世界一過酷なサハラ砂漠240kmマラソンで、5km走って息切れするモヤシ男を完走に導いた、心が震えるたった一言の応援メッセージ

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僕はサハラ砂漠をひとりで歩いていました。


4月10日深夜2時、僕はサハラ砂漠の深い闇の中にいました。

今日はレース4日目。

スタートから17時間も歩き続けています。


でも、不思議と痛みや疲れはなく、とても穏やかな気持ちで、心は笑っていました。


辺りは光のない闇の中。

でも、僕のまわりだけ、スポットライトが当たっているように明るく感じました。


極度の疲労で幻覚を見ているのかもしれません。


僕は、この不思議な体験を通じて、かけがえのないものを手に入れることができました。


* * * * *     


とんでもない場所に来てしまった・・・。



4日6日、サハラマラソン、レース初日。

それが、目の前に広がる大砂丘を目にした時の僕の第一印象でした。


サハラマラソンは、最高気温50℃のサハラ砂漠を、水・食料・寝袋など約13kgの荷物を背負って、7日間で240kmを走るマラソンレース。


こんなヘンタイ的なレースに出る人の気が知れない。


レースに出る1年前、僕はそう思っていました。


僕がレースに出るきっかけになったのは、サハラマラソンに出たことのある友だち数人と旅行に行った時に放たれた一言です。


「Kさん(←僕のことです)は、サハラマラソンに出ることになってるから。」


こうして半強制的に、流されるままに出場することになってしまいました。


ちなみに僕は、


・身長167cm、体重48kg。ガリガリ体型の31歳。

・5km走ると息切れしてしまうほど体力がない。


という、こんな過酷なレースに出るようなタイプとは言えない軟弱な男です。

にもかかわらず、僕は、ろくにトレーニングもせずレース当日を迎えてしまいました。


どんな人がサハラマラソンに出るのか?


2014年で第29回目を迎えたサハラマラソンには、日本から42名の選手が参加していました。


その中には例えばこんな人がいます。


・月に2,000km走り、ギネス記録を持ち、還暦を迎えたワタナベさん

・世界放浪の旅の途中でスリランカからレースに駆けつけ、終わったらヨーロッパの方へ旅立つという27歳のマサトくん

・レースの魅力に取り憑かれ、今年で15回目のレース出場となる看護士のジュンコさん


42人には、それぞれ異なるバックボーンや参加動機がありますが、ひとつ共通して言えることは、みんなフツーじゃないということです。


こんな人たちのスゴい話を聞いて、あー僕ってなんて平凡なオトコなんだろー。

としみじみ思ってしまいましたw


コースマップは宝の地図


しかし、もうここまで来たらやるしかない!


僕は気持ちを引き締め、配られたコースマップを開きました。





手書きじゃないですか・・・w


それはまるで宝の地図。

コース説明が英語とフランス語に書かれているものの、


「ここから10kmほど砂丘が続きます」とか、

「谷を2つ越えます」とか、

「30%の勾配の斜面を登ります」とか、


コースの情景が全く想像つかない説明書きばかりで、もう笑うしかありませんでした。



レース初日から遭難・・・。



レース初日、僕は、日本から一緒に参加した友だちのオトシさんと一緒に走っていました。





僕とオトシさんの前に立ちはだかる大砂丘。


砂に足をとられて思うように進めません。

13kgの荷物が肩に重くのしかかり、とても痛いです。

気温は容赦なく上昇し、45℃に達していました。

越えても越えても、延々と続く砂の山。

息は切れ、口からよだれが垂れ、ひどい状態です。


この時僕は、レース前に主催者から送られたアドバイス集に書いてあった一文を思い出しました。


===

心理学的な面から言うと、サハラマラソンのようなレースには動機付けが絶対に必要です。

このようなコンディションで長時間のレースは、途中ギブアップしたいと思わずには走れません。

よくある動機に 「自分の限界に挑戦し、それを越えてみたい」というものがありますが、

このような動機は少々危険です。

というのも、サハラマラソンでは自分の限界にすぐに達してしまうからです。

引用元:サハラマラソンに挑戦するためのアドバイス(2014 年大会用) 

    翻訳、監修 国境なきランナーズ©

===


はい、もう僕は今限界に達してます。すいませんでしたw


ついにチェックポイント発見!・・・しかし・・・。


そして、遥か遠くに黒いテントのようなものが目に入りました。


「チェックポイントが見えた!」


やっと休憩できると嬉しくなり、砂丘を登る足取りも軽くなりました。

しかし、次の瞬間、絶望が僕とオトシさんを襲うことになりました。

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