諦めていた営業女性が、本気モードに切り替わる。論より証拠、で会社を変える。変革を生むプラットフォーム「エイカレ」の仕掛け
企業で営業職として働く女性たちが、実証実験を通して営業変革に挑むプラットフォーム「エイカレ」。
これまでに124社から768人が参加し、「転居を伴わない転勤」や「MRが複数の顧客をつなぐ説明会」、「時間制約のある働き方体験」など、現場の課題解決につながるビジネスモデルを生み出してきました。
「研修として参加するので仕方ない」「営業をいつまで続けるかわからない」と、最初は決して前向きでなかった女性たちに、いつ「本気で変える!」スイッチが入ったのか。どのように新しいビジネスモデルを生み出し、成長を遂げていったのか。
エイカレの企画・運営に携わる、株式会社チェンジウェーブの小森とも子に「変革を生む仕掛け」について聞きました。
新世代エイジョカレッジ事務局 小森とも子(株式会社チェンジウェーブ)
なぜ、10年で9割の営業女性が現場から消えるのか
エイカレの正式名称は「新世代エイジョカレッジ」。エイジョとは、営業女性のことです。
エイカレがスタートしたのは2014年、営業で働き続ける女性がいない、活躍してほしい人材が辞めてしまう、という企業からのご相談がきっかけでした。調べてみると、当時、入社10年経つと女性営業職の9割が現場から消えている…退職したり、異動したり、様々ではありますが、とにかく1割しか残っていないということが分かったんです。
営業が好きで、成果も出しているのに、なんてもったいないんだろう。なんとか解決したい、と企業7社(キリン、KDDI、サントリーホールディングス、日本アイ・ビー・エム、三井住友銀行、日産自動車、リクルート)とチェンジウェーブがエイカレを立ち上げました。
当時はまだ、営業は長時間労働が「当たり前」だと思われていましたし、エイジョ本人にも「結婚や出産を経て営業を続けるのは無理だ」という思い込みが強くありました。
しかし、私たちチェンジウェーブは「変革屋」。組織のリアルを理解し、固定観念を問い直し、企業に変革を起こすことを生業としています。エイジョの本質的な課題を崩せるとしたらどこからなのか、それが企業の成長につながる仕掛けにできないか、組織変革・人材育成で培った知見をもとに、プロジェクトの企画立案と運営を担当させていただくことにしました。
エイカレ2014 ファイナルプレゼンテーション
女性活躍推進から営業変革へ
スタートから7年、エイカレは少しずつ進化し、現在は下記のような形式になっています。
- 企業単位の参加とし、営業職の女性(主に非管理職)が「研修」として派遣される
- 夏のフォーラムでキックオフし冬のサミットで幕を閉じる、半年間のプログラムを毎年実施
- フォーラムでは異業種での学びと刺激を受け、自身のキャリアに向き合い、「一歩踏み出す」マインドセットを作る機会とする
- フォーラムからサミットまでの間に企業ごとのチームで自社の課題解決につながる「実証実験」を実施。その成果をサミットで発表し、企業経営層と有識者審査員の審査により優秀チームを表彰する
エイカレ2020スケジュール
これまでに提言されたのは、ライフとキャリアを可視化して考える「ライフキャリアデザインシート」(その後商品化)や共同サテライトオフィスの設置、業績評価改革、仮想通貨を用いたコミュニケーション活性化など、現場の課題を何とか解決しようというエイジョの熱意が感じられるものばかりです。仮想通貨やサテライトオフィスなどは今では当たり前のように思われますが、当時はその新鮮な発想力と実行力に驚きました。
数々のメディアにも取材され、話題になった「なりキリンママ・パパ」はエイカレ2016で大賞に輝いたチームの提言が全社展開され、人事施策にまで広がったものです。
■なりキリンママ・パパについて
https://eijyo.com/report/SUMMIT2016.html
https://www.kirin.co.jp/company/news/2019/0221_05.html
また、2019年度は「転居しない転勤」「オンラインで顧客をつなぐ説明会」など、デジタルシフトを上手に利用したチームが評価を受けました。その後新型コロナ感染症の拡大で、対面での営業を基本としていた方々も否応なく在宅勤務に突入しましたが、そんな時にもこのエイカレでの実験は役立ったとのことです。言い方は悪いかもしれませんが、ステイホームが後押しする形でデジタルシフトが進み、組織全体に動きが広がった企業もあると聞いています。実験で検証した結果をもとに、制度化に向けて動き始めた例もあります。
■デジタルシフトを利用した実証実験等はこちらからご覧ください
