倉庫会社が主催するアートアウォードとは
寺田倉庫は創立70年の倉庫会社です。ワイン・美術品・映像メディア、機密文書など専門性の高いアイテムを最適な環境で安全にお預かりしてまいりました。
そんな寺田倉庫は現在、新進アーティストを発掘するアウォード「TERRADA ART AWARD」を開催しています。すでに一次選考を終え、今後は2021年8月にファイナリスト5組の発表、2021年12月10日(金)に授賞式、同日からはファイナリストによる展覧会が予定されています。
今回は、本アウォードの運営事務局でもある、寺田倉庫広報グループ・アートプロジェクト推進室の室長・森結紀納を中心とした事務局メンバーが、寺田倉庫がアートアウォードを開催する目的やビジョンを語りました。
最終審査員が並ぶ キービジュアル
倉庫会社とアートの関係
寺田倉庫は、1975年より美術品の保管事業を行っております。また長年保管に携わる中で、保管と連動したサービスにも拡大しました。たとえば、保管している美術品の輸送や梱包、展示、修復や燻蒸(くんじょう)など、繊細な美術品の「価値」を守るための技術提供も行っています。それ以外にも美術品の展示を想定した多目的スペースを自社内に設けたり、そこで展覧会を主催するようにもなりました。
同時に拠点である天王洲が、アートに着目したまちづくりを推進していたこともあり、当社は倉庫空間を活用して、アートが楽しめるまちづくりにも取り組みました。倉庫をリノベーションしたイベントスペースに大型アートイベントを誘致したり、倉庫ならではの天井高や壁面を活用してギャラリーが集まる複合施設をオープンしたり。昨年には、当社の保管サービスを利用されているお客様の作品にフォーカスし、展覧会を企画・開催するミュージアム「WHAT(ワット)」をオープンしました。
寺田倉庫のアート事業とまちづくり
アーティストを支援する目的は?
寺田倉庫では、アート業界全体の活性化を目的にアート事業を展開しており、若手アーティストのサポートも積極的に行っています。具体的には、2014年以降アートイベントやアートアウォードの主催や協賛を行ってまいりました。また、都心から便利な場所で制作に専念できるよう、レンタルのアトリエを天王洲に17室展開しています。それ以外に、当社では古今東西の上質かつ希少な画材を専門に取り扱う画材ラボ「PIGMENT TOKYO(ピグモントーキョー)」を運営していますが、そこでは運営メンバーの多くにアーティストを採用しています。画材を実際に使用する視点からの的確なアドバイスは、お客様からも大変好評で、PIGMENT TOKYOの大きな強みです。接客以外にも企画やワークショップでの指導、企業向けセミナーの講師、SNSでの発信など多岐にわたり活躍しており、それらの経験が自らのアーティスト活動にも好影響を生んでいるという声も聞きます。
左)レンタルアトリエ「TAC ART STUDIO」 右)画材ラボ「PIGMENT TOKYO」
さまざまなアーティスト支援の方法がある中、なぜアウォードなのか
アートに限らずですが、賞を目指すことは、自分自身のモチベーションを掻き立てるきっかけの1つだと思っています。まずは、アーティストが最大限の力で最高の作品を生み出すお手伝いをしたいと考えました。
また今回、ファイナリストはファイナリスト展という展覧会にて、自分自身を最大限に表現できる展示空間を作り上げることになっています。限られた準備期間やスペースといった条件に合わせた構成力は、これからのアーティスト活動において求められる要素であると考え、作品制作だけでなく展示にも注力する機会を提供しています。
そして本アウォードでの審査が、アーティストにとって今後の励みになればという思いがあります。本アウォードでは、大賞1組を選出するのではなく、ファイナリスト5組に最終審査員5名それぞれから各賞を贈呈します。いずれも日本の現代アート界において信頼も注目も高い方々であり、「自分がこの方に選ばれたんだ」という実績は、ファイナリストのアーティスト人生にとって大きな糧となるはずです。
TERRADA ART AWARD事務局メンバー
アウォードはアーティストのためだけのもの?
