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世界から高い評価を得た馬事公苑 開発・整備の裏側

著者: Fédération Equestre Internationale


馬事公苑は、オリンピック・パラリンピック競技大会において、質の高い競技を実現するために重要な役割を果たした最高の施設として、国際的な馬術関係者から高い評価を得ています。しかし、この施設を所有・運営するJRA(日本中央競馬会)は、馬術競技の更なるバリアフリー化を目指しています。

障害者のためのアクセシビリティ要件を、すべての開発計画に


JRAは、オリンピック・パラリンピックの開催だけでなく、馬術の長期的な発展を視野に入れて、馬術競技場の開発・整備を進めてきました。


JRA(日本中央競馬会)の西尾高弘参与は、馬事公苑の開発・整備について次のようにコメントしています。


「東京が2020年のオリンピック・パラリンピックの開催権を獲得する前から、会場の再整備を計画していました。


馬事公苑は当初、障がい者の方々のニーズに応えるために建設されたものではありませんでした。しかし、パラリンピックに向けての準備を進める中で、さまざまな障害を持つ方々が馬術を存分に楽しめるよう、安全で快適な環境を整えるためには何が必要なのかを理解することができました。


パラリンピックが終了した後も、都市公園としても機能する馬術競技場が地域社会に明確な利益をもたらすことができるよう、すべての開発計画に障害者のためのアクセシビリティ要件を盛り込みました」


1940年にオープンした馬事公苑は、騎手と馬のトレーニング、馬術競技会のほか、教育・訓練プログラムを開催するために作られました。戦争で中止になった1940年のオリンピックでは、馬術競技の開催が予定されていました。その後、1964年に東京で開催されたオリンピックでは、馬術競技が行われました。


東京2020組織委員会が提示した当初の馬術競技の計画は、東京湾岸に仮設会場を設けるというものでしたが、JRAと日本馬術連盟(JEF)は、1964年のオリンピック馬術競技会場である馬事公苑を再利用するという選択肢を提案しました。国際馬術連盟(FEI)も、馬事公苑は日本の馬術界にとって、より具体的で有益なレガシーとなるだろうと、全面的に支持しました。


FEI競技運営ディレクターのティム・ハダウェイ氏は、次のようにコメントしています。


「JRAは、オリンピック・パラリンピックに参加する選手たちに、競技を行うための素晴らしい施設を提供している他、獣医師、蹄鉄工、蹄鉄整備スタッフ、馬術インストラクターなどの専門家を派遣し、これまで以上の支援を行ってきました。また、JRAは関連会社を通じて、馬術競技に最適なコンディションを確保するために、飼料や寝床、競技馬の輸送、シーフォレスト・クロスカントリーコースの試合フィールドの芝のメンテナンスに関するアドバイスを提供しました。


JRAがこれまでに行ってきた活動は、日本におけるパラ馬術の発展のための強固な基盤を築くものであり、日本パラ馬術チームへの支援を通じて、模範となるものでした。」


日本におけるパラ馬術のさらなる発展


宮路満英選手、稲葉将選手、高嶋活士選手、吉越奏詞選手の4名のパラ馬術チームは、JRAの全面的なサポートのもと、馬事公苑でパラリンピックに向けたトレーニングと準備を行ってきました。


宮路満英選手(63歳)は、JRAで調教助手を務めていましたが、2005年7月に脳梗塞で倒れ、右半身の感覚を失いました。東京2020は、馬術の日本代表として唯一出場したリオ2016に続き、2度目のパラリンピックとなりました。


JRAの元騎手である高嶋活士選手(28歳)は、レース中に負傷し右半身に麻痺が残りました。FEI世界馬術選手権™トライオン2018に出場し、東京2020がパラリンピック初出場となりました。


東京2020でパラリンピックデビューを果たした26歳の稲葉将選手は、生まれつき脳性麻痺で下肢に障害があり、股関節のリハビリのために8歳で乗馬を始めました。国の代表としてFEI世界馬術選手権™トライオン2018に出場し、14位に入賞しました。


東京2020パラリンピック競技大会は、日本体育大学に通う21歳の吉越奏詞選手にとっても初めての経験でした。リハビリの一環として乗馬を始めましたが、パラ馬術に興味を持ったのは高校生になってからでした。日本体育大学の学長や仲間に励まされ、日本のパラ馬術界に大きな足跡を残しています。


4人のアスリートは、パラリンピックをきっかけに、日本におけるパラ馬術をはじめとする障害者スポーツのさらなる発展を期待しています。


宮路満英選手は、日本におけるパラ馬術について次のようにコメントしています。


「これまで日本では、パラスポーツの認知度は低かったのですが、パラリンピックをきっかけに、多くの人に、パラ馬術のことや、さまざまな障がいを持つ人がスポーツに参加できるということを知ってもらえたと思います。


私がリオ2016のパラリンピックに参加したとき、日本でパラ馬術の報道はありませんでした。しかし、東京2020のパラリンピックでは、JRAとグリーンチャンネルとの連携により、日本でも多くのライブ放送が行われています。また、日本の多くの方々がパラリンピックの開催に関わることで、日本におけるパラ馬術のイメージが変わってきたと感じています。」


大会での競技については、東京2020パラ馬術のページ(https://inside.fei.org/fei/games/paralympic/tokyo-2020)をご覧ください。


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写真提供:FEI/Christophe Taniere




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