こうして、女性活躍推進から始まったエイカレは「営業変革」に取り組むプラットフォームに成長しました。
変革を起こす仕掛け
「変わりたい」「変わらなくちゃ」と考えている人、企業はたくさんあると思います。でも、なかなかその一歩が踏み出せない。一部の人がモチベーション高く何か取り組み始めたとしても、その動きが広がらない。そうしたご相談をよくいただきます。しかし、特にコロナ禍のような先行き不透明な時に「変革ありき」で大きく踏み出してしまうのは、あまりにリスクが大きいと思います。
ですから、エイカレでは、変革を小さく始めて大きく広げる「仕掛け」を大事にしています。
① 個人が変わる
エイジョ自身が「変えたい」「やってみたい」と強く思わないと、実証実験はうまく動きませんし、彼女たちの成長にもつながりません。
まずキックオフとなるフォーラムでは、異業種他社から刺激を受け、自社の当たり前が当たり前ではないこと、また、自分自身のキャリアについて思い描いている「営業は続けられない」という当たり前も思いこみであることに気づいていただく機会を作っています。
それからキャリアを前向きに、自律的に捉えるためのワークを行い、ある意味で「社内政治」のような、プロジェクトを動かしていくためのインプットも設けます。社内では女性の育成が難しい、とおっしゃる企業もありますが、厳しいリアルをきちんと知る経験を提供されていないからではないかと感じることも多いです。
有難いことに、毎年フォーラムを終えると「エイジョが見違えるように前向きになった」というお声を人事ご担当者からいただきますし、「私たちが、変える!」など、力強いコメントがエイジョから聞かれるようになります。
フォーラム後、エイジョたちは企業ごとのチームで実証実験を行います。「研修」で「実験」なんだから、自分たちがワクワクするような、心からやりたい、と思えるテーマを選んでください、とお伝えしています。
業務では「成果を出さなくては」と、無難で失敗しないものを無意識に選びがちですが、「実験だから」を盾に、発想をぐんと広げてもらおうという狙いでやっています。
② 組織が変わる
提言だけで終わらず、実証実験をする、というのはエイカレの大きなポイントです。論より証拠、現場が始めたことに成果が出れば、次は経営判断の俎上に載ります。事業成長に結びつく、というのは企業が変革するうえで絶対に必要です。
また、エイジョたちは実験を進めるにあたって、自分たちが実現したいことが会社の方向性と合っているのかを調べ、周囲を巻き込んでいくためにはどんなことが必要なのかを考え、行動します。座学の研修では得られない、大きな学びです。周囲の人たちも、エイジョに触発されて動き出す、ということも起こります。
■若手が40代課長層を動かした!エイカレ2019特別賞チームの事例
https://eijyo.com/report/2020report3.html
③ 社会が変わる
エイカレサミットには毎年、参加企業の経営層に出席していただきます。エイジョの実験を見守り、育ててくださる方も多いですし、他社の様子を見て「わが社も頑張らねば」とおっしゃる方もおられます。
「なりキリンママ・パパ」や「転居しない転勤」など、数人のエイジョが始めた実験が会社を動かし、ついには社会に広がっていく事例も出てきていますので、そうしたピアプレッシャーを受けるのも、エイカレのような異業種プラットフォームの良さだと思います。
エイカレサミット2019 (東京大学伊藤謝恩ホール)
Withコロナ時代の次世代型営業モデル
コロナ禍以前から、営業は変化しつつありました。
IT化が進むと共に「足で稼ぐ」営業が減り、ビジネスモデルの転換を迫られていたからです。
そこへ対面が制限されるwithコロナ時代が追い打ちをかけ、New Normalの営業はどうあるべきなのか、試行錯誤は続いています。
しかし、だからこそ、地に足のついた課題感から出発し、結果を出す、エイカレ発のビジネスモデルが期待されるのではないかと自負しています。
2020年度のエイカレサミットは2021年2月17日。
エイジョがどんな変革を起こしてくれるのか、今からワクワクしていますし、私たちチェンジウェーブも最後まで全力で伴走していきます!
(アートディレクション・デザイン:株式会社真ん中)
■新世代エイジョカレッジ オフィシャルサイト
※来期参加ご検討企業の陪席を無料にてご案内しております。詳細はお問い合わせください。
※オンライン開催を予定しております。ご取材いただける場合は事務局までお知らせください。
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