新進アーティストの支援も大きな目標の1つですが、新しい才能による作品が誕生することは、アートファンやアートコレクターの方たちが楽しめる機会にもつながります。特にファイナリストのエネルギー溢れる本アウォードのファイナリスト展は、大きな見応えになると思いますし、今後彼らが活躍することは、アート業界の未来を照らすことにもなります。また今回は現代アートのアウォードということで、アーティストが切り取る「今」は、アートにあまり関心がない方にとっても刺激になり、ファイナリスト展を通じてアートファンが増えることにも期待しています。より多くの方にファイナリスト展をご覧いただけるよう、2週間の会期中はどなたでも無料で入場していただけるよう準備を進めています。
ファイナリスト展の会場となる寺田倉庫イベントスペース「G3-6F」
事務局にとってのアウォードとは?
今回、限られた応募期間に多くのアーティストがそれぞれの考える現代アートを提出してくださいました。日本の現代アートシーンの最新状況やアーティストの思いを目の当たりにできたことはアートに携わる者として非常に貴重な機会です。もちろん大変なこともあります。現代アートは表現形式も幅広く、刻々と変化するため、事前にさまざまな想定はしたものの、それを超える作品もありました。うれしい発見である反面、ファイナリスト展で最高の展示やパフォーマンスを行っていただくために、どのように輸送して、展示するか検討することはアーティストに限らず、私たち事務局にとっても大きなチャレンジであり、これを成功させることは、事務局にとっても大きな糧が得られるものと感じています。
現在事務局は、社内の若手メンバーとアート業界に関わる専門家で構成されています。
アート専門のキャリアを積んできたわけではない若手メンバーが、専門家と共にアウォードを構築・推進し、募集から展示までを一貫して実施することで、アートマネジメントができる人材の育成や、企業におけるアートシンキングの浸透にもつながっています。活躍していく新進アーティストとともに、共存していくアートマネジメント人材の育成もまた、今後のアート業界の活性化に向けた一助になると思っています。
今の寺田倉庫でアートアウォードを実施してよかったことはありますか?
寺田倉庫とアートの関係は、冒頭でお伝えした通りですが、特にこの数年の取り組みはスピードも規模も増していると感じます。例えば、本アウォードのファイナリストへの副賞には、作品の展示・販売機会や画材、美術品保管サービスの利用など、アーティスト活動に密接なものが並びますが、いずれも自社の複数の事業が提供しています。ファイナリスト展に向けては、展示会場となるイベントスペースの担当者はもちろん、輸送や展示などの専門ノウハウを社内に備えていることも強みです。
この数年でアート関連事業が拡大したことに比例し、アートに直接的に関わる従業員が増えましたし、社内でもアート事業が寺田倉庫にとって大きな役割を果たしていることが浸透しています。アートイベントを開催するときには、担当部署や業務の枠を超えて、従業員が会場づくりから受付、誘導など担い、団結して作り上げていますので、そう考えると、従業員みんながアートに携わっているといえます。アートアウォード開催は、現在の寺田倉庫のアートに対する風土や文化があるからこそ、社内の理解や協力がスムーズだと感じます。だからこそ他の企業やアートのプロの方たちにも本アウォードを支援していただけているのだと思います。
いよいよファイナリスト発表、そしてファイナリスト展が迫ってきますが、意気込みを!
多様な現代アーティストから選び抜かれたファイナリスト5組が、どのような表現で私たちを楽しませてくれるのかに期待していますし、アーティストの表現が最大限に生かされる展示となるよう、事務局として尽力していきたいと思っています。TERRADA ART AWARDが、アーティストだけでなく、参加いただくすべての人にとって、新たなきっかけを得るような機会になれば嬉しいです。
寺田倉庫・アートプロジェクト推進室 室長 森結紀納
TERRADA ART AWARD:公式サイト、Instagram、Facebook、Twitter
TERRADA ART AWARD:プレスリリース
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