台風19号からの復興を担う職員をサポートしたい!オンライン医療相談の実証実験の背景と想い。
台風19号からの復興を担う職員をサポートしたい!
オンライン医療相談の実証実験の背景と想い。
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令和元年東日本台風(令和元年台風第19号)は、令和元年10月に記録的な大雨となり、甚大な被害をもたらしました。激甚災害、特定非常災害(台風としては初)、大規模災害復興法の非常災害(2例目)が日本政府により適用されました。
宮城県丸森町においても、10名の尊い命が犠牲となったほか、1名が依然行方不明となっています。住宅被害においても1,050軒に上り、復興復旧に関して、非常に長い時間を要しています。
左写真:令和元年10月13日の丸森町上空写真
出展:国土地理院ウェブサイト(令和元年(2019年)台風19号に関する情報)
丸森町役場の職員たちも自らの住宅が被災するなか、復旧・復興業務に従事しており、肉体的にも精神的にも苦しい状態が半年以上続き、休む時間や病院に行く時間を取ることもできず、心身に支障をきたす職員が出てきてしまいました。
今回、そうした時間を取ることが難しい状態でも「オンライン医療相談」によって、いつでも気軽に医療の専門家に相談することにより初診のハードルを下げ、重症化する前の職員向けのケアを実証実験として実施するに至った想いを伺います。
丸森町の災害復興業務とコロナ禍
丸森町 商工観光課 八島 大祐
丸森町役場で職員として働いていると、災害時は公務が最優先となります。自身の家族や被災した家のことよりも、まずは地域住民のために働かなければならない覚悟はどの職員も持っていると思います。「まずは、地域のため」という想いで働いています。
私も、地縁のない妻と幼い子どもを床上浸水した家に残しながら夜遅くまで災害復興業務に従事していました。台風19号の翌週にも再び大雨となり、川の堤防が決壊したままであったため、再度冠水。精神的にもつらい日々でした。
「休みたい」と誰もが想いながら半年以上かかってようやく業務にも目処がついてきましたが、職場の仲間の中には、病院に行く時間もなく体調不良のまま働き続けている人たちがたくさんおり、みんな被災しているのだからと泣き言や相談を言える空気でもありませんでした。
丸森町 総務課 小野 香菜恵
令和2年になり落ち着くかと思われましたが、コロナ禍でさらに業務量が膨大になりました。限界を超えている職員も多く見受けられる状況のなか、このままでは職員が倒れていき、残った職員に業務が上乗せされるといった負のスパイラルに陥ってしまう。なんとか健康に働き続けられる環境整備や仕組みが必要だと感じ、さまざまな対応を検討してきました。
オンライン医療相談だからできる新しい医療相談
株式会社アナムネ 代表取締役 菅原 康之
株式会社アナムネは、「Life Medical partner -ITの力で医療をもっと身近に- 」というビジョンを掲げて立ち上げました。オンライン上で女性医師に相談できるサービス「Anamne(アナムネ)」やオンライン診療プラットフォーム、検索エンジン型医療メディア「clila(クリラ)」の開発・運営を行っております。
こうしたサービスはBtoBやBtoCとして企業の方だけではなく一般の方々への利用も拡大しているところです。近年の大規模な災害による様々な地域での甚大な被害を受けて、そうした被害状況にあっても社会のインフラを守っていく仕事をしている行政の取り組みや行政職員をサポートすることで、より多くの人たちに喜んでいただけるのではないかと考えています。「健康経営」といった言葉が広がりつつありますが、まずは、働いてくれる人たちが健康でいきいきとすることが高いパフォーマンスにもつながっていくと信じています。そのために、正しい医療知識や重症化する前に相談できる仕組みがますます重要になってくると確信しています。
オンライン医療相談「Anamne(アナムネ)」は、女性医師が令和2年10月末時点で40人の女性医師が登録されており、幅広い専門医が協力してくれています。また、日本だけではなくアメリカ等の海外に拠点をおいている日本人女性医師もいるため時差を利用し、24時間365日オンラインでの相談に対応することが可能です。
気軽に体調不良や気になる点をチャットで相談することで、自身の心と身体を見つめ直し、重症化する前に地元のクリニックで診察を受けてもらえるような取り組みです。
Anamneの操作画面イメージ
「まず、やってみよう」からはじまる官民連携の取り組み
株式会社アナムネ代表取締役である菅原氏は、宮城県出身であり「地元のために、なにかできることがあるはず」といった想いを強く持っていました。丸森町の被災状況や働き方を知り、打ち合わせを重ねる中で八島さんや小野さんの想いにも共感し、実証実験として取り組みを行っていく運びとなりました。
「まず、やってみよう」といった言葉が行政職員の口から出ることは珍しいかもしれません。職員が庁内調整を実施し、関係部署の理解を得ていきました。通常、行政と民間がプロジェクトをすすめていくなかでは1年以上かかるものがあってもおかしくないですが、2か月程度で了承を得て、執り進めていくこととなりました。
八島
「丸森町としても、はじめての取り組みなのでどのような成果がでるかはわかりません。しかし、『いつでも相談できる仕組みがある』といったこと自体が重要だと感じています。行政だけで頑張るのではなく、民間とも一緒になってプロジェクトを進めることの重要性があると思うんです。」
丸森町からはじめる第一歩
丸森町にとって「オンライン医療相談」は、はじめての取り組みであり、全国的にも珍しい取り組みである。コロナ禍をはじめストレス負荷が重い現代にとって、健康で働き続けることはますます重要になってきています。選ばれる地域や住みやすい地域となるためにも、そこに住み、働く人たちが健康に活き活きと暮らしていることが今後のまちづくりの一丁目一番地なのではないでしょうか。
八島
「丸森町役場だけではなく、ここから地域の企業や商店街といったところにも広まっていけば良いなと感じています。丸森町役場がモデルとなり『健康経営』のシンボルになれればとも考えています。」
菅原
「丸森町役場から他の自治体へも展開していって、一人でも休職する職員を減らしていきたい。健康経営の旗振り役として、まずは行政組織が見本を示していき、結果、地域全体で健康経営が行われる企業が増えていくと信じています。」
官民連携をはじめ新しい取り組みにチャレンジしていく丸森町。激甚災害からの復興から立ち直る丸森町は、最も健康経営に近い行政組織といえるのかもしれない。
【丸森町について】
宮城県最南端に位置する人口約1万3千人の町です。東北第二の大河である阿武隈川や、森林・田園風景などの自然のほか、歴史、伝統建築などの豊富な観光資源に恵まれています。令和元年台風第19号により大きな被害を受け、復旧・復興に向けて全力を挙げて取り組んでいます。
■URL:http://www.town.marumori.miyagi.jp/
■所在地:宮城県伊具郡丸森町字鳥屋120番地
■町長:保科 郷雄
■プレスリリース
【株式会社アナムネについて】
アナムネは、「Life Medical partner -ITの力で医療をもっと身近に- 」のビジョンを掲げ、日本の医療費問題の解決をめざし設立。病気や医療、健康に関して、実際の医師にスマホやPCからチャット形式で直接相談ができるオンライン医療相談サービス「Anamne(アナムネ)」を開発・運営しています。
■所在地:東京都中央区日本橋1丁目13番1号 日鉄日本橋ビル3階 WAW日本橋
■代表取締役CEO:菅原 康之
■プレスリリース
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