うつ・不眠症・ひきこもりだった主婦が3日間で715キロを下る、カナダの世界規模のカヌーレースで世界3位になった話
<ひきこもりでネガティブで、そんな自分が大嫌い>
ユーコンリバークエスト。
カナダのユーコン川、715キロをほぼ不眠不休で3日間で下る、世界規模のカヌーレース。
こんなアドベンチャーレースにこの自分が参加するなんて、思いもしなかった。
そもそもの始まりは、夫がある起業家の人たちとつながっていたこと。
その起業家の人たちは、今回の世界規模のカヌーレース、「ユーコンリバークエスト」やサハラマラソン、キリマンジャロ登頂などなど、さまざまなアドベンチャーレースに参加していた。
昨年(2012年)に、その起業家の人たちの間で「ユーコンリバークエスト完漕報告会」というものが行われた。
文字通り、2012年度のユーコンリバークエストに参加した起業家メンバーによる報告会、シェア会のようなものだった。
起業家の人たちが共同生活をしているマンションで行われたその集まりに、当時私は特に興味を惹かれることはなかった。
だが、夫に引っ張り出される形で参加することになった。
そのユーコン完漕報告会のラストに主催者より、「来年の女性参加メンバーを募集しています」と発表があった。
自分には関係ないと思って黙っていた。
すると、すでに参加表明をしている、今回のリーダーである「みなちゃん」という女性より、「出ましょうよ~」と誘われた。
もちろん断り、笑って曖昧にごまかした。
なぜ断ったのかというと、いろんな意味でハードだからだ。
まず、お金がかかる。日数もかかる。
あと、なんといっても人とそんなに長い時間、一緒にいたくなかった。
人と関わりたくなかったのだ。
そのときの私は、ネガティブだった。
当時は、公私ともにがんばりすぎて約1年間苦しんでいた不眠・うつ病からやっと開放されたばかり。
そして満を持してリラクゼーションサロンを独立開業したものの、色々とうまくいかず、フルタイムの派遣で生命保険のコールセンターの仕事をしていた。
コールセンターの仕事は特にやりたいことではない。
やりたくもない仕事をやって、同僚と下らないおしゃべりをして愚痴を言って、そんな毎日にうんざりしていた。
そしてプライベートでは、これといって特にハッピーなことがなかった。
当時私たち夫婦は妊活に励んでいたものの、一向に結果が出ず、毎月生理が来るたびにひどく落胆していた。
でもこんなことは誰にも言えない。
それまでいつもポジティブに振舞っていた私は、ネガティブな自分には価値がなく、誰からも受け入れてもらえず、愛されないと思っていた。
そんな私に比べて、この起業家の人たちの集まりはとてもポジティブに見えた。
全員が起業して、成功していると思っていた。
起業していない人たちもやりがいのある仕事をして、成功していると思っていた。
実際はそんなことはないのだが、そのときはそう思い込んでいた。
「この人たちと私は違う」
彼らと接するたびにそう感じた。
だから居心地が悪くて、彼らとの関わりを避けた。
しかし最初にユーコンリバークエストの誘いを断ってからも度々、夫を始め、色んな人たちに参加を勧められた。
その度に断った。断り続けた。
悶々とした毎日が続く中、ある日、一人の男性が、夫を通じてあるセミナーの無料体験会に誘ってきた。
女性限定「女性性コミュニティ Our Garden 女性として生きる歓び」
さほど興味はなかったが、無料だし、引きこもりが続いたので行ってみることにした。
女性オンリーなら、起業家の人たちの集まりに比べて、それほど居心地が悪くないだろうと思った。
セミナー自体はためになったし、楽しかった。
しかし、最後に有料セミナーの案内があって、なんだか気持ちが覚めてしまった。
「そうだよね、ボランティアでやってるわけじゃないもんね」
当時、相当やさぐれていた私は、申し込みする気もなく、そそくさと帰った。
帰りのエレベーターで、一緒にセミナーを受けていた女性と一緒になった。
「申し込みするんですか?」と私が聞くと、彼女からは、
「はい、申し込みしましたよ~」と、当然のように返ってきた。
どうやら、以前に申し込みしたみたいだ。
彼女は帰りに「フェイスブックで友達申請するので、名前を教えて欲しい」と言ってくれた。
彼女とフェイスブックでつながり、早速メッセージが届いた。
すぐに返信した。なんだか、すごく嬉しかった。
家に帰り、夫に早速「どうだった?」と聞かれた。
「今日のセミナー自体は良かったけど、有料セミナーを申し込む気はない。
興味ないし、高い。そんなお金ない。」と答えた。
夫は、有料セミナーの案内チラシを見て、
「この内容でこの金額なら、安いよ。何より、コミュニティに入れるんだよ。
そこでできる仲間は、なにものにも代えがたいよ。お金は、貯金から出せばいいじゃん」
と言ってくれた。
それはまさに、彼が起業家の人たちとつながり、実感していることだった。
そう言われて気にはなってきたものの、「いや、やっぱりいい。申し込まない」と断固拒否していた。
それから数日。やっぱり気になってきたので、夫に改めて「申し込みしようかな」とつぶやいてみた。
「うん、しなよ」と、背中を押してくれた。
次の日の夕方、思い切ってお金を振り込んだ。
<新しい仲間との出会い>
有料セミナーは、期待以上だった。
まずは男性性と女性性(男性らしさと女性らしさ)を理解し、その中で、調和を学んでいく。
自分の内面と向き合う。両親との関係について深く考える。
その中で、ネガティブな自分を受け入れるということをした。
また、それまで多かった、完璧主義や「~でなければならない」という価値観を、少しずつ手放せるようになった。
気持ちが楽になり、家庭で、職場で、友人の間で、次第に居心地がよくなっていった。
男性性と女性性の特徴の一つとして、
男性性が「与える」、女性性が「受け取る」というものがある。
これは、狩猟時代に、「男性が捕ってきた獲物を家族に与える」、
「女性はそれを受け取る」という由来からきている。
「受け取る」とは、「受け入れる」ということだ。
セックスについても同様である。
「男性が与える」「女性が受け取る」。
そして、「自分が望む方向に進む」ためには、
「受け取る」というアプローチをすれば、ストーリーは進んでいく。
逆に、拒絶して受け取らなければ、ストーリーは止まる、ということを学んだ。
そんなこんなで、だんだん自然体に振舞えるようになり、
今まで拒否してた自分を受け入れられるようになり、
毎日がとても楽しくなってきたのである。
その頃、私はコールセンターの仕事を辞め、
リラクゼーションサロンを再開した。
コミュニティの女性たちが、数人来てくれて、
フェイスブックなどで紹介してくれた。
こちらが何も言わなくても、そうしてくれて、
とても嬉しかったし、感謝だった。
「仲間っていいなあ」と素直に思った。
ユーコンリバークエスト参加を表明したのもこの頃。
「受け取る」ことをしようと思った。
1年近く拒否し続けてたのに、それでも誘い続けてくれるみなちゃん、夫や周囲の人たちに感謝した。
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