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図書館が考える”高齢化とダイバーシティ/多様化”に揺れ動く”読書コンテンツ”の先、課題解決先進県”高知”が動く、黒船テックの可能性に

著者: Kono Japan株式会社

”障害の有無に関わらず、世界のありとあらゆる読み物を、大きく読め、聴ける楽しみに一発変換”、2021年4月1日#AprilDreamプロジェクトでのアナウンスから3ヶ月、つながる接点は高知の図書館から始まった


オーテピア高知声と点字の図書館、館長を務める坂本康久は、2021年2月開催のシンポジウム「読書バリアフリーと図書館の役割」(注1)で訴えた。”全てのひとに、アクセシブルな(利用しやすい)コンテンツだけでなく、読める環境作りを”


図書館を核とした複合施設であるオーテピアでは、読書バリアフリー法施行前から県市の垣根を超えた共同・連携運営だけでなく、内外の図書館とも連携、そして障害福祉や眼科医療から学校までアウトリーチし、可能性の芽を育む活動に邁進していた。(注2)


(2021年2月、シンポジウムで公開されたオーテピア高知の目指すミッション)


かたや、Kono(コノ)は、電子雑誌閲覧サービスを提供する会社。同社は、シリコンバレー発のアメリカのテック企業、台湾台北に運営拠点を構え、近年日本市場でのビジネス機会をうかがうために、日本支社Kono Japanを設立していた。


Konoマガジンは、アジア軸、中華圏、特に台湾での実績から言うと、有数の読み放題サブスク・サービスのひとつ。メインとなる台湾の人気雑誌多数を揃え、独自開発技術でPDF以外のアクセシブルな(利用しやすい)形で、読むだけでなく、聴くこともできる唯一無二の特徴で知られている。(情報アクセシビリティ対応)

(Konoマガジン、唯一無二の特徴、ハイブリッド閲覧方式からのキャプチャー)


数年前から日本の雑誌も取り揃え始め、台湾の読者からは日本雑誌を読むなら'Konoマガジン'で、とも言われる認知度で、緩やかながらも右肩成長を続けている。


インターネットの普及とともに、雑誌の苦境は明らかで、老舗雑誌の休刊・廃刊が珍しくなくなった世の中。コンテンツはウェブ中心に流れ、人々の行動様式もスマホを軸とするモバイルシフトが起き、どこでも検索一発で簡単に必要十分な情報にアクセスできる時代へ。定期刊行物として時代をつくってきた雑誌は、コンビニからでさえもその居場所が失われつつある。


それでも、この10年、サブスクリプションの波と共に、モバイル向けアプリでの雑誌読み放題系サービスが普及。雑誌の持つ専門性、ウェブがゆえのフェイク性とは一線を画す良質コンテンツが電子化され、良くも悪くも昔ながらの安心して読める楽しみを提供していてくれる。


声と点字の図書館の坂本は、探していた。視覚障害をはじめとする様々な読書困難の理由を抱え、必要な情報から置いてけぼりにされ、情報弱者が負のスパイラルに追いやられる環境から脱する一手を。誰もが、手軽に読みたいコンテンツにアクセスでき、読書を楽しむ機会を、もっと簡単につくることができないか。


(右方、オーテピア高知声と点字の図書館の坂本、Kono Libraries導入に向けたオンライン会議からの一コマ)


Konoの日本市場アプローチは、当初中華視点でのビジネス利用を念頭においていた。コロナ禍前のわかりやすいニーズとして、訪日インバウンド、特に中華圏からの旅行者に、中華コンテンツが盛りだくさんのKonoマガジンを充てる。または、出版社向けマイクロコンテンツ化を通したデータ収益化のソリューション提供を考えていた。


さなか、コロナ禍で降下する景況に近年対峙することから、日本市場独自の路線を再フォーカスしている矢先だった。対して、開発・ビジネス運営拠点をおく台湾市場での状況は悪くない、コロナ禍のコンテンツ業界は巣ごもり需要でそれなりの反響があったからだ。


一年を超えるリモートベースのニューノーマルに慣れている日本と違い、コロナ感染を押さえ込んでいた台湾には、日本の苦境が理解されなかった。(注 当時2021年5月頃から、台湾でも感染が急速に拡大し、日本と同じリモート生活に至っている。)台湾の成功モデルは、日本で通用しない、なぜならばKonoマガジンはあくまでも中華コンテンツメインの雑誌読み放題サービスだからだ。


(現地台湾メディアBusiness Nextが伝える、Kono社、コロナ禍躍進の舞台裏)


ニッチ戦略、特殊ニーズ、はたまたKonoの強み。類似サービスでは提供出来ない武器にとことんフォーカス。雑誌が読まれない時代に逆行しようが、ニーズは必ずあるはず。思考をリセット、Konoマガジンに初めて触れたときの第一印象に振り返り、Kono Japanを任された石井が行き着いた先、それが’読書バリアフリー’。


ただ、日本特有の読書バリアフリー、情報アクセシビリティ事情をグローバル企業であるKono社内で話しても、反応は薄かった。おかしな話だが、エンジニア側のターゲットはあくまでも健常者。見やすいテキスト拡大モードやフォント拡大、ダークモードなどの機能もより使いやすいサービスを追求し実装したに過ぎなかったからだ。


(スマホ上でKonoマガジンアプリを共有デモ中のKono Japan石井)


とは言え、グローバルで使われるアプリ制作において、ユニバーサルデザイン(UD)の考え方は大事である。ユーザビリティファーストを目指した副産物として、読書バリアフリーにおけるイシューを”さりげなく”クリアしていたというのも、テック企業ならばうなずける話だ。


