禁煙ではなく、害を減らす「ハームリダクション」という考え方に基づく選択を提案。「たばこハームリダクション」とは
たばこを吸うかやめるかの二択ではなく、害を減らすことを考える。この考え方をハームリダクションと呼びます。たばこハームリダクション研究会は、たばこによる周りへの影響や、喫煙者本人の健康への影響を軽減するため、ハームリダクションを研究し、認知を広げるために活動している会です。「ハームリダクション」とは何なのか、会の事務局長を務める山森が紹介いたします。
そもそも「ハームリダクション」とは
たばこハームリダクションの「ハームリダクション」とは、「ハーム(毒)」を「リダクション(減らす)」という意味の言葉で、薬物・アルコール・たばこなど、依存性があり、完全に断つことが難しいもののダメージを減らし、健康や社会、経済上の悪影響を減少させることを目的として、欧米を中心に広まっている考え方です。
完全にやめられればいうことはありませんが、これらのものをやめるのは容易ではありません。例えば、薬物・アルコール・たばこ自体を違法とすると、粗悪な違法品が出回ってしまうかもしれないですし、適量であれば許容されるものなどもある。であるならば、その人自身が受ける影響を減らし、周りへの影響も配慮できるようにコントロールするほうがいいのでは。これがハームリダクションという考え方が生まれた流れです。喫煙者である私がこの考え方を知ったのは、分煙や禁煙の流れがあるなか、分煙についてネットで調べていて偶然知ったのがきっかけでした。
我々たばこハームリダクション研究会は、名前の通り喫煙による影響を減らしながら、喫煙者がたばこを吸い続けられる道を研究しています。アルコールに対し、「断酒」だけではなく「減酒」という考え方があるように、「禁煙」ではなく「減煙」という道もあるのではないかと思っているのです。
ハームリダクションの手段のひとつとなるのは「加熱式たばこ」への移行
どのようにたばこハームリダクションを実現するのか。その手段の一つが加熱式たばこです。加熱式たばこからも煙のようなものが出ますが、実はこれは煙ではなく蒸気。従来のたばこの煙には燃焼することで発生する有害物質が含まれていますが、加熱式たばこは燃焼するのではなく、加熱しているので有害物質が大幅にカットされています。煙ではなく蒸気なので、周りへの配慮にもなります。
ここで、1つ混同されがちなたばこ事情をお話させてください。それは、加熱式たばこと電子たばこについてです。従来の紙巻きたばこの代替品となるこれらですが、実は両者は別物なんですよ。日本では主に加熱式たばこが流通しており、厳密にいうと電子たばこではないんです。
電子たばこはグリセリンにニコチンやフレーバーを入れたリキッドを加熱し、べイパーと呼ばれる蒸気を出すものを指します。しかし、加熱式たばこは、たばこ葉の実物を使用し、たばこ葉を燃焼させずに加熱により蒸気を発生させるものになります。
依存性のある嗜好品を完全に断つことは難しいものです。たばこに関しても、禁煙に失敗する人は3割ほどいるともいわれます。しかし、紙巻たばこを吸い続けることは、喫煙者本人への害も強く、周りの非喫煙者への受動喫煙リスクも気になるものです。それであれば、間を取って加熱式たばこに移行する。その喫煙スタイルを「たばこハームリダクション」だと呼ぶことで、禁煙できずに悩んでいる喫煙者が加熱式たばこという選択をしやすくなればと思っています。
また、非喫煙者の方たちにも、加熱式たばこを選択し、マナーを守って喫煙している人は、自分の健康や周囲への影響に配慮して喫煙ライフを送っているのだと思っていただけるとありがたいと思っています。
ちなみに、私自身も加熱式たばこに切り替えた1人です。「加熱式たばこにするくらいならたばこをやめる」と豪語しながらも、結果的に禁煙を実現できていない方もいるでしょう。個人的に、それはもったいないと感じます。加熱式たばこにもいろいろなフレーバーがありますから、1回目で「やっぱり向かない」とあきらめず、自身の好みのものを探してみてほしいのです。私自身は、何の不満も違和感もなく、加熱式たばこを楽しんでいます。
「ハームリダクション」の認知向上を目指して
欧米では広く知られる「ハームリダクション」ですが、残念ながら日本での認知はまだまだ低いです。我々たばこハームリダクション研究会は、たばこの健康影響や加熱式たばこなどの最新事情、国内外のたばこハームリダクションの情報を調べ、年に1度シンポジウムを開催しています。
1回目、2回目の開催はコロナ禍だったためオンライン開催だったのですが、アーカイブとしてYouTubeでも配信しています。
3回目となる2023年のシンポジウムは、初めての会場開催となりました。あらためて、「そもそもハームリダクションとは何か」について、医師や大学教授、脳科学者、エコノミストなどの方々をお招きし、お話しいただきました。たばこ税という観点から、禁煙とたばこハームリダクションが経済に与える影響の違いについて語っていただいたり、ニコチンを辞められない遺伝子があるというお話をエビデンスを出してお教えいただいたりしました。
禁煙の店が増える一方、加熱式たばこであれば分煙をしたりして、室内喫煙可能としている店舗も出てきています。我々がまず知ってほしいのは、次の3点です。「加熱式たばこから出ているものは、煙ではなくて蒸気であり、有害物質はかなり減っている」「害を減らすための喫煙スタイルとして、加熱式たばこなどがある」、そして「そうした害を減らす喫煙の選択の仕方をたばこハームリダクションと呼ぶ」。
今後は、あらためてハームリダクションの認知向上に努め、シンポジウムの告知、ホームページや各種SNSでのハームリダクションに関する情報発信に力を入れていく所存です。たばこや喫煙者に対するネガティブイメージが強い非喫煙者の方にも、「そういう喫煙スタイルであれば、いいんじゃない?」と思っていただけるようになればうれしいですね。まずは認知を広げるために、「ハームリダクション」に関心を持っていただけるよう、尽力いたします。
山森貴司
たばこハームリダクション研究会 事務局長
早稲田大学商学部卒
イギリス語学留学を経て、通信機器会社の海外部門
30歳にアナウンサーとなり、Jスポーツアナウンサー、群馬テレビアナウンサー兼記者
野球、サッカーなど実況多数、また記者として県警キャップなど様々な取材を行う。
メディアに在籍していた立場で、禁煙ではなく「減煙」するという「たばこハームリダクション」がベターな解決策と考え、たばこハームリダクション研究会を設立。
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