻ドラッグストアに駆け込んだ。「強力!」と名のつく洗浄剤を片っ端から購入し、嗚咽しながら擦りに擦った。


「トイレ掃除はこまめに。」

ゴミ男は一般的な衛生観念が著しく欠如していたらしい。


ゴミ屋敷伝説その3:シンクが泥沼に

さてここで問題です。ユニットバスは一般的に白色ですが、ではステンレス製のキッチンのシンクの色は?


緑色だった。


緑の沼が出来ていた。新たな生命が誕生し、繁殖し、力いっぱいに躍動していることを感じさせる、そんな緑だった。

でもそこは本来ならば新たな生命体を育むための水場ではなく、食器を洗うために常に清潔な場所であるべきはずで、もちろん色はシルバーでなければならないのに、だ。


「シンクで謎の苔植物や微生物を飼育してはいけない。」

ゴミ男には洗い物をするという概念が無かった。


ゴミ屋敷伝説その4:桃がミイラ化して卓上にて発見される

わたしたちは、夏に、いっしょに桃をたべました。当時はまだいっしょに住みはじめてはいませんでした。遠距離恋愛をしていて、わたしがゴミ男へと、お土産に桃をもっていったのです。桃をたべたのは、私が地元へと帰らなければいけない時間のすこしまえでした。しかたなく、わたしはその桃の種や、皮や、包丁や、お皿をそのままテーブルの上にのこして帰りました。


次にゴミ男の家に遊びにいったのは、冬休みのことでした。「あいかわらず、部屋ちらかってるねー」といいながら、テーブルの上を少し片付けようとしたそのときです。わたしは、謎のミイラを発見してしまいました。そうです、それは、夏に片付けそびれていた桃の残骸だったのです。あんなにもみずみずしかった果物の種が、皮が、無残にもミイラになっていたその姿は、いまでも忘れることができません。


わたしは、ミイラを作ったことはありません。ですので、これはあくまで予想ですが、ミイラを作るには「腐敗」や「におい」や「虫」がつきもなのではないでしょうか。ゴミ男は半年ものあいだ、部屋の真ん中のテーブルを占拠する「腐敗」「におい」「虫」に耐えてまでミイラを作りたかったのでしょうか。


「生ゴミは早めに処理する。」

ゴミ男にはもしかしたら鼻が無かったのかもしれない。


事の顛末 〜夜逃げ〜

結局なんだかんだで1年半ほど、このゴミ男をなんとかしようと試みたが、一般的な初等教育を受けてこず、衛生観念も、鼻すらも備わっていない人と暮らすのはやっぱりダメだ耐えれないとなった。当然だ。


会社の上司に相談し、ゴミ男が学校へ行っている間に荷物を運び出し、これにてゴミ男との生活はあっさり終了!となった。そもそも、一緒に住み始める前の桃ミイラ事件の時点で別れなかった当時の私も相当な感覚の持ち主だったのだと反省している。


夜逃げ先をミスったがそれはそれで楽しかった

しかしもっと反省すべきなのは、その夜逃げ先である。私が次の住居に選んだのは、まさかの、ゴミ屋敷から徒歩1分の場所だった。「お前本気で馬鹿なのか?」というご意見はもっともだが、だってしょーがないじゃん、会社が近かったんだもん。

当然のことながら生活圏内にゴミ男は潜んでいたので、近所の和民でたまたま隣のテーブルになってしまった時にはにらめっこをしたり、コンビニで遭遇しては気配を消す忍者ごっこをしたり、夜中に偶然道ですれ違っては本気鬼ごっこを繰り広げたりして、別れてからも仲良く遊んだのだった。


以上が私の、初めての同棲の甘酸っぱい思い出だ。



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