健常者は、盛りだくさんの情報からチョイスできるが故に、まずアクセスしやすいところからアクセスする。対し、視覚障害をはじめとする読書困難な様々な理由を抱える方々にとっては、そもそもでアクセシブルな(利用しやすい)手段、媒体が限られてしまう。


世間が楽しんでいる人気の書籍が、アクセシブルな形でタイムリーに提供されるかは、一つに出版事情による。2021年、3周年を迎えた声と点字の図書館の坂本が希望する社会、バリアフリー図書の増加には、まだまだ乗り越えないといけない課題が山積みされているのが実情である。経済産業省が実施したあるリサーチによると、雑誌のほとんどはフィックス型で、アクセシブル化は将来目標とまで記載されている。(注3)


写真が散りばめられ、レイアウトが本と比べて圧倒的に複雑な雑誌が、アクセシブルな形で提供されている。坂本は、半信半疑にもそんな世界は聞いたこともなかった。最後の一手、読書バリアフリーに光明を見出したKono Japanの石井が、リーチアウトするまでは。


”妄想” 坂本が、オーテピアが目指したい将来的な希望を語るとき、よく使う言葉だ。3年前にオーテピアがオープンする前から、第一線で読書困難者に接し、実際の状況を見てきたからこそ言いたくなる。困難な現実からの妄想を一歩一歩愚直にも前進させ、今や読書バリアフリー業界で一歩先をリードしている図書館と言っても過言ではないだろう。


(県市一体ミッションで連携推進するオーテピア高知)


オーテピアで、坂本が館長を務めるオーテピア高知声と点字の図書館と同居し、密接連携するオーテピア高知図書館も同じミッションを掲げる:障害の有無に関わらず、高知の全てのひとのために。「高知県は日本有数、高齢者が特に多い県なんです。」と、オーテピア高知図書館で司書のトップである専門企画員を務める 山重壮一は語る。高齢化率(65歳以上が人口に占める割合)が国内平均をゆうに上回り、35%を超えて増加中の高知は、現状を逆手に取り国内一、行政サービスが行き届いた長寿の高齢社会を目指している。(注4)


「高齢者は、パソコンにアクセスするより、意外にもスマホの方が身近で利用が進んでいる」 山重が続ける、「ただ、スマホの難点は狭い画面、高齢者や老眼持ちには小さいテキストはつらく、Konoはうってつけだ。レイアウト固定のPDF画面を、見やすいテキストモードに変換して自由に拡大できる。健常者だろうが、好きなモードを選んで雑誌が閲覧できる。」


’障害の有無に限らず、赤ちゃんから高齢者まで、多様なバックグラウンドを持った外国人含めて、高知全てのひとに読書の楽しみを届けたい。’ オーテピア高知図書館の司書たち、山重、上岡、宮本は口を揃えて思いを伝える。


(オーテピア高知図書館、右から二番目、山重、上岡、宮本が語る、高知特有のニーズ)


同じミッションを持った、オーテピアの両館とKonoが、協働での一歩を進めるのに時間はかからなかった。Konoが提供する図書館向け電子雑誌サービス'Kono Libraries'を国内図書館で初導入となる'Kono Libraries for オーテピア高知図書館&声と点字の図書館'。2021年4月のオンラインでの坂本と石井の出会いから、5月に職員向けトライアル開始、7月からは利用者向けトライアル開始を発表するまでにいたった。(注5)


(Kono Librariesの特徴を語る、山重(上)、坂本(下))


Kono Librariesキャプチャー画像


Kono Librariesは、アメリカ、北カリフォルニア所在の公立図書館向けに数多く導入されている。サンフランシスコ公立図書館など、当該地区で半数以上の公立図書館が、アクセシビリティに対応し、アジア言語タイトル豊富なKonoを選んでいる。


Kono Digital Inc.の創設者でありCEOを務めるStanleyは台湾出身、幼少期カナダへの移住からアメリカ、スタンフォード大を卒業、シリコンバレーで創業。Konoマガジンは2021年10周年を迎えた。「Konoは、テック・スタートアップとして、ユーザビリティを第一に考えます。近年読書バリアフリー化が進む日本で、Konoの技術が評価されたことを嬉しく思います。先ずは高知のみなさんに、そしてもっとたくさん、日本全国の図書館、関係団体と連携し、多様なニーズを抱えている人たちに読書の楽しみを伝えていきたい。」


(Kono Digital Inc. ファウンダーCEOのStanley、テレビ高知の取材で思いを語る)


「Konoのサービスは、ニーズを補完する一つ(One of them)であって、様々な事業サービスと連携してからこそ最終的に利用者が満足するものだと思っています。」


#AprilDreamプロジェクトで発された思いは、Konoにとっても’妄想’で終わらない。日本初、高知発、読書バリアフリーでのニューノーマルを、この輪を広げていくためにも、一緒の思いをかなえたい図書館、業界一丸で連携を進める。(注6, 7)

Kono Libraries無料トライアルへの相談申し込みはこちらより


2021年7月1日朝日新聞紙面


(当該報告書103ページ目、今後に向けた課題と促進策「技術面からの対応」での一文)


※記載されている会社名、団体名および商品名、サービス名は各社、団体の商標または登録商標です。


注1:シンポジウム「読書バリアフリーと図書館の役割」

注2:オーテピア高知

注3:経産省「読書バリアフリー環境に向けた電子書籍市場の拡大等に関する調査」

注4:高知県「日本一の健康長寿県構想」

注5:高知県記者配布資料:日本初となる図書館向け電子雑誌閲覧サービス「Kono Libraries」のお試し利用開始

注6:“読書バリアフリー”対応「Kono Libraries」 ~国内図書館で初となる試験提供を2021年7月より開始~

注7:#AprilDreamプロジェクト

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